2019.03.11
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国語科での防災教育実践(リポート3) さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一

東日本大震災を取り上げた授業を、さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さんが4回にわたってご紹介します。第3回目では、必要な情報を集め、意見文づくりに取り組んだ様子をリポートしています。

意見文のテーマを決定

前回の学習で、児童は、被災地を取材した新聞記者から、被災地の様子についての解説を聞きました。また、国語の学習としても、記者流の「主張をしっかり伝えるための文章術」についても指導を受けました。そして、「今でも復興が十分とは言えない東日本大震災の被災地のためにできることを考えて、意見文としてまとめてほしい」との課題を出してもらいました。

意見文を書く児童

授業後、児童は、記者から出された課題について真剣に考えるようになりました。これまで読んだ記事や社会科で被災地について学習したことなどを思い出して、どんなことが今の被災地の方のためになるのかを考えました。そして、テーマ(被災地の方たちのためにできること)について自分の意見として文章に書くことを決めました。児童が意見として挙げたものには以下のものがありました。
  • 被災地に多くの人が訪れるようにする工夫をすべき
  • 様々なボランティアに参加しやすくする仕組みを作るべき
  • 被災地の情報をもっとたくさんの人に知ってもらうべき
  • 国や県などの自治体がさらに復興策を進めるべき

証拠となる事柄を集める調べ学習

情報を収集する児童

次に、自分の述べる考えについて、必要な情報を集める作業を行いました。ゲストティーチャーの記者から、「意見を述べる際には取材をして根拠をはっきりさせたり、自分の意見の証拠となることを集めたりしなければなければならない」と指導を受けました。そこで児童は、本やインターネットなどを活用して調べ学習を行いました。
「ボランティアには『植樹』を行って、被災地の環境を元通りにしようとするものもあるんだ。」
「国や県の復興対策もホームページに載っているね。どのくらいの予算が使われているのか調べよう。」
「三陸の海産物など、たくさんの魅力があるので、その紹介をしたらどうかな。」
など、友達とも話し合いをしながら、調べ学習を進めていきました。

意見文の作成

構成表

意見文を書くのに必要な情報を集めた後に、作成作業に取りかかりました。まずは、文章を書くための構成表づくりです。「はじめ・中・終わり」の構成で、「はじめ」の部分に自分が一番伝えたいメッセージを盛り込むことにしました。これは、ゲストティーチャーである記者からのアドバイスです。そして、「中」の部分には、自分の意見を伝える上で必要となる、調べた情報などを盛り込み、「終わり」では、もう一度自分の主張を繰り返す形にしました。構成表づくりを通して読み手を意識した文章にするための工夫についてしっかりと学習することができました。
構成表が出来上がった後は一気に意見文の作成に取りかかりました。今回の意見文は新聞社への読者投稿として応募も予定しているので、決められた字数で書かなければなりません。児童は真剣に意見文に取り組み、何度も推敲を重ねました。そして児童全員が、被災地のためにできることというテーマの下、自分の意見文を書くことができました。出来上がった意見文は、新聞社に送り、社会に自分たちの意見が発信できるか挑戦してみることにしました。大変楽しみです。

児童が作成した意見文

文・写真:菊池健一

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