2022.11.29
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先生にとっての 『何だかとても大切なもの』教育相談の技術  イライラしている君へ※明日の○○さんに語りかけるということ(前編)

私たちのしごとはなかなか大変なのかもしれませんね。時にはイライラした気持ち(ここではストレスのこと)が沸き起こることもあるでしょうね。人と人が関わり合う仕事だからこそ避けては通れないものだと思っています。でも、永くこのしごとを続けていくには、このイライラにどう向き合って乗り越えるか、もっと言えばこれからの糧にできるかが大きなポイントです。それは子どもたちも同じこと。今回はイライラと向き合う方法の話です。

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師 渡邊 満昭

イライラと先生と子どもたち

普段はあまり気にとめないかもしれないけれど、どの学校にも必ず「練れた先生」が居て時に私たちを支えてくれることでしょう。
どんなときも動じないそのイメージは、自己コントロールの巧みさがにじみ出ているところでもあるのかなと思っています(その点自分はまだまだですねえ)。

それは子どもたちも同じこと。
一緒にすごす仲間が多いほど、捉え方によってはイライラに出会う頻度も高いといえるでしょう。毎回大きく心を揺さぶられ消耗する時もあるでしょう。でもね、その傍らにはいつも私たちがいます。
いつかやってくる自立の時のために、自分の先生と一緒にオーダーメイドのイライラコントロールの技術を見つけて、今後の学校生活、大げさに言えば人生に役立てていってほしいと思うのです。

オーダーメイドのイライラ対応策につなぐ

イライラ(ストレス)のコントロールの方法自体は、検索サイトで1千万件以上ヒットするくらいの誰もが関心を持つ分野です。解消法も多彩です。もちろん子どもも子どもなりの方法をいろいろ知っています。保健分野でイライラについての授業をすると、私たちが思わずなるほどと思ってしまうような発言が出ることもありました。

ただ、マニュアル通りに方法を知っているだけでは、何か足りないものがあると思っています。それは、実際にその方法を試みて乗り越えた経験です。つまり、その方法が自分の状況にあっていて試みやすく、しかも効果が実感できていれば、次も自分が使える手段となるという具合です。

大人の社会でのイライラへの対処は、時にリスクも責任も伴う大変な状況の中での実施となり、自分にとってもそれなりにエネルギーを使うでしょう。

だからこそ子どもたちは、特別な場ではなくいつもの教室で、しかも私たちが見守る中で自分が自分で使うことのできるストレス対処の方法を、身につけることに意義があると思います。
「教室はまちがってもいい」という言葉があるぐらい、いろいろな自分を試すことができます。私たちの助言も添えることができます。また私たちの側から新しいストレス回避の方法を提案することもできます。

私の考えでは、クラス一律にソーシャルスキルトレーニング(イライラ回避の方法)を学習として学ぶのはなかなかよい方法だと思いますが、その後がとても大切で、その授業ではなく、その後の実際の教室や生活の場で使ってみてどうだったのかというところにこそ、担任のアプローチがほしい気がします。
うまくいけばよかったねと「強化」してあげるし、うまくいかないときは一緒に行動を「分析」するとか、新しいその子に合いそうな方法を「提案」するとか。

そんなある日、私はイライラするある子に対し、ふと思いついて、「明日の○○さんへ」と話しかけてみました。さてどうなったかは、次回お話ししますね。

渡邊 満昭(わたなべ みつあき)

静岡市立中島小学校教諭・公認心理師・学校心理士・環境教育インタープリター・森林セラピスト


いつの間にか、小中学校全学年+特別支援学級+特別支援学校+通級指導教室での担任を経験し、生徒指導主任+特別支援教育コーディネーター+教育相談担当経験も10年を超えていました。すると担任を離れたとたんに何かを忘れてしまって、担任に戻ってみると忘れていたことに気がつくということがたびたびありました。それはうまく言えないけど何だかとても大切なもの。先生を続けていくための糧のようなもの。
その大切なものについて、自分の実践と合わせお伝えしていこうと思います。

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