国際貿易港という特別な場所に入る社会科見学
先月末に小学校第5学年の社会科で,地元の国際貿易港でもある『広島港国際コンテナターミナル』の見学に行って参りました。
日本の運輸・物流についての学習で訪れたこの場所。実は,とても特別な場所なのです。
例えるならば,国際線のある空港のイミグレーションを超えた先のエリアを考えていただけるとよいかもしれません。港湾内は,もちろん一般公開されておらず,港前面の道路からすでに入港制限があります。
港湾エリア内への入港に際しても,入港・退港時間からその人数まで全てがきっちりと管理された状態で,子どもたち全員が安全ヘルメットを被って社会科見学がスタートです!
子どもたちは,社会科見学で訪れる場所は,学習の内容を押さえたり,新たな発見や新しい気づきが得られる場所ということはもちろんわかっています。そして,とてもワクワクしています。
教師側は,子どもたちがここで感じている「特別な場所に入ることができる」という興味・関心やワクワク感も社会科見学の醍醐味の一つとして捉えていっても良いのではないかなぁと感じています。
教室に持ち込めないスケールの大きさを感じられる場所
今回で,私の勤務校児童をこの場所へ引率するのは2度目なのですが,港湾内は,全て港湾関係者の方々が手厚くアテンダントしてくださります。児童の疑問にも随時,回答してくださります。
そして何よりここで素晴らしいのは,実際に国際船からのコンテナ荷降ろしシーンを見ることができたり,巨大なクレーンが動いているところを間近に見ることができたりすることです。
また,港湾関係者の方々の温かいご配慮で,コンテナ内を見学させてくださったり,リーファコンテナという冷凍コンテナを実際に開けてくださったり,フォークリフトを使っての積荷作業を見せてくださったりもしました。
社会科の教材の中には,教室内に持ち込むことのできるものも多くあります。
しかし,社会科見学では、そこでしか見ることができないものを見学することはもちろん,教室に持ち込むことが不可能な今回のような教材を,プロの方々の説明の元,実物を見ながら学習できるという点は子どもたちにとっても,とても大きな経験となります。
社会的事象のスケールの大きさを感じることは,それを教室を出て感じたこととなり,これこそ社会科見学の大きな意義の一つであるともいえます。
社会科見学場所の発掘
以前にも「教育つれづれ日誌」で社会科見学のことを執筆させていただいたことがありますが,今回の場所はとても充実した見学場所でありながら,まだまだ地元教育関係者にも知られておらず,年間で見学に来る小学校は5校未満というのが実情でもあります。
今回の場所のように,まだまだ他にも発掘されていない素晴らしい社会科見学の場所は,至る所に子どもたちの学びの宝物のように眠っていると言っても過言ではないかもしれません。
ただ珍しいだけに留まらず,子どもの学びに沿った社会科見学の場所というものは,教師が人とのつながりを大切にしながら常に様々なジャンルにアンテナを張っておくことで,まだまだ発掘できる余地があると私は感じています。
さて、次回の更新日は,今年も早いもので師走の8日(火)になります。今後とも,何卒よろしくお願いいたします。
中村 祐哉(なかむら ゆうや)
広島県公立小学校 教諭
「社会科教育」「国際教育」「ESD」をメインテーマに,日々授業実践と研究に取り組んでおります。拙い教育実践ではありますが,共に学ばせていただければ幸いです。
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