2014.10.28
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中村祐哉のシャカリキ社会科 ~第3回『地図帳は見るもの?読むもの?』~

広島県公立小学校 教諭 中村 祐哉

「地図帳」を開くことは日本・世界と教室の子どもたちとの距離が近づくということ

 シャカリキ社会科シリーズ第3回のテーマは「地図帳」です。

どうしていきなり「地図帳」なのかというと,私自身がまだまだ勉強不足で見落している部分も多いとは思うのですが,「地図帳」のみを取り上げた教育コラムをあまり目にしたことがなかったからです。

 

 私自身,「地図帳」がとても好きです。地図を見ていると,三十路ながらなんだかとてもワクワクしたりします。笑

子どもの頃から暇さえあれば「地図帳」を開いて,友達と世界の国の首都暗記数で競っていたことを思い出します。

大学では,中学・高等学校社会科教育と都市社会学ゼミが専攻だったということ,そして50カ国近くを旅してきたということも「地図帳」好きを加速させる要因だったかもしれません。

社会人になってからは,国土地理協会の「地図・地理検定」を毎回のように受けパーフェクトスコアを狙い続けました。

また,単著本なども出版しましたが,これから先,自分がどんなにがんばって執筆して本を書いたとしても,自分の中で一番の本は「地図帳」だと?いう思いに変化はないだろうなぁと思っています。

そして,普段の今の生活を振り返ると,大人になっても必要で地図を開く機会がたくさんあります。

職業柄,次の出張先の学校の場所などを調べる際もそうですし,カーナビを使うことだってその一種と言えます。今回は,そんな?「地図帳」(地図)をテーマに小学校の社会科授業での活用を考えていきたいと思います。

 

 少し固いお話になってしまいますが,社会科の授業で「地図帳」を使う根拠は学習指導要領社会科の教科目標にいきなり出てきます。

「我が国の国土に対する理解と愛情」という箇所がその根拠に当たります。

この部分に至っては,平成20年度版学習指導要領解説にも『第1節・社会科の目標・1教科の目標(2)』にも特記されている部分です。

他にも目を向けてみると,第5学年の学習内容『(1)ア 世界の主な大陸と海洋,主な国の名称と位置,我が国の位置と領土』などにも当てはまると言えるでしょう。

そして,社会科の学習指導要領解説を読み込んでいけばいくほど,ほとんどの内容取り扱いに「地図帳」が活用できるであろう記載が見られることに気付かされます。

つまり,社会科の授業において隅々までフル活用されるべき一冊が「地図帳」だと言えるのです。

そして,「地図帳」を開いていくうちに,だんだんと日本・世界と教室の子どもたちとの距離が近づいていくということが大切ではないでしょうか。

 

「地図帳」は見るもの?読むもの?

 「どういう意味だろう?」と思ってしまう様な見出しですが,読者のみなさまも一緒に考えてみて頂ければと思います。

国語科の教科書は「読む」と言いますね。

社会科の教科書も「読む」と言いますね。

では,「地図帳」はどうでしょうか?

「地図帳を見てみよう」と普段何気なく使われることが多いと思います。

「地図帳を読んでみよう」とはなかなか言わないですよね。私もなかなか言いません。笑

私がここで述べたいのは,言葉の綾ではなく,実質的な意味として子どもたちに感じさせたいものです。

 

 結論から述べるなら「地図帳」は「読むもの」であって欲しいと思っています。

もっと正確な言葉を使っていくならば,「地図帳」から「読み取るもの」であって欲しいと思っています。

教師は,単元の目標に沿って,その「地図帳」のページから

1.どんなことがわかるのか?(海が近い・高速道路が走っている など)

2.どんなことが想像できるのか?(人口が多いから消費地になっている など)

3.関連づけて考えられるものはないか?(人々の生活や産業 など)

をヒントとなる資料やデータと共に提示しながら,子どもたち同士で?読み取らせる,そして考えさせる場を設定できるのが「地図帳」の効果的な活用と言えるのではないでしょうか。

 

「地図帳」を読ませる機会をいかに多くもつかがカギ!

 国語辞典が意味調べをした言葉の付箋でいっぱいになって,学習の跡がしっかり残る素敵な実践を見させていただいたことがあります。

きっとこの日誌の読者の先生方でも取り組まれておられる方も多くおられると思います。

 

 私のクラスでは,「地図帳」がそれに近い状態になっています。

学習の中で出てきた地名には,必ず赤線を引いておきます。

これによって,また別の学習でその地名が出て来たり,近隣の地名を学習した際に,簡単に既習事項を思い出すことができます。既習事項と関連付けたりすることもできるでしょう。

また,私は学級での取組として都道府県・県庁所在地はもちろん,国旗・国名・首都名などをゲームに取り入れて暗記をさせていますが,暗記にあたって新たな資料等はあえて作らず「地図帳」のみで取り組んでいます。すると子どもたちは自然に自分たちでノートを開き,書いて覚え始めます。自主学習も進んでいきます。もちろんゲームに勝ちたい気持ちもあるとは思いますが…。

さらに学習が深まってくると,暗記のためのプリントを学習係の子どもたちが自発的に作り始め,「これをコピーしてみんなにも配って一緒に勉強して欲しい」とやって来ました。自発的ですばらしい意欲だと思いました。

覚えてしまうと,今度は,その都道府県や国の豆知識や雑学を知りたくなったり,新しい国名を覚えたくなったりと「知の連鎖?」が始まります。

そこで,教師はまた新しい資料をすぐに与えるのではなく

「地図帳を読み込んでごらん。もっとすごいことに気付いたり見つけたりできると思うよ。〇〇くんならきっと気付いちゃうんだろうなぁ!」

とサポートすると,やる気いっぱいでまた次の「知の連鎖」を生みます。

 

 そして,学習の最後には本当に嬉しい一言である,

「中村先生,僕ここに行ってみたいなぁ。実際に見てみたい!」

と「地図の上の世界」と「リアルな世界」を自分でつなげたい衝動をもつ子どもたちが出てくるのです。

つまり「地図の上に立つ子どもたち(地図の上に立ちたい子どもたち)」が生まれることが地図帳活用の最たるものだと思います。

知への無限の広がりがあるのがこの「地図帳」です。

他にも,他教科の学習の中で出て来た地名を地図帳で見つけてみたり,NIEの記事で出てきた地名をすぐ調べたりと,ありとあらゆる場面でとにかく地図帳を広げて,読み込ませていきます。

すると前述した国語辞典のように,開くこと・読み込むことが当たり前となり,学習の跡も残る,子どもたちにとって身近な一冊にしていけるのではないでしょうか。

 

今回も,長文最後までご拝読いただきまして,本当にありがとうございました。

さて,次回の連載は,11月14日金曜日となります。引き続き「中村祐哉のシャカリキ社会科」コーナーをどうぞよろしくお願い?致します。 

中村 祐哉(なかむら ゆうや)

広島県公立小学校 教諭


「社会科教育」「国際教育」「ESD」をメインテーマに,日々授業実践と研究に取り組んでおります。拙い教育実践ではありますが,共に学ばせていただければ幸いです。

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