2024.11.22
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探求 :考えさせることの重要さ、ベンダイアグラムを使った大統領選のレッスン(2)

前回紹介したグラフィック・オーガナイザーは、考えを整理するために使われる視覚的思考ツールです。

今回は初等教育から思考を可視化するグラフィック・オーガナイザーが、毎日のレッスンでどのように使われているか、ベンダイアグラム(ベン図)を使った大統領選の事例を紹介します。

在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師 下條 綾乃

先日、アメリカ本国では大統領選が行われました。幼稚園のクラスではなんと選挙の仕組みを学ぶレッスンが行われました。そのレッスンをこちらで紹介したいと思います。

Venn Diagram: イギリスの論理学者であり、哲学者であったジョン・ヴェン(1834-1923)によって発明されたヴェン・ダイアグラムは、2つの円が連動するグラフィック・オーガナイザーです。2つのトピックの相違点と類似点を識別するために使用しています。トピックによっては円が3つになったり4つになったりします。ベン図は、2つのトピックを比較対照するために使用できます。例えば、日米の文化や習慣において、生徒はベン図を使って、相違点や類似点を視覚的に簡潔にまとめることができます。ベン図をつかってグループやペアで考えを発表したり、学びの振り返りをすることもあります。

授業めあて:大統領とはどんな仕事か?どうやって大統領を選ぶのか?
学年:幼稚園
授業数:一コマ(45分)

導入

大統領という仕事はどんな仕事か?どうやって大統領を選ぶのだろう?そんな疑問詞でレッスンがスタート。
『Duck for President』(あひるを大統領に)という大統領選にちなんだ絵本の読み聞かせが行われました。
絵本のページをめくりながら教師は実に多くの発問をし、園児たちは考えるしぐさや応答を多く示しました。

展開

 

候補者の「あひる」と「農家のジェイクブラウン」のどちらを大統領にした方がよいのか

読み聞かせのあと、教師が園児をカーペットエリアに集め、ベンダイアグラムを使いながら、候補者の「あひる」と「農家のジェイクブラウン」のどちらを大統領にした方がよいのか話し合いました。
ベンダイアグラムの良いところは両者の良いところ良くないところ、違ったところ、共通しているところが一目瞭然にわかり、誰にでもわかるように可視化できることです。

まとめ

ベンダイアグラムを使って教師の発問や子どもたち同士の確認、話し合い、共通理解を認識したあと、模擬投票を行いました。
Ballotという投票用紙が一人ひとりに配られ、どちらかを選びチェックマークをしたあと、実際の投票にまねて2度折り目を入れます(教師は紙の折り方まで指導していました)。そのあと、投票箱へ入れるという一連の作業が行われ授業は終了しました。

幼稚園という低年齢から世の中で起こっていることを丁寧に彼らの目線で理解させるという教師の細かい配慮に感動しました。

次回はこのベン図を使った大統領選レッスンを考案した幼稚園の担任教師にのどのような狙いを持ってこの授業を作り上げたのか、その意図をインタビューしたいと思います。

下條 綾乃(しもじょう あやの)

在沖米軍基地内 公立アメリカンスクール 日本語日本文化教師
日本語学校や領事館等で日本語を教えた後、米軍基地内の公立アメリカンスクールで日本語日本文化を教えて20年ほどになります。何年経っても毎日驚きと気づきがあり、それらの一部を皆さんと少しでも多くシェアできたら嬉しいです。外国の子供達に自分の話す言葉や習慣、文化を教えることの楽しさ、難しさ、面白さを呟いていきます。

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