2022.10.12
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中学年での検索エンジンの指導法

現代では、知らないことがあると検索をすることが当たり前になっています。学校での調べ学習も、インターネットで行うことが多くなりました。検索エンジンの中でも特に圧倒的シェアを誇るGoogleでの検索方法を身につけることは、もはや新たなリテラシーといえるでしょう。今回は、中学年で行った、インターネット検索の指導をお伝えします。

浦安市立美浜北小学校 教諭 齋藤 大樹

調べ学習で増すインターネット検索の存在感

これまで調べ学習の定番ツールといえば、図書や図鑑でした。編集されたり、検閲を受けたりしている情報だからこそ、小学生には適していることがたくさんあります。ただ、最近の調べ学習で用いる媒体は、本とインターネットがほぼ同率というデータもあります。それぞれのメリット・デメリットについて理解しつつ、どちらを用いるかを各先生方が検討している結果なのでしょう。 

1人1台端末が進んだこの数年で、ますますインターネットによる調べ学習が進んでいます。このような状況の中、玉石混交の情報の渦からどのように情報を入手するかが重要となります。そこで鍵になるのが、インターネットから情報を検索する検索サイトの活用方法です。 

検索サイトの使い方をどう指導するか

インターネットの検索の仕方をどの段階で、どのように教えるかはあまり情報がありません。ほとんどの学校で、中学年あたりからGoogleやBingを使って調べ学習をすると思いますが、その指導方法はほぼ教師の技量に任されているといってよいのではないでしょうか。
私が知りうる限り、Google検索の方法が教科書や副教材で示されているのをあまり見たことがありません。なんとなく検索窓に単語を入れることから始まり、2つの言葉をスペースキーでつなげるand検索を行うぐらいの子どもたちが多いように感じます。

ローマ字の学習とともにタッチタイピングを身につける

タッチタイピングを身につけると検索の速度も上がります。3年生ではローマ字を学ぶので、3年生の前半にある程度タッチタイピングを身につけさせることが効果的です。 

3年生では、ア行から一日数行ずつローマ字を学習させていく場合が多いと思います。その際に、ついでにタッチタイピングも身につけるようにすると一石二鳥です。例えば、カ行(Kキー)とサ行(Sキー)を学んだ日に、1人1台端末を使って、そのKとSキーを使うタイピングソフトを使わせます。『マイタイピング』というホームページでは、カ行やサ行限定のタイピングが行えます。 

タイピング練習用に様々なホームページがあると思いますが、このサイトの良いところは、指の位置が常に下部に表示されることです。自己流で打とうとする児童でも、ホームポジションを視覚的に理解しながら、どのキーをどの指で押すのかがすぐに分かるのが効果的でした。 

マイタイピングを用いて、次々に新しい行のタイピングを練習させ、休み時間などには自由にこれまで学んだ行を復習させ続けると、子どもたちは自然とタイピングを身につけていきます。こうした時、改めて子どもたちの吸収力の高さには驚かされます。 

まずは検索画面で遊んでみよう

ある程度タイピングができるようになったところで、早速Googleで検索をしていきます。いきなり、検索方法を試すのではなく、はじめは検索画面で遊びながら検索バーの入力に慣れさせていきます。 

実は、Googleの検索画面には様々な裏技が隠されています。子どもたちは、この裏技という響きに敏感で、楽しそうにその裏技を試していきます。有名なのは、検索バーに「一回転」「斜め」と打つと、画面が一回転したり、斜めに曲がったりします。これが「イースターエッグ」と呼ばれる、隠しコマンドです。こうした裏技を知ることで、子どもたちは検索への興味が高まっていきます。 

AND検索、OR検索、「とは」検索

さて、今回のテーマである検索について述べますが、今回はほとんどの方が使うGoogle検索に限定させて頂きます。Google検索では、まずシンプルに一つの単語で検索をさせていきます。何万もの検索数が出ますが、これはほとんどの子どもたちが経験したことがある検索方法ですので、さっと流します。 

その後、2つのキーワードを使って検索数を絞るAND検索を教えていきます。これである程度検索数は絞られまる。ほぼAND検索があれば中学年の調べ学習は十分だと感じています。 

あまり検索数が出てこない場合や似たような言葉がある場合のために、OR検索も学ばせます。例えば、本校の校名は「浦安市立美浜北小学校」ですが、略称で「美北(みきた)」とも呼ぶ場合があります。「or」で二つのキーワードをつないで調べることで、どちらか一方しか入っていないページも検索されることになります。2つ以上の名前があり、どちらで記載されているかわからない場合に、このOR検索で見つけることができます。 

国語辞典を忘れてきた児童がいた場合にも検索画面を活用して意味を調べることが出来ます。単に調べたい言葉を入れることでも調べられますが、検索窓に「○○ とは」のように「とは」を入れるとすぐに言葉の意味が調べられます。意味調べだけでなく、調べ学習でも使えるテクニックです。 

終わりに

今回は検索スキルを中心にお話しました。今の時代には、検索を上手にする力(検索力)がとても大切だと思います。検索力を磨くことで、情報に適切に接することができるような児童を育てられると思います。「知は力」とも言われますが、あっという間に知にアクセスできるような検索力を磨くためにも、ローマ字を学習する中学年での指導が大切だと思います。 

今回から32期の「学びの場」の連載が始まりました。どうぞよろしくお願いします。 

追記

ところで、Googleで「学びの場」と検索すると本ホームページが上位表示されるはずです。多くの方が訪れるホームページですから優先順位が上がるようになっています。「学びの場」というのは教育業界でよく用いられる言葉なので、あえて内田洋行教育総合研究所の「学びの場.com」ではない「学びの場」について示されたホームページを見たいという場合があるとします。その場合には「学びの場 -内田洋行」のように―(マイナス)を調べたい言葉に入れるとそれ以外のホームページが表示されるようになります。

齋藤 大樹(さいとう ひろき)

浦安市立美浜北小学校 教諭


一人一台PC時代に対応するべくプログラミング教育を進めており、市内向けのプログラミング教育推進委員を務めていました。
現在は小規模校において単学級の担任をしており、小規模校だからこそできる実践を積み重ねています。

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