2022.04.28
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

ワープロソフトの校閲機能を活用した国語指導

「ねぇ、明日部活に来れる?」といった言葉を教室で聞くことが増えてきました。いわゆる「ら抜き言葉」と言われるものです。文法的には誤りであることは分かっていますが、私自身も先週、ふとした時に「自分で何でも決めれる子がえらいよ」と子どもたちに声かけしてしまっていました。教師としては、本来「決められる」と言わなければなりませんね。言語環境を整えることは、教師として重要なことだと言われていますが、子どもたちの語彙力や文法の知識をどのように身につけさせればよいのでしょうか。

浦安市立美浜北小学校 教諭 齋藤 大樹

「ら抜き言葉」を小学校で指導するには難しさがある

なぜ「来られる」ではなく、「来れる」という言葉を使ってしまうのでしょうか。色々と調べていく中で、可能の意味と尊敬の意味が誤認しやすいので、無意識で「ら」を省略しているというものが多く見られました。
私もかつて学生時代に、助動詞の「られる」の意味を覚えた際に、自発・受身・可能・尊敬という4つの意味を、一つの助動詞に込めているのは何故だろうかと感じたことがあります。
これらの考えを理解する根底には、中学校以上で習う文法の知識が必須となります。助動詞や一段活用、カ行変格活用などといった文法を学んだ大人ならばまだしも、小学生の子どもたちにこうした文法上の決まりを指導するのは本当に大変だと思います。
「走る」は「走れる」で良いけど、「来れる」は正しくないということをどう伝えるか。まだ小学生だから、赤で「ら」とつけておくくらいで良いかと思われている先生も多いのではないでしょうか。

国語辞書の言い切りの言葉から

小学3年生の国語の学習から、国語辞書の学習が始まります。辞書引き学習法が次第に一般的になり、どの教科でも国語辞書を引いて、付箋をつけるような学習がよく行われるようになりました。辞書で調べるときには言い切りの言葉が何かを考えるので、「ら抜き言葉」の見分け方の一つとして、言い切りの言葉に「ない」を付けて、あ行にならなかったら「ら」をつけると良いという指導がよく行われています。この見分け方でしたら活用形や助動詞といったことには触れずともある程度児童に理解してもらえやすいからです。
ただ、そもそもこうしたら抜き言葉は、口語ではあまり気にしなくても良いのではないかという考えも増えてきているそうです。

Wordの校閲機能「さ入れ言葉」「たりたり文」

実はこの学びの場も、各執筆者の方々が事前に校閲を受けてから記事を更新しています。私の場合は所属校の管理職の方々にも見て頂き、その後「学びの場」の校閲担当のスタッフの方々による修正を受けます。こうした中で、恥ずかしながら大人の私でも文法上のミスが見つかります。ましてや、まだ助詞や助動詞などを学んでいない小学生の書く作文では、「さ入れ言葉」や「~したり、~する」といった誤った言葉を使ってしまうのは当然のことだと感じます。
こうした時に、活用できるのではないかと考えたのが多くの読者の方が利用しているワープロソフトの校閲機能です。卒業文集などを書く際に、手書きで書いている学校が多いと思いますが、下書きをWordなどで書かせると、自動で「ら抜き言葉」などの修正を行ってくれます。
文法などの理屈が分からなくても、そういうルールがあるのだなと確認し、修正することができるので、小学生にも良いツールだなと感じます。GIGA端末の仕様が広がる中で、作文をWordなどで行う学校が増えていますが、校閲機能の活用という観点でも活用する機会を増やしていくべきだろうと考えます。

校閲レベルの変更をすると新たな発見が

私は、普段MacのPagesというワープロソフトを用いています。職場ではMicrosoftのWordを用いているので、それぞれの校閲機能の違いを感じることがあります。読者の皆さんの職場環境によって大きく異なるでしょうが、多くの自治体で採用されているWordでは、校閲機能の文章構成のレベルを変更することができます。少しくだけた文から公用文など、状況に応じて校閲の種類を変更できます。
学年ごとに習う漢字を指摘してくれる機能もあります。子ども向けのプリントを作る際には、ついつい難しい漢字を打ち込んでしまうことがありますが、こうした際にもWordが指摘をしてくれます。1年生から6年生まで漢字レベルを変更することができて本当に便利な機能なので、色々な活用方法があると思います。卒業文集をワープロソフトで打たせると、背伸びをしてあえて難しい漢字を使おうとしてしまう児童も多いと思いです。普段書かないような字を制限するためにも、こうした校閲機能を活用することで無理をして漢字変換してしまうことを防ぐことができます。

今回は、ら抜き言葉から、ワープロソフトの校閲機能について考えてみました。私はそれほど細かいことを気にする性格ではないのですが、ついつい文法のミスって気になることがありますね。ぜひ校閲機能のレベル変更を一度試してみてください。

齋藤 大樹(さいとう ひろき)

浦安市立美浜北小学校 教諭


一人一台PC時代に対応するべくプログラミング教育を進めており、市内向けのプログラミング教育推進委員を務めていました。
現在は小規模校において単学級の担任をしており、小規模校だからこそできる実践を積み重ねています。

同じテーマの執筆者
  • 樋口 万太郎

    京都教育大学付属桃山小学校

  • 石丸 貴史

    福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任

  • 郡司 竜平

    北海道札幌養護学校 教諭

  • 中原 正治

    元徳島県立新野高等学校 教諭

  • 鷺嶋 優一

    栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭

  • 藤田 孝介

    横浜市立入船小学校 教諭

  • 中川 宣子

    京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

  • 大吉 慎太郎

    大阪市立放出小学校 教諭

  • 清水 智

    長野県公立小学校非常勤講師

  • 宮澤 大陸

    東京都東大和市立第八小学校

  • 渡邊 満昭

    静岡市立中島小学校教諭・公認心理師

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop