2024.05.13
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若者向けの国際プログラムに参加しよう!〜学校で実施した、TOMODACHI イニシアチブのイベント〜(2)

こんにちは。前回は、若者が個人で応募する国際プログラムの一例として、公益財団法人米日カウンシルと米国大使館が主導する官民パートナーシップであるTOMODACHIイニシアチブの活動をご紹介しました。今回は、TOMODACHIイニシアチブの活動を、学校で導入した例についてお伝えします。特に、先生や若者向けの社会活動に携わる方々に、ご参考なればと思います。

TOMODACHIイニシアチブに、プログラムの参加大学生(メンティー)のメンター(サポート/助言役)として携わっていくうちに、多くの若者にプログラムについて知ってもらい、応募のきっかけ作りができればと思うようになりました。メンティーやアラムナイ(プログラム既参加者)にとっても、TOMODACHIイニシアチブの活動を周知すること、そして経験共有を通して自らの学びを振り返ることは意義深いと考えました。

札幌市立高等学校 教諭 齋藤 菜奈子

リーダーシップについての講演会開催 〜進路指導部の行事として〜

北海道地域アラムナイ活動地域リーダー藁谷大美氏(当時北海道大学農学部4年)のメンターとして活動していた際、藁谷氏と北海道地域企画のイベント案を練る過程で、高校生にTOMODACHIイニシアチブやロールモデルの経験を伝え、主体的な進路選択のきっかけとなるイベントを実施する可能性について話し合いました。

その前年、担任していた一学年のロングホームルーム(LHR)と地域リーダーをオンラインでつなぎ、Tomodachi MetLife Women’s Leadership Program(TMWLP)の経験、高校生活の過ごし方や、大学受験に向けての勉強方法などについてお話ししてもらいました。勉強と部活の両立方法や、TMWLPについて具体的なお話を聞き、生徒は自発的に行動することの大切さがよく理解できたようで、大変好評でした。
そこで、より多くの生徒たちにこの話を聴く機会を設けることができればと考えました。翌年、「総合的な探究の時間」の進路講話として、勤務校の高校二学年320名を対象に、藁谷氏と元東北地域メンティー(青森大学准教授の石井重成氏)のお二人を招き、リーダーシップをテーマに、TOMODACHIイニシアチブのオンラインイベントを開催しました。
主な内容は、TOMODACHIイニシアチブの経験や進路決定に至るお話です。藁谷氏からは、高校時代の部活動と勉強の両立の方法、大学や学部を決定したきっかけ、大学生活やTMWLPの米国短期研修になどについてお話しいただきました。
また、石井氏には、TOMODACHIの活動や東日本大震災後に東北を訪れてすぐに移住を決意されたご経験から、興味のあることがもしまだ見つかっていなくても心の温度に従いものごとに全力で取り組むことや、皆と協力して行動することの大切さについてお話ししていただきました。

この講演会では、生徒が主体的に参加するよう、グループで話し合いする時間、また生徒が講師に質問して考えを伝える時間を確保することを大切にしました。
例えば、生徒たちにリーダーシップとは何かについて考えてもらった後、講師から、役職や肩書きに関わらず一人ひとりが自分の人生でリーダーシップを発揮することの大切さを伝えられ、事後アンケートに「衝撃を受けた」と書いた生徒もいました。
生徒には大学生活、社会人生活についての不安をなくし、興味関心のある分野について調べ、挑戦することの大切さやが伝わったのではないかと思います。

学校でイベントを実施する際、予算を確保することが難しいという問題があると思います。上記のイベントに関しては、講師にはボランティアで参加していただきました。事前の打ち合わせも含め、貴重な時間を割いていただき感謝しています。
イベントを企画する際は、若者のためにぜひ協力したいという方々、またはそういった講演を助成する制度(例えば、札幌市のアイヌ教育出前体験授業や、北海道の場合は福祉教育アドバイザー派遣制度で北海道盲導犬協会の講演会)などさまざまな助けを得て、生徒に普段経験できない貴重な機会を提供する方法を探すことは可能かと思います。
実際に、地域の方々や、保護者、OB・OGの方々などに相談すること、また同僚のネットワークを活用する方法などもあるでしょう。
今はインターネットであらゆる情報が手に入りますが、講演会などのイベントでは、実際に生徒に有益だと思われる講師のご経験や情報に焦点を当ててお話をいただくことができます。生徒は仲間との意見交換や講演者との質疑応答を通じ、新たな気づきを得て視野を広げる機会になります。
このような機会を通じて、生徒が主体的に行動すること、新しいことに挑戦すること、様々な人とコミュニケーションを取ることへの素地を養うことが、普段の英語教育や、将来的に留学などの国際プログラムへ応募する際に活きてくると感じています。

齋藤 菜奈子(さいとう ななこ)

札幌市立高等学校 教諭


アフリカやアジアで、教育担当官として児童や教員の支援に携わった後、十数年前に公立高校の英語教諭に転職。勤務校では、海外の高校との交流、フェアトレードやSDGsをはじめとする実践を通じ、英語を使いながら学び、多様な文化への興味関心を高め、地域社会や海外に貢献する教育活動を取り入れている。
社会活動では、米日カウンシル が主催するTOMODACHIイニシアチブで、大学生のメンターとして四年間活動し、女性・若者のリーダーシップ能力育成に努めてきた。

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