緊急事態宣言と学校、オンライン授業
緊急事態宣言が延長されました。
学校現場での広がりや現状から、オンラインでの授業をどうするのかと悩まれている方も多いと思います。
兵庫県西宮市立甲陽園小学校 教諭 羽渕 弘毅
段階的にオンラインを活用し、双方向のやりとりを目指しましょう
結論として、いきなりの双方向のやりとりを目指したオンライン授業は難しいということです。
授業者だけではなく、それを支援するサポーター、準備物…。
だからといって、「対面授業しかありえない」ということでもありません。
教員も人間です。全員が全員、ICTを活用した授業が得意というわけではありません。
そこで、段階的にオンラインを活用し、双方向のやりとりを目指した授業を作っていく必要があります。
まずは課題をペーパーレス化することから
課題をオンラインで提出できるようにするだけでも大きな進歩です。
突然の休校や学級閉鎖になった場合、課題の作成や再開後の採点などどうしても時間がかかってしまいます。
例えば、作文の場合、自治体で使用しているアプリケーションを通して、テーマを与えます。子どもたちは文書作成ソフトを利用して、作文を完成させて、オンラインで提出をします。
そうすることで、完成した段階でオンラインを通してフィードバックを与えることができます。
これも立派な双方向のやりとりです。
このやりとりができるように対面授業の段階から準備をしておくことで、急な対応を迫られた時でも子どもたちも教員も慌てることが少なくなります。
Microsoft Teams では、課題作成の手順やルーブリック(学習の達成度を表を用いて測定する評価方法)を作成して課題を出すことができます。
子どもたちの提出後にフィードバックを与えることもできます。
外国語科の授業でも、音声ファイルを提出するような課題を出すことで授業中の3密を防ぐだけではなく、一人一人にきめ細かく指導することができるようになります。
teachingからcoachingへ
よく言われることですが、皮肉にもICTの発展により、教員が知識や技能を与える役割は薄まっています。
身に付けさせたい資質・能力を明確にして、いかに目の前の子どもたちに応じた課題を設定して、評価し、適切なフィードバックを与えるかが重要となっています。

羽渕 弘毅(はぶち こうき)
兵庫県西宮市立甲陽園小学校 教諭
専門は英語教育学(小学校)、学習評価、ICT活用。 広島大学教育学部を卒業後、高等学校での勤務経験を経て、現職。 これまで文部科学省指定の英語教育強化地域拠点事業での公開授業や全国での実践・研究発表を行っている。 働きながらの大学院生活(関西大学大学院外国語教育学研究科修士課程)を終え、「これからの教育の在り方」を探求中。 自称、教育界きってのオリックスファン。
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