東日本大震災について学ぶ(リポート2) さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一

東日本大震災を取り上げた授業を、さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さんが4回にわたって紹介します。第2回では、様々なツールを通して震災について知る方法をリポートいたします。
新聞トークで震災について知る

児童に示した「奇跡の一本松」の記事
東日本大震災から9年が経とうとしています。あの震災は、私たちに命の大切さ、防災のために日々備える大切さなど、たくさんのことを教えてくれました。震災のことをこれからの世代に伝えていくためにも、子どもたちに当時のことを教えていく必要があると感じています。毎年、この時期には震災を取り上げた指導をしています。
今年度担当している3年生の児童は、東日本大震災当時の記憶がほとんどありません。そこで、震災についての興味関心を高めるために、毎日朝の会に行っている「新聞トーク」で震災に関する記事を取り上げ、児童に紹介しました。できるだけ、児童と同じ小学生が関わっている記事を取り上げ、児童に読み聞かせをしたり、私の感想などを話したりしました。取り上げた記事は以下のものです。
- 津波で亡くなった1年生の女の子の遺骨を探す父親を取り上げた記事
- たくさんの児童が津波に襲われて亡くなった小学校を取り上げた記事
- 震災当時、避難所で家族を捜していた小学校3年生の男の子の記事
児童は自分と同じ年ごろの子たちが関わっている記事の話を聞き、少しずつ東日本大震災について、自分のこととして捉えられるようになってきました。保護者に震災当時の様子を聞いてくる児童もいました。
また、道徳の授業で取り上げる岩手県陸前高田市の「奇跡の一本松」の記事を紹介しました。児童の中にはこの一本松について知っている子もいて、大変興味を示していました。
学年掲示板をつかって、震災について知らせる

学年掲示板に掲示された記事
朝の会の新聞トークと並行して、教室の前にある学年掲示板にも、東日本大震災の記事を掲示し、児童がいつでも見られるようにしました。毎年3月11日に各新聞社が掲載する震災関連の特集記事をストックしたものを掲示するほか、A新聞社が学校教職員に無料で記事を提供するサービスを活用して、震災関連の記事を集めました。
一昨年(2018年)の3月11日には新聞全体に東北の地図が描かれ、震災以降の写真を掲載した記事がありました。また、昨年(2019年)の3月11日には、復興を目指している岩手県釜石市の鵜住居地区を上から眺めた大きな写真が掲載されました。それらを中心に児童に示し、被災地の様子や、被災地の人々の今の様子に関心を持たせるようにしていきました。
児童は掲示板に貼ってある東日本大震災関連の記事を見ながら、友達同士で、どんな様子なのかを話し合ったり、疑問に思ったことを教師に質問したりしていました。
道徳の授業に向けて・・・
道徳で「家族愛」や「郷土愛」を取り上げた学習を行います。「家族愛」の学習で活用する資料では、震災で母親を失ってしまった女の子が主人公として登場します。また、「郷土愛」の学習では、陸前高田市の奇跡の一本松が取り上げられています。それらの資料をいきなり読むのではなく、新聞トークや掲示板の資料で震災の様子を知っておくことで、学習が豊かになると思います。道徳の学習を行うまでに、もう少し、児童と新聞記事を通して震災について考えてみたいと思っています。
文・写真:菊池健一
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