2026.01.23
  • x
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

社会科授業における「まとめる活動」の意義と実践―1時間ごとのまとめと単元のまとめを通した学びの深化―

小学校社会科における「1時間ごとのまとめ」と「単元のまとめ」について、授業実践をもとに紹介します。
社会科の授業における「まとめる活動」の目的は、学習を通して得た知識や考えを整理し、理解を確かなものにすることにあります。
また、子どもが何を理解し、どのように考えたのかを把握するための重要な手がかりとなります。
これらの活動は、知識・技能の習得だけでなく、思考・判断・表現の力とも深く関わっています。
今回は、「まとめる活動」の実践例を紹介します。

姫路市立白鷺小中学校 主幹教諭 竹内 哲宏

1時間ごとのまとめ①~知識の習得を目的とした「まとめる」活動~

図1 筆者作成

まずは、「知識の習得」を目的としたまとめです。1時間の授業では、本時の問いを把握し、それに対する予想を立て、資料を用いて確かめる学習過程を経た後、最後にまとめを行います。
例えば、「なぜ太平洋側に工業地帯が広がっているのだろう」という問いを設定し、「日本の人口密度」「日本の地形」「日本の主な高速道路と、輸出入額の多い港・空港」といった複数の資料を用いて確かめます。資料の読み取りの場面では、クラゲチャートなどの思考ツールを活用し、資料から読み取った事実と、それに対する自分の解釈を整理します(図1)。
調べた内容を図として可視化することで、太平洋側に工業地帯が集中している理由を、人口・地形・交通といった複数の視点から捉えることが可能になります。その後、文章で本時の問いに対する解を表します。
内田伸子は「作文は知識を確実なものとし、理解を深め、さらに、自分がどの程度理解したかを意識化・整理するために、大きな力を発揮する」と述べています。資料から得たイメージ的な理解は、文章で表現することによって論理的に整理され、説明的知識として定着していきます。
授業のまとめの段階で文章表現を行うことは、子どもが自らの理解を点検し、知識を再構成する過程であるといえます。そのため、教師が一方的にまとめを示すのではなく、子ども自身にまとめを書かせることが重要です。

1時間ごとのまとめ②~考えを深める「考えの表出」を促す~

次に、「考えの表出」を目的としたまとめについてです。例えば、「ごみを減らすために、わたしたちにはどのようなことができるだろう」という問いに対して、自分の考えを文章でまとめる活動を行います。
この際、特に手立てを講じなければ、一般的で表面的な意見にとどまってしまうことがあります。そこで、これまでに学習した知識を活用することを意識づけるとともに、表現の仕方を示すことが有効です。
内田は、「認識は表現の方向を規定するが、その方向にそった表現を探し当てることにより認識の側が形作られる場合がむしろ多い。認識とことばは作り作られる双方向的なダイナミックな活動なのである」と述べ、表現の過程そのものが認識を深めることを指摘しています。
教師が表現の型を示すことで、子どもはその枠組みに沿って、これまでの学習内容を振り返りながら考えを整理しようとします。例えば、まとめの型として「私は〇〇をしようと思います。理由は〜です。例えば〜。そうすれば〜」と示します。すると、子どもは「私はいらないものは買わないようにします。理由は、いらないものさえ買わなければ、ごみは出ないからです(リヒューズ)。例えば、エコバッグを持っていけばレジ袋を買わずにすみます。そうすれば、ごみはあまりでなくなり、ごみの量を少なくできます」というように、「いらないものは買わない」「エコバッグを持参する」といった行動を、理由や具体例と結び付けて説明し、結果としてごみの削減につながることを論理的に表現することができます。

単元のまとめ~社会的な態度を育成する社会科のまとめ活動~

単元の終末におけるまとめでは、「よりよい社会を考え、学習したことを社会生活に生かそうとしているか」という点が表出されるようにすることが重要です。
例えば、文化財について学習した際、資料から「入場者数の減少」「ボランティア活動への参加者数の減少」「認知度の低さ」といった課題を読み取ることで、「清掃を行うボランティアが減ってきているので、自分もボランティア活動に取り組みたい」「自分の家族や知り合いに○○祭のことを知らせたい」といった考えをもつことができるようになります。

このように、子どもが単元を通して社会的な課題を捉え、その課題に対して自分なりの関わり方を考え、表現することが大切です。成果物の例としては、新聞、スライド、意見文、リーフレットなど、さまざまな方法が考えられます。
単元のまとめを通して、学習内容を知識として理解するだけでなく、社会の一員として主体的に関わろうとする態度を育成することが、社会科の学習において重要なねらいであるといえます。

社会科における「まとめる活動」は、知識の定着だけでなく、思考を深め、表現力を高めるための重要な学習活動です。1時間ごとや単元のまとめを丁寧に位置付けることで、子どもは学習内容を自分の言葉で整理し、社会的事象を多面的・多角的に捉える力を身に付けていくことができます。社会科の授業づくりにおいて、まとめの在り方を改めて見直すことが、質の高い学びにつながると考えます。

竹内 哲宏(たけうち てつひろ)

姫路市立白鷺小中学校 主幹教諭


世界遺産姫路城の目の前にある姫路市初の義務教育学校に勤めています。
資質・能力を育成するための授業づくりを中心に発信できればと考えています。

同じテーマの執筆者
  • 村上 稔

    陸中海岸青少年の家 社会教育主事

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

  • 深見 智一

    北海道公立小学校 教諭

  • 川島 隆

    浜松学院大学地域共創学部地域子ども教育学科 教授

  • 石元 周作

    大阪市立野田小学校 教頭

  • 青木 信一

    大阪市立中学校教諭、日本キャリア教育学会認定キャリアカウンセラー

  • 箱根 正斉

    兵庫教育大学附属小学校

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

「教育エッセイ」の最新記事

pagetop