社会科見学とは…
今回のシャカリキ社会科は,小学校の社会科見学にスポットを当ててお話を進めていきたいと思います。
最近では,社会人の社会科見学/ツアーもプチブームとなっていますが,そもそも社会科見学とは,どのようなステップで計画・実行・評価/改善されるべきなのか,そのような点もふまえながら,踏襲型の社会科見学からの脱却についても考えていきたいと思います。
社会科見学における学び
授業の中で社会科見学に行く際,どのようなことを心がけていくとよいのか,一部ではありますが,私自身が取り組んだり,意識していることを挙げていきたいと思います。
1.見学前の社会科授業(計画段階)
「見学に行ってみたい!」と子どもたちから出ない限り,見学の授業を組むことはしてはならないと感じています。
事前予約等の関係で見学先に日程等のアプローチを授業に先行しておこなわなければならない場合は,「見学に行ってみたい!」という段階まで,子どもたちの意欲が高まる授業展開を計画する必要があります。
これは,調べ学習にも同じことが言えると思います。「調べてみたい!」とならない限り,「調べてみよう!」と教師側からアウトプットしまうのは,児童の主体的な学びには,つながりにくいと感じています。
2.見学中の子どもたちの様子(実行段階)
社会科見学をおこなう際に教師は,事前に現地の下見をおこなってから実際の児童引率を行います。
実際に児童を引率している際に教師は,児童の表情や様子,発言や質問などをしっかり見とるべきだと思います。一緒に対象物・対象箇所を見学することも必要ですが,下見をおこなっているからこそ,児童の学びの姿に目を向けていきたいなぁと感じています。
3.見学後の教師側のふりかえり(評価/改善段階)
教師側は,実行した社会科見学に対して,児童の学びにおいてその見学授業は有効だったかどうかを評価する必要があります。類似した対象場所に変更したほうがよいのか,2箇所以上の対象場所を訪れ,比較させたり,共通点に気づかせたりする学習活動を組んだ方がよかったのか,などその評価の視点や観点は,学校や児童の実態,学びの積み上げに応じで様々です。
このような評価をふまえて,単元におけるその後の授業展開を改善したり,来年度,同単元の学びに活かせる引き継ぎをおこなったりする必要があると思います。
踏襲型社会科見学からの脱却を考える
小学校における社会科見学は得てして前年度/前者踏襲型の場所・内容になりやすい傾向があると感じています。
お忙しい日々の中,新たな場所で新たな内容を計画していくことは,そう容易なことではないと思います。
校外の見学に際しては,必要書類等の準備も多く,なかなか新たな社会科見学へ!とはなりにくい実情もおありかと思います。
しかし,社会科という授業をおこなっていく上で,教師自身が現場に赴き,新たな社会科見学場所を開拓していくことはとても重要なことだと感じています。授業の中で子どもたちの学びのベクトルに沿って,社会科見学を計画できるなら,これは本当に素敵なことだと感じます。
だんだんと秋へと季節の移り変わりを感じ始めたこの時期,単元的にもどの学年も社会科見学シーズンになって参ります。もう一度,社会科見学の在り方と意義を考えてみるのもよいかもしれませんね。
中村 祐哉(なかむら ゆうや)
広島県公立小学校 教諭
「社会科教育」「国際教育」「ESD」をメインテーマに,日々授業実践と研究に取り組んでおります。拙い教育実践ではありますが,共に学ばせていただければ幸いです。
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