2026.06.22
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思考を整理するノートを作れる児童の育成

みなさんは、どのようにノート指導をしていますか。
児童の考えを深めたり、学びを定着させたりするノートを目指していきたいところですが、児童の実態が多様化する中で、字を書くことに苦しさを感じる児童も多くいます。
また、ノートを丁寧にチェックしたくても、限られた業務時間内でコメントを書いたり細かく指導したりすることに難しさを感じることもあるでしょう。
そこで、今回は、私が実践する中で有効だった手段を紹介します。

岡山県矢掛町立小田小学校 教諭 角田 直也

「ノートを書く」か、「発表する」か問題について

ノート評価のルーブリックを作成してノート指導を行うと、発表や話し合いを後回しにして、ノートを書くことに集中してしまう児童がいます。授業者にとっては、「ノートも丁寧に書いてほしいが、発表もしてほしい」ところです。
学年が上がってくるとノートを書きながら、意見をまとめることができる児童もいますが、両立できる児童は多くないでしょう。個人的には、個々の児童にとって学びが定着しやすい手段で授業に参加することが望ましいとは思っています。

しかし、「発表したくないからノートを書く」「ノートは面倒だけど発表したい」など、自己分析が十分にできないまま学習方法を選択している児童も少なくありません。
また、ノートのまとめ方が十分に身についていない上に、ノートをうまくまとめると学力の向上につながることに気づいていない場合もあります。そのため、教員が理想的なノートのまとめ方を指導していくことは必要であると考えています。

ノートはどうして書くのか

  

ひとりずつのノートに目標を示している 

1人1台端末が導入されて、書く活動についてさまざまな意見が交わされるようになりました。タブレットでデータが蓄積されるならば、ノートは必要ないのではないかという意見もありました。
私も、黒板の内容を書き写すノートであれば、タブレットで写真を撮ればよいと思っています。つまり、自宅に帰って問題の解き方がわからなければ、ノートを開くように写真を開いて調べればいいと思っています。

それでは、なぜノートを書くことを児童に勧めるのでしょうか。それは、「思考を整理する」ことを児童に求めているからです。
めあてやまとめは、黒板の内容をそのまま書き写すことが多いかもしれません。しかし、算数科の考え方を書いたり、国語科の考えと根拠を結んだりするなど、試行錯誤する経験は、ノートで行ってほしいと考えています。
その理由は、数年前はこのような考えを整理する活動をタブレットを使って行うこともありましたが、やはり手元で書いたり消したりする作業を繰り返している方が、児童の思考が働いている感覚があったからです。もちろん、タブレットの方が思考を整理しやすい児童にノートを勧めはしません。

さらに、自分の言葉でメモを書いたり絵や図などを用いてまとめたりするなど、オリジナルのノートを作り、学習したことのさらなる定着を図っていってほしいと考えています。
このような私の思いも、すべて児童に伝えることで、お互いの共通認識でノート指導を行っています。

理想のノートに近づけるには

   

児童と相談して決めた10段階の指標(筆者作成) 

ノート評価は、1日1教科までにしています。その教科は、児童が考える活動を十分にとることができた教科にしています。
評価基準は、全10段階あるレベルの中で、個々の児童と相談して、児童に合った段階の合格ラインを1つ設定しています。評価基準を満たしていれば、表紙にシールを1つ貼るようにしています。

文量や丁寧さなど、複数の評価規準があるルーブリックも実践してきました。しかし、ノートを丁寧に書いてほしいと願う特定の児童に関しては、たくさんの評価規準を示していてもどれも未達成になってしまいます。
自分の手が届く目標を1つだけ設定することで、目標を達成しやすくします。そして、シールが10個たまったら、次の段階の基準に進むなど、目指すべき内容をわかりやすくします。
合格シールを貼ったり、ノートに「A」と記したりするだけでも、児童のやる気は高まります。目標に向かって努力していることや、がんばっていることを評価してもらえるだけでも、児童のやる気につながります。

習慣づくまでの70日間、児童のやる気を維持する方法

 

表紙にオリジナルシールを貼り、意欲を高める

書くことが好きな児童は、放っておいてもノートのレベルは上がっていきます。しかし、書くことを面倒に感じる児童は、どうしても手を抜いてしまいがちです。
人が習慣づくまで70日ほどかかるといわれています。「定規を使うことが当たり前」「めあてとまとめを書くことは当たり前」といえるように、いくつかの手段でやる気を維持させましょう。

①レベルアップシール

何年生になってもシールは大変有効です。最近は生成AIで画像を生成することができます。10枚で目標がレベルアップするならば、10段階の画像を生成しラベルシートに印刷して使うこともできます。オリジナルキャラクターや、パズルのように10枚たまれば1枚のイラストになるようなシールの作り方も考えられます。

②友達とノート交換

ノート交換用のノートを作ります。授業が終わるたびにノートを交換して、友達のためにノートを書くという意識を持たせることで、いつも以上に丁寧にノートを書くことができます。

③毎週〇曜はノートチェック無しデー

習慣づかなくなる一番の要因は、マンネリ化による妥協です。あえてルールを柔軟にすることで刺激を与えます。例えば、ノートを提出しなくていい日(ノートを雑に書いても注意されない日)を作ることで、柔軟さを与えます。その代わり、他の曜日はきちんと取り組むことを約束することで、習慣を継続させます。それではノートを雑に書く児童が増えるのではないかという意見もありますが、ある程度習慣づいている児童は、意外と丁寧に書きます。

ノートを丁寧に書くことは、全ての教科の学びの礎を作ることになります。労力がいることですが、児童の力になることは間違いありません。
まずは、ノートについて児童と話して、児童と目標を共有することから始めてみてはどうでしょうか。

角田 直也(かくだ なおや)

岡山県矢掛町立小田小学校 教諭


特別(聴覚)支援学校、青年海外協力隊(マラウイ)、公立小学校に勤務。
近年は、総合的な学習の時間に行う地域をフィールドにした活動を軸として、教科横断的なカリキュラム編成を実践・検証し、地域学習と教科学習の双方の深化について研究しています。
また、先輩教員のノウハウと新しい"観"の教育を融合しつつ、若手教員と共に学ぶ新しい研修方法を実践しています。

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