2025.03.21
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学びへの意欲:内発的動機付けと外発的動機付けの関連性

私たち教師が教室の中で、児童一人ひとりにあった指導方法や学習教材を見つけ出すのは容易ではありません。なぜなら彼らの学習スタイルは十人十色であるからです。
しかし、これらを日々見つけていく地道な作業が児童一人ひとりの学ぶ意欲をかき立てることにつながっていると毎日の授業で確信しています。

在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師 下條 綾乃

現在私は小学校教師として働きながら、アメリカの大学院で児童の内発的動機付けと外発的動機付けの関係性を研究しています。
教室は一番の研究室で、実践と研究を交互に繰り返すことで子供達に適した新たな指導方法や学習教材を見つけられていると感じることがあります。
今日はそのために日々行っている習慣を3つ紹介したいと思います。

1)児童の学習スタイルについて質問する

児童の背景、学習スタイル、長所、短所、興味、特別なニーズや配慮が必要な場合などを知るためにできること、それは児童とより良い人間関係を築くための努力をすることです。その積み重ねで児童たちは毎日楽しくコミュニケーションをとることができるようになると感じています。
個別で学習や勉強のスタイルについて質問し、それぞれの学習スタイルを特定するのに役立てています。 ラーニング・ステーションや大人数でのアクティビティを実施しているときに、児童を一人ずつ呼び、次のことを尋ねます。 
「わかりやすいと感じる教え方」「好きな授業活動」「最も楽しかったプロジェクト」「授業の重要なポイントを覚えるのに役立つ練習問題」などについて尋ねています。 その結果を追跡して、児童の能力や特性に合った指導方法を次回に生かせるようにしています。

2) 様々な感覚が試せるような教材を使う

毎回の授業で、多様なニーズに対応できるよう学習教材を研究し、修正するよう心がけています。
視覚障害のある児童のために、スマートボードの画面の文字を拡大したり、オーディオブックを提供したりします。
また、聴覚障害のある児童をサポートするために、ビデオにキャプションやトランスクリプトを追加しています。
例えば、「レッスンの中でさまざまな感覚を取り入れる」。
学習教材を活用し、視覚、触覚、聴覚、運動感覚を試すことで、より多くの児童の特性がよくわかります。
 ビデオを流す、インフォグラフィックスを使う、オーディオブックを提供する、児童に場面を演じてもらう、テキストの中に図表やイラストを取り入れる、話し言葉と書き言葉の両方で課題を指示する、関連性のある数的物理的な物を使う、児童が芸術的な考察や授業の解釈をする時間を設ける、などです。

3) 柔軟なグループ分けによるポジティブな雰囲気作り

毎日さまざまなグループ分けの戦略を使いますが、柔軟なグループ分けのコツを全学年(幼稚園から5年生)で行っています。
授業を分別化することで、児童は個人、小グループ、クラス全体で取り組む機会を得ることができます。柔軟なグループ分けをすることで、同じようなニーズ、学習スタイル、興味を持つ児童をマッチングさせることができます。 学習が苦手な児童であっても、少人数グループでの的を絞った指導が有効な場合があります。
例えば、「似たような学習スタイルの児童をグループ分けする」。
異種混合グループ分けは一般的なやり方ですが、似たような学習スタイルに基づいて児童をグループ分けすることで、共通の作業や考え方の実践を通して協力を促すことができます。

下條 綾乃(しもじょう あやの)

在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師
日本語学校や領事館等で日本語を教えた後、米軍基地内の公立アメリカンスクールで日本語日本文化を教えて20年ほどになります。何年経っても毎日驚きと気づきがあり、それらの一部を皆さんと少しでも多くシェアできたら嬉しいです。外国の子供達に自分の話す言葉や習慣、文化を教えることの楽しさ、難しさ、面白さを呟いていきます。

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