放課後児童クラブの立場から考える、学校に願うこと
先日、放課後児童クラブの指導員を対象とした研修会に参加しました。
長い間、教員として勤めていましたが、放課後児童クラブのことについて勉強が足りなかったと痛感しました。ここでは、教員の立場から放課後児童クラブのことについて考えたことを共有したいと思います。
岡山県矢掛町立小田小学校 教諭 角田 直也
放課後児童クラブはいつから始まった⁉
放課後児童クラブの起こりは1950年前後です。戦後復興を目指し、働き手が増え始めたころ、大人が働いている間、子どもたちが安全に遊べる環境へのニーズが高まり、自然発生的に整備が進みました。
さらに1960年代には、国の政策も介入し、学童保育が全国的に広まっていきました。
1997年、「放課後児童健全育成事業」で法定化され、学童保育から放課後児童クラブと名称が変わりました。2015年には「子ども・子育て支援新制度」が施行され、法改正や放課後児童支援員の資格化が行われました。
意外と知らない放課後児童クラブについて
放課後児童クラブは、一つの支援の単位をおおむね40人以下とし、放課後児童支援員を配置することとされています。
放課後児童支援員の資格は、教員免許などを所有しているか2年以上の実務経験を経た上で、16科目×90分の研修を修了した人が有することができます。 現在、資格の取得者は増加傾向にあります。
近年は公設公営の放課後児童クラブから、民間委託が行われ公設民営の放課後児童クラブが増加しています。その結果、一般的に施設利用料は高くなってしまいますが、待機児童は解消傾向にあります。
学校教員は放課後児童クラブをどこまで知っている?
学校の敷地内に併設されていることもある放課後児童クラブですが、学校の教員は放課後児童クラブのことをどこまで知っているでしょうか。
恥ずかしながら、私は今回の研修を受けるまで、学童保育から名称が変わっていることも知らないほどでした。もしかしたら、教員の中には、「児童の安全を管理し、保護者の迎えが来るまで遊ぶ場所」という認識の人もいるかもしれません。
しかし、放課後児童クラブの中には、学校運営計画にあたるような運営計画があったり、それぞれの児童に指導計画を作成し放課後児童クラブの職員で連携したり、保護者との情報共有のために通信を作成したりしている放課後児童クラブもあります。
また、英語教室やそろばん教室などと連携して、いわゆる習い事を同時に行っている放課後児童クラブもあります。
学校と放課後児童クラブは、同じ児童を教育する立場として、連携を深めていくことは児童にとって間違いなく利点が多いでしょう。
しかし、お互いの業務時間や組織構成が違う中で、理想的な連携は難しい現状があるかもしれません。そこで、放課後児童クラブの願いから連携の糸口を探っていきたいと思います。
放課後児童支援員が語る、学校に願う3つのこと
①下校時刻や休校連絡の連絡がほしい
放課後児童クラブへの休校連絡は、契約関係にある保護者からの連絡が基本となります。しかし、放課後児童クラブの立場から考えると、できるだけ早く情報が欲しいでしょう。
一方学校では、休校の可能性があると、給食の手配、保護者連絡、授業時数の確認、近隣校や教育委員会との調整など、ドタバタと関係各所と連絡をとります。
その中で、予定外に放課後児童クラブを開所することになる場合もあります。可能な範囲で、保護者からの連絡より早く伝えられるとよいでしょう。
②担任間で日常の様子を共有したい
児童の家庭環境や個人情報に関する話は、保護者の同意が必要であることが前提ですが、下校のタイミングで顔を合わせたときには、当日の児童の様子や変化について簡単にでも情報を共有しておきたいものです。
しかし、6時間の授業を教えた後の小学校の教員は、大変疲れています。そのような教員に対して、放課後児童クラブの支援員はとても話しかけにくいようです。
児童が手を離れて下校した後だからこそ、少し肩の力を抜いて、こちらからあいさつを交わすことからコミュニケーションを始めていきたいですね
③定期的な連絡会が欲しい
緊急的な児童の連絡は、保護者の同意の下で担任と放課後児童支援員で行います。
しかし、お互いの教育・運営方針の確認や、連絡窓口の確認、施設利用のルールなどを改めて確認したい場合、どのように声をかければいいのか困っているようです。
また、管理職が変わるたびに、連絡の頻度や情報の内容が変わるため、場合によっては情報が伝わってこないこともあるそうです。
1つの学校がたくさんの学童と関わっていると難しいかもしれませんが、学期に1回程度の情報の共有があると、以後の連絡が取りやすいそうです。現実的な回数を見つけて、情報のすり合わせができるといいですね。
小学校の教員と放課後児童クラブの支援員がお互いを尊重し合える関係づくり
小学校の教員の多忙化がニュースに取り上げられるようになり、放課後児童クラブの立場からすると教員に声をかけにくくなっているようです。
一方で、小学校の教員としても、児童クラブのルールがある中で、学校の要望を伝えにくい面があります。
しかしお互いの意見を伝えられないままでいれば、児童にとっても良くない現状が続いてしまいます。
お互いの立場を尊重して、保護者の立場も含めた話し合いの場があると、より連携が取れた三者の関係を築き上げることができるかもしれません。

角田 直也(かくだ なおや)
岡山県矢掛町立小田小学校 教諭
特別(聴覚)支援学校、青年海外協力隊(マラウイ)、公立小学校に勤務。
近年は、総合的な学習の時間に行う地域をフィールドにした活動を軸として、教科横断的なカリキュラム編成を実践・検証し、地域学習と教科学習の双方の深化について研究しています。
また、先輩教員のノウハウと新しい"観"の教育を融合しつつ、若手教員と共に学ぶ新しい研修方法を実践しています。
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