先日、「命」について考えさせられる出来事がありました。
「中学生の自殺」です。
東京都において友達が二人で手をつないで電車に飛び込んで亡くなったというものです。
「若者の自殺」について調べてみると、次のようにありました。
・「衝動性」が強い
・若者の死因の一位が自殺
ネットなどが発達した近年は、さらに問題が複雑になってきています。
そういった状況で、「学校にできること」について考えてみます。
キーワードは「心を耕すこと」だと思います。
道徳性に関するものは、良い環境が整い、継続的に取り組むことで能力が伸びていきます。
どの段階でも大切ですし、必要なのですが、最適なのは小学校の中学年です。
年齢が小さすぎては内容をきちんと理解ができないですし、年齢が高くなると受け取る際に心理的にすんなりと入っていきにくくなります。
小学校の中学年では、学級担任が担当する時間が多いことも良い条件です。
学級担任は、限られた教科だけではなく、多くの教科、その他の活動を見ることができます。
具体的には「少し自分を客観的に見ることができるようになる」ということだと思います。
自分自身を少し距離を置いた所から眺めて見るということです。
「それぞれの子どもには、数多くの先祖がいる」
ある授業で使うために先祖の数を調べたことがあります。
親2人、祖父母4人、曾祖父母8人・・・・。
倍々で増えていきます。
500年分を計算すると約10万人です。
「それぞれの人には数多くの先祖がいて、その人の幸せを願っている」という事実を知るだけで命に対する考え方が変わってきます。
「助けるのも、苦しめるのもポイントは周りの人」
人は、周りにいる人に助けられたり、苦しめられたりします。
クラスにおいてもその通りです。
ミスなどが起こった際、フォローしてもらえる集団なのか、それとも馬鹿にされる集団なのかの違いです。
いじめなどにおいては、クラスの中にいる傍観者(直接いじめに関係ない子ども)がどういった態度を取るのかということが非常に重要になります。
命の大切さを教える授業 ~子どものイメージを膨らませ、当事者意識を持たせる~
「みんなはつながっている」
私は年度の始めにクラスの全員で一つの詩を作っています。
題名は「生きていること」というものです。
それぞれが「生きているとは○○なこと」という文を作ります。
それらをつなぎ合わせ、一つの詩を作り上げていきます。
一体感を育みます。
上に書いたようなことを道徳や特別活動などの時間を使って伝えていくことが大事です。
また、限られた時間の中でそういったことが出来ない場合は、朝の会や帰りの会などの時間を利用していきます。
世の中で起こった出来事(事件、事故など)をテーマにし、短い話をしていきます。
継続的に続けていくことで、子どもの心が少しずつ耕されていきます。
トラブルが起こった際ではなく、起こる前に少しずつ子どもの心を耕し、豊かなものへとしていくことが大切でしょう。
悲しい出来事が減ることを願います。

鈴木 邦明(すずき くにあき)
帝京平成大学現代ライフ学部児童学科 講師
神奈川県、埼玉県において公立小学校の教員を22年間務め、2017年4月から小田原短大保育学科特任講師、2018年4月から現職。子どもの心と体の健康をテーマに研究を進めている。
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