2023.01.21
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罠にはまるな

強めのタイトルをつけて驚かせてしまってゴメンナサイ。今回は、(連載)家族支援@学校をお休みして、先生方と共有したいことを記します。いつまでも、このことを忘れないでいたいと思って。
「このことって、なんのこと?」...はい、今から説明いたします。

東京都内公立学校教諭 林 真未

そんな目でみないで。罠にはまりそうになる。

by有田りりこ

家族支援者と名乗って、教師としてもキャリアを積み、著書も増えてきて。
そうなると周りから「さぞかしマミ先生は、保護者対応も、学級運営も素晴らしいんでしょうねえ」という目で見られているんじゃないかという気分になってきます。
そうすると、それに縛られて、失敗がとても怖くなる。

いつでもどこでも、
保護者とうまくやっていなくては、
学級もうまくやっていなくては、
子どもたち全員に好かれていなくては、
授業も上手にできなければ、
そうじゃなければまずいんじゃないか、いや絶対まずい! 私に失敗は許されないー!

この図式。
私はこれを「罠」と呼んでいます。
 
……皆さんも、職場や周りの評価に見合う自分をキープしなければ、とか、評価を得たいがために失敗を恐れてしまう、とか、そういうことはありませんか?

完璧な先生はいない

完璧な親なんていない

これは子育て支援の業界で合言葉のように使われている言葉です。
これをもじって
完璧な支援者なんていない
と提唱する人もいました。
同じように
完璧な先生なんていない
と肝に銘じませんか。

素晴らしい発信をしていたり
メディアに取り上げられていたり
授業がとてつもなく上手だったり
職場で信頼を得ていたり

いろんな理由で
傍目には完璧に思える先生でも
そのイメージを取り除いて
まっさらな状態でつぶさに眺めれば

決して完璧ではないはずです。

必ず数%はネガティブの不思議

「いやいや、どこから見たって素晴らしい先生はいますから! マミ先生がダメなだけ」
という声も聞こえてきます笑。

私が万人から好かれるタイプではないのは百も承知ですが、
これが不思議なもので、

どこからどう見ても素晴らしい先生でさえ、
不思議なことに、100人いたら100人から好かれるわけではないんですよね。
人の感じ方はとても多様で、必ず、その先生に否定的な人はいる。
隅から隅まで万人に受け入れられるのは至難の業。

そのことを知っていると、だいぶ気楽になれます。

一人の中にも多様性(メディアと現実)

人々の感じ方が多様であると同時に、
たった一人の個性の中にも、大きな多様性があります。

立派なことを言っている人が
ちゃんとしていない部分がある。

頼りにならない人が、
うまく仕事をこなすこともある。

いずれの場合も
人には、人の持ち味のどちらか一面に注目して、違う側面まで否定してしまうという傾向があるように思います。

だから、私自身も、失敗をすると、自分のほかの業績が否定されてしまうのではないか
という恐れに囚われているんだろうな…。

逆に、メディアで注目された素晴らしい考えや実践が、「実は、現実は……」というがっかりする内輪話を聞くことがよくあるのですが、そういうときに「なーんだ。やっぱりそうか」と、その人の業績を全否定してしまいがちなのも、私の悪いところ。
実態がどうであろうと、その人の主張が革新的で有意義である事実は変わらないのに。

双方、罠にはまるなかれ

もう一度。

完璧な先生なんていない。
​​​​​​​
自分なりの思いを発信する側としても
声をあげた先生の発信を受け取る側としても

ひとはみな多様で
長所も欠点もある

もっといえば
うまくいったりいかなかったりして
七転八倒しながら
みんな精一杯生きている

先生に限らず、そもそも、ひとはそういう存在である、ってこと
絶対に忘れないでおこうと思います。

うっかり忘れて罠にはまったら、私が私でいられなくなる。
うまくやれない苦しみを抱えているからこそ、どうにかしたいと思っているんだ。

林 真未(はやし まみ)

東京都内公立学校教諭
カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)
特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事


家族(子育て)支援者と小学校教員をしています。両方の世界を知る身として、家族は学校を、学校は家族を、もっと理解しあえたらいい、と日々痛感しています。
著書『困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡』(東京シューレ出版)
『子どものやる気をどんどん引き出す!低学年担任のためのマジックフレーズ』(明治図書出版)
ブログ「家族支援と子育て支援」:https://flejapan.com/

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