第3・4学年社会科キーワード その1『地域と人々』
小学校第3・4学年の社会科における指導内容と言えば,教員の間では一般的に「地域教材」と呼んでいます。
小学校社会科の指導内容の中では,子どもたちのもっとも身近にある教材といえます。ということは,視点を変えてみると,教員のもっとも身近な教材であるとも言えます。
学習指導要領解説社会編には第3・4学年における具体的な内容項目として,以下の6つが挙げられています。
ア 身近な地域や市の地形,土地利用,公共施設などの様子
イ 地域の生産や販売に携わっている人々の働き
ウ 地域の人々の健康な生活や良好な生活環境を守るための諸活動
エ 地域の人々の安全を守るための諸活動
オ 地域の古い道具,文化財や年中行事,地域の発展に尽くした先人の具体的事例
カ 県の地形や産業,県内の特色ある地域
前述した「地域教材」という略称をもつだけあって,学習指導要領解説にあるすべての内容項目に『地域』というキーワードが出てきます。そして、その次に見えてくるキーワードが『人々(人)』です。
今回は,この『地域と人々』のキーワードを軸に,第3・4学年の社会科について?幅広く考えてみたいと思います。
第3・4学年社会科キーワード その2『工夫と努力』
ここまで述べてきたキーワード『地域と人々』,子どもたちには,そこにどんな視点をもたせて学習に取り組ませるとよいのでしょうか。
ここに出てくるのが2つ目のキーワードである『工夫と努力』です。
学習指導要領解説の第3・4学年の内容取扱いにも度々登場する『工夫と努力』…言い換えるならば,地域の人々がよりよい暮らしをするため・地域の産業を支えるために考えに考え抜いた『知恵(工夫)』と,その出し合った知恵を行動に移した『汗(努力)』といえます。
この部分に子どもたちの興味・関心,そして思考をフォーカスしていくことで,自分たちの地域のことがもっと知りたくなる,だから調べてみる,調べるとまた『工夫と努力』に気がつく…というような社会科学習における『知のサイクル』をスタートしていくことができると考えています。
第3・4学年社会科のキーワード その3『フィールドワーク』
では,ここまで述べてきたキーワードをおさえながら授業を進めていく上で,?有効な学習活動とはどのようなものなのでしょうか。
私はこれまでも,このつれづれ日誌上で,自分でその場に行き,その場を見て,現地の人々のお話を聞き,そこの空気を肌で感じることが社会科において,いかに大切かということを度々述べて参りました。つまり,一言で述べるなら『百聞は一見に如かず』をテーマに学習活動を計画することが可能なのがこの第3・第4学年あり,それを頻繁に活動に組み込んでいくことが非常に重要だと思うのです。
ここで3つ目のキーワードにも挙げる具体的事例『フィールドワーク』がとても大切な活動だと考えています。社会科見学がその一端を担うでしょう。
第5学年の学習では,地域という視野から日本という視野に広がっていきます。第(5)・6学年では,日本という視野から日本と関わりの深い世界の国々へと広がっていきます。
しかしながら,第5学年では,例えば教科書に沿って『あたたかい土地のくらし』を学習するために,その地域以外の学校が社会科見学で現地にいくことは非常に困難なことだと思います。だからこそ,そこに前回まで述べさせて頂いてきた資料集やICTを活用した教材づくり等が必要になります。
(※参照 中村祐哉のシャカリキ社会科 第1回・2回『社会科ICT活用のホップ!ステップ!ジャンプ!』)
つまり,実際にフィールドワークに出かけて,人々の工夫を直接聞くことができ,努力の跡を自分の目で確かめることができることが、この第3・4学年の社会科授業の醍醐味でもあるといえるのです。
子どもたちを学校外で学習させることは,安全面の配慮や関係先等先方への事前連絡・打ち合わせ,さらには校外学習等の提出書面の関係など事前におこなうことはたくさんあるとは思いますが,子どもたちの社会科学習の素地ができる学年であるということを常に頭に置いて学習のヴィジョンをもちながら,可能な限り子どもたちと共に地域に繰り出してみて欲しいと思います。
さて次回のシャカリキ社会科は,学年をひとつ進級させ『第5学年社会科授業のキーワード』をお送りさせていただきたいと思います。
今回も,最後までご拝読ありがとうございました。
中村 祐哉(なかむら ゆうや)
広島県公立小学校 教諭
「社会科教育」「国際教育」「ESD」をメインテーマに,日々授業実践と研究に取り組んでおります。拙い教育実践ではありますが,共に学ばせていただければ幸いです。
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