2022.03.18
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教科担任制で試される学級担任としての意識改革

本校も卒業式を迎え、卒業生が中学校へと巣立っていきました。高学年ブロックによる教科担任制を実践し、多くの発見がありました。前回までの記事でそうしたメリットについてはお伝えしましたが、何事にも課題はあります。今回は教科担任制を実施してみて、感じた2つの課題について考えていきます。

浦安市立美浜北小学校 教諭 齋藤 大樹

①こまめなスケジュール管理の必要性

教科担任制を実施してみて、とにかく苦労する部分がスケジュール管理の大変さです。昨年度は6年生だけの教科担任制でしたが、今年度は5・6年生による2学年にまたがっているので各学年の予定と調整しながらのスケジュール管理が求められました。

小学校の行事は、中学校のように教科担任制を視野に入れて計画されていないことが多いと思います。例えば、6年生を送る会など、学年単位で行事に向けて練習をするとします。すると、各行事担当から体育館や校庭の割り当てが行われると思いますが、担当者が全てのクラスの時間割を把握しているわけではありません。そのため、行事などが近づくと、どうしても教科担任制で割り振られている時間を一度解除する必要性があります。すると、その分特定の教科の時数が足りなくなったり、進度が遅れてしまったりするなどの課題が発生します。

また、2学年にまたがっていると、片方の学年だけで行う行事などの場合も難しい判断が要求されます。私は6年生の学級担任も行っているので、卒業式前にはどうしてもそちらの指導をしなければなりません。私が卒業式の指導に出ている間、5年生で行っていた授業のコマに入ることができなくなるのです。

こうした行事ごとに起こる様々なスケジュール調整は、慣れるまで大変だと思います。2年近く教科担任制を続けてきた今では、さっと一週間程度のスケジュールを立てられるようになりましたが、初めは本当に時間ばかりかかっていました。あらかじめ空きの時間割表を用意しておいて、何か起きた場合には、すぐにスケジューリングをするなどの細かなノウハウが必要だと感じます。

私達、小学校教員はまだまだ教科担任制に慣れていないことが多いので、職員の多くがこうした制度を経験し、学校全体が少しずつ教科担任制を前提とした仕組みに変化していくことが必要なのではないでしょうか。

②「学級担任」の意識の変化

2つ目の課題としては、教員自身の意識改革の重要性です。私も教員生活の多くを学級担任制で過ごしてきました。自分自身も小学生時代に一日の大半を担任の先生と過ごすという経験をし、それを当たり前のように感じていました。多くの皆さんが、小学校教員の仕事に対して、私と同じようなイメージをお持ちだったのではないかと思われます。

学級担任のみで行う指導もたくさんの魅力があります。私もこれまでの学級担任の経験で、楽しい経験をさせて頂きました。いわゆる「持ち上がり」と呼ばれる形で、5・6年生と2年間担任してきた学級を卒業させた際には、本当に達成感を感じたものでした。

しかしながら、教科担任制では、かつてと同じようなイメージで児童と向き合うことが難しくなります。学級王国と呼ばれた頃のように、朝から晩まで自分の担任している学級のことだけ考えていれば良いわけではないのですから、どうしても教師側の意識改革が必要になります。自分だけで目の前の学級の子どもたちを何とかしようと思うのではなく、チーム学校、チーム学年で対応することが求められるのです。

真面目に学級担任としての仕事に向き合ってきたからこそ、教科担任として働き方を改革することが困難になる場面があります。一日に数回しか会わない児童とどう接するか、教科を担当している他の先生方との連携方法など、これまで経験していなかった新たな課題がでてくるからです。

終わりに

私は、コロナ禍という世界的な大きな変化の中で、教科担任制を進めやすい高学年の担任だったため、学級担任として学級の多くをコントロールしようとしていた自分の意識を少しずつ変化することができました。自分の役割はここまで、これ以外は仲間の教員を信じて託すという気持ちを持つことができるようになりました。サッカーやラグビー、バスケットボールといったスポーツのようにチームメートをリスペクトして仕事に取り組むことが必要だと感じます。

ただ、これまで小学校で実践を積み重ねた方々だからこそ、悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。「教育は人なり」と言われますが、子どもたちを指導していく「学級担任」という姿はどうあるべきなのか、常に自問自答を続けていくことが求められていると感じます。教科担任制をしていても、こうした思いは常に心の中にあります。

私自身もまだまだ道半ばではありますが、今年度も読者の皆様とこの「学びの場」で多くのことを学ばせて頂きました。今回の記事は、今期の締めくくりとなる回になります。改めて関係者各位、読者の皆様、そして本校の教職員や児童の皆さんにお礼を申し上げます。ありがとうございました。

齋藤 大樹(さいとう ひろき)

浦安市立美浜北小学校 教諭


一人一台PC時代に対応するべくプログラミング教育を進めており、市内向けのプログラミング教育推進委員を務めていました。
現在は小規模校において単学級の担任をしており、小規模校だからこそできる実践を積み重ねています。

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