2014.09.16
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

中村祐哉のシャカリキ社会科 ~第1回『社会科ICT活用のホップ!ステップ!ジャンプ!』~

広島県公立小学校 教諭 中村 祐哉

 シャカリキ社会科スタートです!

 これまで私が担当させて頂いたつれづれ日誌では,日々の学級経営で大切にしていることや,上海日本人学校の勤務経験・教育実践リポートなどを連載して参りました。今回からは,私が専門としている小学校(主として高学年)の社会科教育を中心に『中村祐哉のシャカリキ社会科』と銘打たせて頂き,つれづれと執筆して参りたいと思います。

 さて,この連載の見出しの中にある「シャカリキ」とは「ひとつのことに対してがむしゃらになって固執すること」「何かに対して躍起になって懸命に取り組む様」「わきめもふらず物事に望む様」という意味があります。

 社会科は,ズバリ!子どもたちも教師もこの語意の通りシャカリキになれる教科だと思うのです。

 この連載を通じて,今までちょっぴり社会科の授業が苦手だったなぁ…と思われていた先生方に少しでも「なんだか楽しそうだな,社会科って!」と興味をもって頂けるように,その内容を日々の実践から専門的なことまで幅広く執筆していくことができればと思っております。

 そして,一人でも多くの社会科大好き先生が増えていくことが私の大きな願いでもあります。これからの社会科について共に考えていくことが出来たなら,連載執筆者としてこの上ない喜びです。

 第1回の今回は「社会科とICT活用」についてです。それでは,シャカリキ社会科スタート!

 

社会科とICT活用

 私の中では社会科という教科とICTは,もはや切っても切れない関係にある両者です。

 私の場合,特に高学年の社会科の授業においてICT機器やソフトウェアを使用しない授業は,テストの時くらいになっています。社会科は,その教科の特性からICT機器やソフトウェアの良さを最も発揮しやすい教科のひとつとして位置づけることができると思います。

 ICT機器等を活用することによって,小学校学習指導要領社会科の指導内容についてより的確に押さえていくことのできる手段としての活用はもちろんですが,拡大解釈も含めた弾力的な視点から見ていくと,例えば文部科学省情報モラル教育実践ガイダンス(平成23年/国立教育政策研究所)には,教育の情報化のねらいとして,「情報活用能力」の観点には,「情報活用の実践力」「情報社会に参画する態度」などが柱として明記されています。そして,その中には「情報活用能力の育成」が挙げられているのです。

 この「情報活用能力の育成」という視点を社会科に弾力的に当てはめて活用していくならば,社会科授業の中での資料活用や読み取りに対して,また情報の整理や抽出などの場面において,教師や子どもたちがICT機器・ソフトウェア・ウェブサイトなどを適切且つ積極的に活用していくことで,社会科から発信されながらも,社会科以外の指導や子どもたちの学習にまでその効果の裾野を広げることのできるものだと感じています。

 また,ICTを活用することで情報や資料の読み取りの場面に際しては,視覚的・聴覚的にアプローチをかけることができるという点も,社会科とICTがタッグを組む大きな強みであると思います。

 

社会科授業でのICT活用!ホップ!ステップ!ジャンプ! ~その1「資料提示」~

 さてこれだけ社会科授業でのICT活用の重要性について熱く語ってきましたが,実際どのように活用していけばよいのでしょうか。

 すでにたくさんの実践を資料としてもっておられる先生方も多いと思いますが,今回は基本に立ち返り,今までほとんど使った事がないという場合,まず何から始めるのがよいのだろうか,という点を考えてみたいと思います。

 そこで,社会科ICT活用を「ホップ!ステップ!ジャンプ!」の三段階にまとめてみました。

 

第1段階・ホップ「資料を提示してみましょう」

 まずは,グラフ資料やデジカメなどで撮影した資料を大型液晶テレビや電子黒板に提示してみましょう。これは,90年代あたりの話になりますがOHP(オーバーヘッドプロジェクター)などの使い方と類似した使用方法です。

 これなら今まで通り資料を印刷したものを黒板に貼って提示すればよいのではないか,となるかと思います。

 しかし,これをすることによって今まで大きな資料が占拠していた社会科黒板の大切なスペースが,その資料を読み取った子どもの考えを書くスペースに早変わりするのです。つまり,中心資料等を大型液晶テレビや電子黒板に提示しておくだけで,黒板を広く使うことができ,子どもたちの読み取りや考えで板書が進んでいくという素敵な展開になるのです。これなら簡単!まずはホップの「資料提示」から取り組んでみられてはいかがでしょうか。

 それでは引き続きステップ・ジャンプについては,次回の連載でお話したいと思います。 

 

 さて,次回はつれづれ日誌第16期のスタートになります。第15期は,つれづれ日誌での連載がスタートクールだったということもあり,私自身のまだまだ未熟な実践部分や読みにくい箇所・駄文等も多々あったことと思いますが,ここまでご拝読くださり本当に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

 私が居住する広島も朝晩が涼しくなってきました。季節的にもあきの夜長でついつい遅くまで本を読みふけったり生活が不規則になりがちな私です。(笑)みなさまも季節の変わり目,体調には十分お気をつけになられてお身体ご自愛下さい。

 それでは,次回分からはじまる第16期からもどうぞよろしくお願い致します。

中村 祐哉(なかむら ゆうや)

広島県公立小学校 教諭


「社会科教育」「国際教育」「ESD」をメインテーマに,日々授業実践と研究に取り組んでおります。拙い教育実践ではありますが,共に学ばせていただければ幸いです。

同じテーマの執筆者
  • 前川 修一

    明光学園中・高等学校 進路指導部長

  • 村上 稔

    陸中海岸青少年の家 社会教育主事

  • 泊 和寿

    石川県金沢市立三谷小学校 教諭

  • 高岡 昌司

    岡山県教育委員会津山教育事務所教職員課 主任

  • 高橋 英路

    前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
    山形県立米沢東高等学校 教諭

  • 赤堀 達也

    旭川市立大学短期大学部 准教授

  • 石元 周作

    大阪市立野田小学校 教頭

  • 青木 信一

    大阪市立中学校教諭、日本キャリア教育学会認定キャリアカウンセラー

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop