運動会の応援団指導
勤務校では,先日23日土曜日に天候にも恵まれ,無事運動会を開催することができました。近年,5月・6月が運動会という小学校も増えてきていることと思います。
さて今回は,小学校運動会の応援団(応援係)指導担当になったらどのようなところにポイントを絞ってどう指導すればよいか,という点について考えていきたいと思います。
私自身,教師になって今回が6度目の応援団主担当でした。ずいぶん昔の話にはなりますが,学生時代は,応援団に所属し,応援団長もやってきた経験も生かしながら,その指導面について考えていきたいと思います。
応援団指導のポイント「応援団開き」
応援団を指導する際,その係となった子どもたちに最初にどのような言葉をかけるかということは非常に重要です。
これは,「学級経営」でいうところの「学級開き」です。応援団を指導する場合,私はもうひとつの学級を担任している気持ちで,「応援団開き」に臨むように心がけています。また,運動会の係活動では,5・6学年と学年を超えた子どもたちを指導していくことが多いと思います。そこで,縦割り集団の強みを生かすことも重要です。
応援団が集まる初日,最初は,今までで最高の出来栄えだった応援団の映像を教材に,運動会で応援団がある意義について子どもたちと共に考えていきます。
私が,その映像を見たあとに,はじめに子どもたちに話すことは,自らが応援団長だった経験を生かし,子どもたちが集まっている教室(または,運動場・体育館)に響き渡る応援団ボリュームの声であいさつをします。子どもたちは,驚きとと共に,先生たちの気合いを感じます。ここがまず,第一歩として大切なことだと感じています。
応援団はチームです。全員がその意識を高くもつことが重要です。中には,希望ではなく,応援団(応援係)になった児童もいるでしょう。その子たちに「ここにいて,なんだかがんばれそう!」「応援団でなんだかよかったかも?」と子どもたちに感じさせる第一歩は,教師のパフォーマンスを通じてチームの意識を作ることだと思います。そして,「この映像の団長の声は,先生の3倍気持ちの入ったすごい声だった!」というと,もっと驚く子どもたち。ここまでの流れは,運動会当日までの短期間でのチームづくりには必要なことだと思います。
そのスタートを切った後に,他の係活動との違いに触れること,応援団は,係活動として必要だということ,応援団が自信をもって運動会に臨めないと,応援される側に自信を与えることはできないということなどを話の中で挙げていきます。
練習がスタートすると,運動会まで毎日,昼休憩の時間や朝・放課後の時間を使っての練習になると思います。その練習には,必ず教師が先に行って子どもたちを迎えてやりたいと思っています。いくら希望して応援団になった子どもたちも,昼休憩は遊びたい…と思っていると私は思います。だからこそ,子どもたちが遊べる時間を使っている以上,応援団になってよかったと思える最高の経験をさせてやりたいのです。そして,「今日も応援団の練習があるから!」と友達に笑顔で言える集団にしていかなればならないと思います。
練習の中では,振付や技術面・声出しなどをひとつひとつを丁寧に全員のクオリティがあがるまで徹底して指導していきますが,ベースにあるのは,常に自分たちは「仲間を率先して応援する立場」であることを意識させることです。それが,自分自身への一番の応援でもあるのです。
そして,もう一点,赤白団旗や太鼓以外の小道具(扇子やポンポン・ハチマキやバンダナ・半被)は,ラスト一週間あたりの「通し練習」で初めて渡すとさらにそこから子どもたちの練習意欲も高まりよいと思います。
運動会前日までの練習を通じて,赤白応援団の全員が「ここまで練習してきたんだから大丈夫!」と自信をもって気持ちを高められる・教師は高めてやることが重要です。
応援団の子どもたちの成長
ここまで練習を積み上げておくと,運動会当日,子どもたちは本当に素晴らしい頑張りを発揮します。運動会の応援団については,当日より後の事後指導(解団式)も大切だと思います。
解団式では,応援団全員で撮った写真と先生からのメッセージを入れた賞状を送り,頑張ってきた証を渡します。毎年,この時の子どもたちのやり切った顔をキラキラした笑顔は忘れられません。
私は,応援団の経験を通じて変わることのできた子どもたちをたくさん見てきました。応援団で自信をもつことのコツをつかめた子どもたちは,例えば,授業で積極的に発言できるようになったり,発言の声が教室全員に届く声になったり,取り組んだことを最後までやり切れるようになったりと,応援団で変われるチャンスをつかめる子どもたちは多くいます。
このような点を意識しながら,これからも運動会の応援団指導に当たっていけるといいなぁ,と思います。
中村 祐哉(なかむら ゆうや)
広島県公立小学校 教諭
「社会科教育」「国際教育」「ESD」をメインテーマに,日々授業実践と研究に取り組んでおります。拙い教育実践ではありますが,共に学ばせていただければ幸いです。
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