2022.06.13
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現場と現場が出会い、共に拓く〜New Education Expo 2022 レポ〜

今年も第27回 New Education Expo(以下 NEE)東京が、6月2日(木)から6月4日(土)に開かれました。私も毎年参加しており、昨年度も記事を出しています。ICTや特別支援教育などの教材・教具と直接出会うことができるNEEは、新しい発見ができる展示会です。今回は新しい教材・教具を中心にレポートをお届けします。

浦安市立美浜北小学校 教諭 齋藤 大樹

開発現場の最前線に触れる

ドリルタイム 先行出品

NEEにはMicrosoftや富士通といった大手企業をはじめとして、中小も含めた数多くの企業が出展企業として名を連ねています。また、文部科学省によるブースも設置されています。
私たちが「つれづれ日誌」を連載する学びの場.comも紹介されており、私がNEEを知ったのも学びの場.comの記事がきっかけでした。 

プログラミングや外国語活動といった分野では、毎年新しい教材・教具が開発されています。こうした教材・教具を購入する際には、カタログや取次業者から購入するという流れがほとんどだと思います。
実際に目で見て、開発者から話を聞いて、そして体験をするということはなかなかできないのではないでしょうか。こうしたライブ体験をできるのがNEEの最大の特徴だと感じています。 

まだ世に出ていない開発中の教材も体験できます。
例として挙げた写真のeラーニングシステムは、先行出品として今後発売が予定されているものでした。開発現場の最前線に触れることができ、各企業がどういった方針で開発を進めているのかを学べるので大変興味深いです。  

現場と現場が出会う場へ

担当者の方々との出会い

学校現場に導入されているICT機器の気づいていない機能に驚いたことはないでしょうか。
学校現場は慌ただしいこともあり、教育委員会の担当の方や取次業者から説明を受けても、なかなか細かなところやその教材の良さを理解していないことが多いです。 

NEEを訪れると、各サービスや教材の開発者や営業の方に直接質問をすることができるので、カタログの写真を見ているだけでは考えつかなかった活用方法に気がつくことがあります。 

また、開発現場の方々に教材を「このように使っている」と伝えると、開発段階では想定していなかった使い方ということで驚かれることも多いです。
開発現場の担当者と実際の学校現場の教員がアイデアを交換できる素晴らしい場だと感じます。 

毎年訪れることで気づく教材のトレンド

多忙化が進む学校現場において、自分自身の研修を進めるための時間の確保が難しくなっています。NEEは、午後6時まで開催しているので、勤務時間後に訪れることも可能です。勤務地によっては難しいでしょうが、首都圏の学校に勤務されている先生方は可能な方もいると思います。私も仕事の後に、会場がある有明に移動して参加しました。毎年継続的に訪れることで、変化した部分にフォーカスして効率的に周ることもできます。 

もちろん、腰を据えて出展されている教材を見たい場合には、土曜日も実施しているのでじっくり訪れることもできます。このように、様々なスタイルで見学することが可能です。 

ゲーミィフィケーションの広がり

協力型ボードゲームについて

特別支援関係の教材を開発している方からは、共同してゲームに取り組んでいく中で自然と仲間とコミュニケーションできるような教材が増えてきているという話を伺いました。
皆さんは、「すごろく」と聞くと、他者と競い合いながら相手よりもいち早くゴールをするゲームだという認識を持っていると思います。
しかしながら、この教材は友だちと協力しながらお互いの駒をゴールに近づけていくというものでした。 

ゲーミィフィケーションというゲームの考えを多様な分野に応用しようとする考えが広まってきています。
ゲームの中でお互いに協力したり、カードゲームを通して相手の感情や思考を想像する力を育てたりという教材が増えてきていることを実感しました。 

進化する教具〜ホワイトボードマーカーの手書き感の向上

ホワイトボードマーカー 筆

かつてデジタルの進化によって手書きの黒板が無くなるのではないかと言われることもありましたが、いまだなくなってはいません。その代わり、短焦点のプロジェクターの開発が進み、黒板にプロジェクターを投影することが増えました。黒板にプロジェクターを投影するためのマグネット式のホワイトボードを使っている場合には、黒板の3分の1近くがホワイトボードに占有されることになります。黒板とホワイトボードのハイブリッドという形です。 

どうしてもホワイトボードを使って授業を進める場面が増えるため、ある一つの問題が生じます。それは、ペン先がツルツル滑ることで文字が崩れやすくなってしまうということです。習字の学習の際には、ホワイトボードでも黒板のチョークを使ってでも文字の指導をすることが難しいので、水書板が必要になります。そうすると、ホワイトボード・水書板・黒板のエリアがそれぞれ3分の1ずつ分かれることになり、準備に手間取る事も多くなります。 

NEEでは筆タイプのホワイトボードマーカーが展示されていました。ペン先が柔らかいのでホワイトボードでの文字が書きやすくなっています。ここ数年、こうした商品が発売されていますが、より筆の筆跡に近づいてきていることを感じます。書写の指導書に付属している動画をホワイトボードに映しつつ、ポイントを筆タイプのホワイトボードマーカーで直接書き込むという使い方もできると思います。 

終わりに

今回の記事では紹介しきれないほどの教材や教具が展示されていたNEE。企業が主催しているので、市町村教育委員会や研究校が主催する研修、学会などの実践発表とはまた異なる学びを得られます。

齋藤 大樹(さいとう ひろき)

浦安市立美浜北小学校 教諭


一人一台PC時代に対応するべくプログラミング教育を進めており、市内向けのプログラミング教育推進委員を務めていました。
現在は小規模校において単学級の担任をしており、小規模校だからこそできる実践を積み重ねています。

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