活学校の社会~NEW EDUCATION EXPOで最適な教材選び~「児童よし!」(2)
NEW EDUCATION EXPOが提案する教育の未来からは、研究会や学会とはまた異なる教育の姿に触れることができます。6月3日から5日まで開催されていた、New Education Expo2021 東京を見学して参りました。教室にいる子どもたちに最適な教材がないかという視点で書いた、一教師のリポートです。
浦安市立美浜北小学校 教諭 齋藤 大樹
NEW EDUCATION EXPOとは何か
NEW EDUCATION EXPO(NEE)とは、NEW EDUCATION EXPO実行委員会事務局が主催している教育関係者向けセミナー&展示会です。内田洋行の未来の学習空間「フューチャークラスルーム」を実際に体験したり、企業の開発した最新の教育教材に触れたりすることができます。
多くの教員の方が、附属小学校や研究校が公開している研究会を訪れた経験があるでしょう。ただ、NEEのような展示会となると訪れた経験のある方はそれほど多くはないと思います。NEEは、研究会や学会などと異なり、教育行政の関係者向けイベントと思われがちですが、実際に行ってみると現場の教員でも多くのことが学べる展示会でした。
フューチャークラスルームで「未来」に出会える
フューチャークラスルームとは、株式会社内田洋行が提案している未来の授業を体感できる教室のことです。内田洋行のショールームでは、遠隔授業やタブレットなどの活用を体験することができます。
私も小学生の息子を連れて実際に体験したことがあるのですが、東京と大阪という距離がある状態にも関わらず、まるですぐ近くにいるかのように共同で活動が行えました。息子は、住んでいる地域によって音韻や語彙が異なることに驚いていました。PCやスマホの画面と異なり、相手の等身大の大きさが投影されているので、遠隔地にいる人の細かな所作や話ぶりなどを身近に感じることができたのでしょう。大人にとっては当たり前のことでも、子どもたちからするとフューチャークラスルームでは、様々な発見ができるようです。
普段は、ショールームでしか体験することができず予約制となっていますが、NEEでは出張展示という形で開催されていました。大きなスクリーンで見る生物の様子や感覚的に扱うことができるデバイスなど、これを未来の子どもたちにどうやって紹介できるかを考えるだけでワクワクします。
明日からすぐに活用できる教材に出会える
80社以上もの企業が集まる中で、様々な企業が教育の課題に様々なソリューションを提案しています。
ホームページやUCHIDASなどの教材カタログを見るだけでは、ピンと来ないことでも、実際に生で見ることで「こんな使い方があったのか」と気づきます。
様々な視点から提案された教材とのふとした出会いが、教室にいる目の前の子どもたちを救うきっかけになると感じました。
これから世に出る教材に出会える
自分の感情を客観視するプリントやイラストがSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)などの場面で用いられることがあります。ただ、実際にはそうしたプリントが使いたいときに手元にないことがありませんか。
そうした支援教材がクリアファイルの形になっているものが展示されていました。クリアファイル形式ですので、児童が中にプリントやノートを入れることで移動教室にも持ち運ぶことができ、いつでも活用することができます。
鉛筆で書いてすぐに消すことができるようになっているので、何度も使うことができます。教員が日常的に持つこともでき、口論の仲裁などの生徒指導面でも活躍する商品だなと感じました。私たち現場の人間が教室にいる児童を想像しながら自分の目で見て、手で使ってみることで児童一人一人の課題に最適化した支援教材を考えるきっかけになります。
実は、事前にこの教材を知っていたのですが、「ツルツルして書きにくそう」と思っていました。実際に鉛筆で書いてみると、書き心地が良くて使いやすかったです。
また、このクリアフォルダシリーズには、スケジュール帳や話し方のメモを考えるなどの新シリーズも登場するそうです。教材を開発している方々から、発売されていない新商品を紹介してもらえたり、こんな商品が欲しいと伝えられたりするのも展示会の良さです。
機器の活用法を学べる
GIGAスクール構想により一人一台PC時代が訪れた中で、群雄割拠のごとく使用しているデバイスは乱立しています。本校にはWindowsが導入されていますが、自治体によってはGoogle社のものが使われていたり、iPadだったりと様々でしょう。OSや環境が乱立する中で、自分のやりたい実践を行うには、どうすればよいのだろうかと悩む場面が多いです。他校の実践を行おうにも環境が異なるのでそのままできないのです。
更にMicrosoft社のTeams for Educationも、Google社のGoogle for Educationも通常のサービスとは異なる点もあります。本校で活用しているTeams for Educationに限定すると、次々に新しい機能が更新されていますが、機能の一部しか利用できていません。英語で説明されていることも多いので、調べようにも分からないこともあります。
展示会には、実際にMicrosoft社の方やノートパソコンなどのデバイスを作っている会社も参加しているので、様々なTeams for Educationとの連携アプリを聞けたので助かりました。学校現場での活用事例が増えてきている中で、私たちが学習しやすいようにTeams for Education専用の書籍なども出始めているそうです。
さて今回はNEW EDUCATION EXPO2021について紹介しました。現場の教員の味方となるような展覧会でした。ぜひ皆さんも訪れてみてはいかがでしょうか。
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齋藤 大樹(さいとう ひろき)
浦安市立美浜北小学校 教諭
一人一台PC時代に対応するべくプログラミング教育を進めており、市内向けのプログラミング教育推進委員を務めていました。
現在は小規模校において単学級の担任をしており、小規模校だからこそできる実践を積み重ねています。
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