指導は1日目が肝心
卒業表現は、小学校の卒業式にはつきものです。その内容を、子供達の言葉でしっかりとつくることが大前提。さて、その指導をどうするか。
まずは、正式な卒業式の練習の前に、学年集会をとり、卒業式練習への心構えを共有しておきます。
さらに、卒業表現のプレ練習も行います。
テーマごとに分かれ、担任が分担してつき、体育館で一斉に行うのです。一斉に行うことで、声が響き合う中、思いっきり声を出させることができます。その後、グループごとに舞台に順番に上がらせ、もう一度声を出させる。あくまでプレ練習ですが、静寂の中で急に大きな声を出すように注意するより、一斉に練習する中で声を出すように指導する方が、指導が伝わりやすいためです。
余談ですが、私は、運動会では5・6年合同で組体操をするので、5年生の成長も願い指導を考えます。卒業式も、次に最高学年になる5年生にもしっかり成長を促せるように、練習をつくっていきます。
表現の方法と聞き手の姿勢の両方を指導
表現するときに意識することを3つに絞り、子どもに伝えておきます。
「①声の張り」「②表情を強く、力強く立つ」「③間(ま)」です。
呼名の後の返事については、大きな声を指導する教師がほとんどでしょう。しかし、間がなく返事をするのでは、表現が足らないように思います。卒業表現についても同じです。張りのある声で(どならない)間を持ち、力強い表情と立ち姿などの文章内容以外の表現部分から、思いは伝わるのではないでしょうか。だから、声の指導だけではなく、立ち姿、表情、間についてもしっかり指導をしたいものです。
教師も子どもも集中して卒業式に取り組むために事前指導すべきこと
・袖の長い服を避けること。礼をして顔にかからないような髪型にすること。特に卒業式当日の朝はトイレが近くなるので水分をひかえるようにすること。
→無駄な動きをなくし、集中力を高めるためです。また、そのような理由についても子どもに伝え納得を促しておきます。
・ もし名前を間違われたら返事はしないこと。卒業表現は、前の人のセリフも覚えておくこと。
→ハプニングが起こることも想定できます。担任が名前を間違うことがあってはなりませんが、何があるかわかりません。欠席でなくても、式の途中で体調が悪く中座する子もいるかもしれません。そこで、練習の時から、呼名が違えば返事はしないこと、卒業表現の際に欠席なども含めて当人がいなければ、その次にセリフを言う子が覚えておいて表現することを徹底し、ハプニングに対応できるようにしておくことも大事です。
以上のような細かすぎると思われることも、事前に指導しておけば、卒業式練習が滞ることもなく、無駄な注意をすることも回避でき、教師も子ども集中して卒業式練習に取り組むことができるでしょう。もちろん、集中力の高い練習は、本番を支えます。
「練習は本番のように。本番は練習のように」です。
この言葉は、一緒に6年生を担任した先輩の先生が子ども達に語っていた言葉で、受け継いで使っています。
若い世代が増えてきた昨今、同じ年代で6年生を担任することもでてくるでしょう。卒業式の練習は、マニュアルには残らない、練習の緊張感や思いがあり、そこを伝承することが大切だと思います。今、5・6年生の担任ではなくても、邪魔にならないところから練習を見せてもらい、卒業式への思いを感じることも有効だと思います。うまくいく指導という方法面ばかりにとらわれないで、思いのつまった指導を大切に感じる教師であってほしい。強く願っています。
松井 恵子(まつい けいこ)
兵庫県公立小学校勤務
兵庫県授業改善促進のためのDVD授業において算数科の授業を担当。平成27年度兵庫県優秀教職員表彰受賞。算数実践全国発表、視聴覚教材コンクール特選受賞等、情熱で実践を積み上げる、ママさん研究主任です。
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