2022.06.18
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米国の学校「プロム・進級式・卒業式から学校最後の日へ」

ご無沙汰しております、皆様!
3月までつれづれ日誌を日米の視点から担当しておりましたが、4月から諸事情でお休みしております。理由は自身のインプットの時間を増やしたいと思い、日本と米国の両方の大学院で教育学を改めて学び始めました。二つの大学院に同時に通うという、私たち社会人である大人が先ずやらないことを成し遂げれば、「There is nothing impossible!」「 人間不可能なことはない!」ことを子どもたちに証明できるかもと思い、遊び心半分40代後半で挑戦しています。実は両方の高等教育機関に同時に進学したことでそれぞれのメリットデメリットや違い等、既に体験しています。落ち着きましたらそちらも記事にできたらと考えております。不定期ですが、おつきあいください。

さて、今回は特別編ということでこちらの学校で現在大変にぎわっているプロム、進級式、修了式、卒業式などを簡単に4つの視点で説明したいと思います。米国の学校は6月に修了を迎えます。8月の入学、始業に備え、2か月あまりの長期休暇に入ります。日本でいう3、4月のような最も忙しくエキサイティングな月になります。

在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師 下條 綾乃

1.米国の高校で行われるPROM(プロム)というセレモニー

プロムとは「promenade(プロムナード)」の略称になります。米国の高校生活における最大のイベントになり、卒業式を目前にした高校生が自分たちで企画、飾りつけなどを担当します。卒業約1か月前から行われる学校を挙げたダンスパーティです。 
その模様は海外映画やドラマで描かれることもあり、タキシードやドレスに身を包んだ高校生たちが、パートナーや友人と記念に写真を撮ったりそれぞれの時間を会場で過ごします。卒業を控えた4年生が主に出席しますが、招待されれば3年生も参加することができます。米国の高校では20世紀の初頭から、高校生に社交界での正式な振舞いを教える場としてこのような社交イベント、プロムを開催するようになりました。 

2.小中学校で行われるMOVING ON UP/PROMOTION 進級式

米国では小学校過程、中学校過程が終了すると、学年が修了する前に進級式が行われます。日本でいう卒業式に当てはまります。
日本の卒業式と大体類似していますが、式では各自に『Certificate of Promotion (進級証書)』が手渡されたほか、特に成績優秀な児童には『President's Award for Educational Excellence』という賞も贈られます。その名の通り、米国大統領の直筆署名が入っています。
先日行われた私たち小学校の進級式では、進級証書が各自に手渡された後、外の駐車場でバーベキューが行われました。

3.高校生のGRADUATION卒業式

12年の教育課程を終えて行われる12年生の為の卒業式はスタジアム、体育館などの広い場所で行われます。卒業生の服装は主に角帽とガウンです。黒色がメインですが学校のシンボルカラーによって違った色もあります。角帽の上面は、一人一人がデザインすることもあるようです。
コードやサッシュ(首にかけるシルクでできたマフラーのようなもの)角帽とガウンに合わせるアクセサリーもあります。コードは着物の紐のようなもので、高校生活の中でどのようなことを成し遂げられたかによって与えられます。勲章のようなものです。
卒業式ではまず校長先生や各教師、生徒会長などによるスピーチがあり、卒業生の中で一番成績の良かった卒業生総代VALEDICTORIAN、2番目に成績のいい高校生SALUTATORIANが卒業スピーチを行います。スピーチの後には、卒業生は一人ずつ名前を呼ばれ、ステージに上がり中央にて校長先生より卒業証書を授与します。右手で握手、左手で卒業証書を受け取ります。
最後に皆が一斉にカウントダウンで角帽を空中に投げ、式が終了します。海外映画などでよくみられる風景ですが、非常に息をのむ瞬間です。これはミリタリーの形式から引き継いだ習慣であると言われています。

4.学校最後の日 The Last Day of School

学校最後の日は私たち教師にとっても達成感を味わえる日です。私たち小学校では学校修了のベルが鳴る前に、校長先生の心温まるスピーチが放送で流れ、軽快な音楽が流れ始めます。クラス担任に導かれた子どもたちは、列に並んで一斉に学校の外に飛び出します。
学校最後の日とあって、先生や子どもたちを労う保護者の方も多いです。お迎えに来られる方も多く、子どもたちは先生やお友達とハグをしてお別れし、親御さんのところへ走っていきます。
「私たち2か月もこの子達のお世話をできないかもしれない!先生助けて!」といった冗談を交えた、ユーモアあふれる保護者の会話もちらほら聞こえます。最後はスクールバスで帰る子どもたちを教師一列となって、バスが見えなくなるまで手を振り、お見送りし、学校最後の日は終了します。

6月2週目から私たち学校では長い長い夏休みに入ります。子どもたちは夏休みへの期待に交え、学校を長く離れる寂しさもあるようでミックスフィーリングだという言葉が返ってきます。
子どもたちの中にはお父さんやお母さんの転勤に合わせ、学校修了後転校するご家庭も多いので、その子たちにとってはお別れの時となってしまいます。「また元気に新学期に会おうね」と手を振り別れる子もいれば、「先生、大きくなったらまた会いに来るね!」と言葉を残す子もいて、何とも言えない気持ちになります。

下條 綾乃(しもじょう あやの)

在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師
日本語学校や領事館等で日本語を教えた後、米軍基地内の公立アメリカンスクールで日本語日本文化を教えて20年ほどになります。何年経っても毎日驚きと気づきがあり、それらの一部を皆さんと少しでも多くシェアできたら嬉しいです。外国の子供達に自分の話す言葉や習慣、文化を教えることの楽しさ、難しさ、面白さを呟いていきます。

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