国語や算数を教えない小学校担任?〜教科担任制
今年度より専科教員としてではなく、担任として小学校外国語教育に携わっています。
久しぶりの担任ですが、子どもたちが色々な場面で助けてくれるので毎日楽しくやっています。
兵庫県西宮市立甲陽園小学校 教諭 羽渕 弘毅
国語や算数を教えない担任?
実は今年、学年の外国語科と総合的な学習など一部の教科「しか」教えていません。
国語や算数の授業をしない小学校担任をしています。
もちろん他のクラスの担任にはそれぞれの担当の教科があります。(例:1組担任→国語、2組担任→算数…のように)
学年の中で、中学校のような教科担当制を独自で創り上げています。
あまり前例のない取り組みのため、色々なことを試しながらではありますが現在のところ、以下のようなメリットがあると考えています。
- 授業の質の向上
- 複数の目でサポートができる
- 学級間の風通しが良くなる
- (大人も子どもも)相談相手が増える
それぞれのメリットについて述べていきます。
授業の質の向上
これは言うまでもありません。
小学校の先生は国語、算数、理科、社会を教えて音楽も図工も家庭科もそして外国語や体育も…。まさにスーパーマンのような方ばかりです。
その反面じっくりと教材研究をする時間が少ないのも事実です。
担当教科を絞ることでじっくりと教材研究ができ、教材も再利用することができます。
若い先生はもちろん、ある程度経験がある先生にとっても、今まで教えたことがない教科も時間をかけて教材研究することができます。
複数の目で支援できる
子どもたちにとっては毎日担任だけではなく、色々な先生の授業を受けます。
担任は自分のクラスの子どもたちだけではなく、授業を通して、学年の子どもたちとつながりをもちます。
そのつながりが子どもたちが学校へ通うための安心感になることを期待しています。
また、複数の目で児童を支援することで、担任だけでは気づけなかったその子の「良さ」に出合えるはずです。
いろいろな角度から、いろいろな先生が子どもたちをサポートできるシステムづくりを目指しています。
学級間の風通しが良くなる
小学校における学級はどうしても閉鎖的な空間であると指摘されがちです。
この教科担任制があれば、お互いのクラスへ出入りすることがあります。
その中で「あれ?」と思うことはもちろん、「いいな!」と思うことを共有することができます。
経験年数関係なく、それぞれの思いや願いを大切にしながら、共に成長できることを期待しています。
相談相手が増える
子どもたちは何か相談事がある時に、担任だけではなく他教科で関わりのある教員に話しかけることも増えてきます。
自分で相談したい相手(大人)を選んで、話しかけているのです。
これは保護者にも同じような効果を期待しています。
保護者も担任だけではなく、自分の子どもに関わりのある色々な大人の中から内容に応じて、相談相手を選んでほしいと考えています。
あいスタイルの確立
デメリット?も…?
・時間割の作成と調整が難しい
4月はじめの職員会議では時間割を提案しなければなりません。
ここ何年か時間割担当として3月末は頭がパンクするほど考えるのですが、今年度はここ数年で一番、時間割作成に頭を使いました。
また、時間割が確定しても行事等が入ると、その分の調整が必要になります。
そのため毎週時間割の調整が必要となってきます。
学年の中で誰かが調整役を担う人がいれば安心ですね。(本校もスペシャリストのおかげで助かっております。いつもありがとうございます!)
メリット、デメリットを考慮し、子どもたちにもアンケート(子どもたちが感じる学習面、生活面におけるいい点や悪い点)をとりながら、どういう形で来年度以降も継続や修正をしていくか考えていきます。
こんな資料がありますよ!
文部科学省より以下の資料が出ております。
時間割を作成している時に見つけて、読み返しました。
来年度以降の教育課程編成に活かしていただければと思います。

羽渕 弘毅(はぶち こうき)
兵庫県西宮市立甲陽園小学校 教諭
専門は英語教育学(小学校)、学習評価、ICT活用。 広島大学教育学部を卒業後、高等学校での勤務経験を経て、現職。 これまで文部科学省指定の英語教育強化地域拠点事業での公開授業や全国での実践・研究発表を行っている。 働きながらの大学院生活(関西大学大学院外国語教育学研究科修士課程)を終え、「これからの教育の在り方」を探求中。 自称、教育界きってのオリックスファン。
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