2019.01.25
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国語科での防災教育実践(リポート2) さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さん

東日本大震災を取り上げた授業を、さいたま市立海老沼小学校 教諭 菊池健一さんが4回にわたってご紹介します。第2回目では、被災地の記事を書いた記者に話をうかがった授業をリポートします。

被災地を取材した記者の記事を読んで

前回までの学習で、6学年の児童は、東日本大震災の被災地を取り上げた記事(「釜石の奇跡」があった小学校で事務職員さんが保護者の電話対応をしていて命を落としてしまったことを伝える記事)を読み、その書き手である記者が一番伝えたかったことは何かを考えました。その上で実際に記事を書いた記者をゲストティーチャーとして招聘し、児童に記事で一番伝えたかったことやそれを伝えるためにどんな工夫をしたかを解説してもらうことにしました。児童は、自分が読んだ記事を書いた記者の授業なので大変楽しみにしていました。

児童はその記事を読んで、
「記者さんは、釜石の奇跡の裏側にこんな悲しい出来事もあると言うことを伝えたいのではないか。」
「震災のことをいつまでも忘れないでほしいと思っているのではないか。」
など、感想を友達同士で話し合いました。

現地を取材した記者の話を聞く

記事について話す記者

授業に招聘した記者は、朝日新聞社の元釜石支局長で東日本大震災直後から現在に至るまで被災地の取材を続けています。その中で、「釜石の奇跡」知られる小学校で最後まで学校に残り命を落とされた職員の方を弔うための碑の建設について取り上げた記事を書きました。その記事でどんなことを伝えたいと思ったかについて児童に話をしてもらいました。

記者からは、
「たくさんの児童が助かった裏で、悲しい出来事も起こっていたことを伝えたかった。そして、まずは何よりも自分の命を守るようにしてほしいことを伝えたかった。」
という回答をもらいました。児童はその話を聞き、自分が考えたことと比べていました。そして、記者から被災地のことを調べて「被災地のために出来ること」というテーマで意見文を書いてほしいとの課題を出してもらいました。児童は、その投げかけを受けて、被災地のために何か出来ることはないかと考え始めました。

教科のねらいもしっかりと押さえて

新聞の書き方のヒント

ゲストティーチャーである記者に被災地を取り上げた記事について解説してもらった後に、意見文の書き方についてもアドバイスをしていただきました。今回の取り組みのメインは国語です。国語科のねらいを踏まえながら学習を進められるように計画的に進めました。

記者からは、
「伝えたいことが決まったらまずは『見出し』を考えてみよう。そうすることで、書きたい内容がぶれないで書けます。」
「取材の際は一番詳しく知っている人に聞いたり、詳しくわかる資料で調べたりしよう。」
「調べたり取材をしたりする際には必ず知りたいことを整理しておこう。」
「考えたことはすぐにメモをすること。」
「書くときには、まず言いたいことを最初に書くと、読み手によく伝わる。」
など、具体的な点をアドバイスしていただき、児童も大変参考になったようでした。
今回の授業を経て、児童は「被災地のために出来ること」というテーマで意見文を書いていきます。どんな意見文ができあがるか楽しみです。

文・写真:菊池健一

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