2020.03.19
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東日本大震災について学ぶ(リポート3) さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一

東日本大震災を取り上げた授業を、さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さんが4回にわたって紹介します。第3回では、友達同士で発表し合う様子をリポートいたします。

道徳での実践①

家族愛を取り上げた授業の板書

児童はこれまで、朝の会の新聞トークや学年掲示板に貼ってある掲示を見ることで、東日本大震災についての関心を高めてきました。さらに、震災の時に家族がどんなことをしていて、どんなことを考えたかなどを調べて、友達同士で発表し合う学習も行いました。

それらの活動をベースとして、今回は道徳の授業で震災を取り上げました。最初は、「家族愛」を学ぶための資料です、津波で母親を亡くした女の子が、母親の分まで頑張っている父親の姿を見て、自分も家族のために頑張ろうとしていることを読み、家族の素晴らしさについて話し合いました。

児童はこれまで、震災で子どもや母親を亡くした方の新聞記事を読んでいます、資料に出てくる当事者の気持ちを考えるなど、授業に積極的に参加していました。
  • 「自分には家族が全員いるから、これからも大切にしたい。自分にできることを進んでやりたい」
  • 「今までは、お母さんに叱られたときに素直になれなかったけれど、これからは、話をしっかりと聞きたい」
  • 「今やっている家の手伝いをもっとやるようにして、家族の役に立ちたい」
など、自分の生活に照らし合わせて、具体的に自分の考えを書いていました。

道徳での実践②

奇跡復興の一本松を取り上げた授業の板書

もう一つ、震災に関する資料を使って授業を行いました。陸前高田市に残った「奇跡の一本松」を取り上げ、残った一本松を心の支えにして、地元の人が復興への元気を出すというものです。この資料をもとに、自分が住む地域で大切にしたいものを考える活動を行いました。

「奇跡の一本松」についても、事前に新聞記事などを示し、実際の様子を見せていたので、授業での発言も大変多く、ほとんどの児童が積極的に参加していました。そして、話し合い活動でも、
  • 「地域に残っている神社で行われる火祭りは、これからもずっと大切にしてほしい。」
  • 「毎年行われている夏祭りは、みんながよろこんで参加しているので、これからも大切にしたい」
  • 「学校の近くにある公園は昔からみんなに大切にされているので、ぼくたちも大切にしたい」
など、いろんな意見が発表されました。また、一本松のある陸前高田市の方を応援したいという考えを発表する児童もいました。自分が陸前高田市の人だったらという気持ちで、しっかりと考えることができました。

さらに東日本大震災への関心を高める

道徳の学習を通して授業のねらいを達成できたほか、東日本大震災の被災地への関心も高めることができました。児童の中には、自宅の新聞を読んで東日本大震災の記事を探す子もいました。また、保護者と震災について話し合う子もいました。

このあとは、3月11日の新聞記事をスクラップし、現在の被災地の状況などについて考える学習を行う予定でした。しかし、現在、新型コロナウイルスのため、学校が休校となっており再開できるか分からない状態です。その場合も、3月11日の新聞記事を児童に届け、読んでもらいたいと思っています。そして、新年度にまた語り合いたいです。

文・写真:菊池健一

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