2021.09.07
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コロナ禍でも音読やミニテストをさせたい~教師よし!

新型コロナウイルスの流行が続く今、学校の臨時休校も目立つようになりました。
児童生徒の感染も増える中、オンラインで学習を進めている学校もあるでしょう。また、感染対策で例年と異なる指導を求められる教科も多いと思います。私も、6年生3クラスの国語科を担当する中で、コロナ禍での感染対策を考慮した指導方法がないかを試行錯誤しています。その実践例をTips(ちょっとしたワザ)として2点紹介します。

浦安市立高洲小学校 教諭 齋藤 大樹

「音読こそ学びの基本」なのだが

国語科の学習方法を考える上で欠かせないものが音読でしょう。音読をすることの効果については各種機関から様々なデータが出ています。トロイア遺跡を発見したドイツの考古学者ハインリッヒ・シュリーマンも、言語獲得をする上で音読を重要視したとも言われています。国語や外国語学習における音読は、まさに学びの基本と言っても良いでしょう。

さて、そんな音読ですがこのコロナ禍では飛沫が飛ぶ危険性もあり、行っていない指導者が多いと思います。私も授業中に音読は行わず、黙読などで代替しています。かつてのように「元気よく読んでいますよ」「登場人物の気持ちを考えながら読んでいますね」と声かけできない今の状況に、歯がゆさを感じてしまいます。

児童の音読を聞く機会が減少

素読や音読がいかに重要とはいえども、ひたすらそれを強いられるのはなかなか難しい子もいるでしょう。ましてや動画サイトやSNSが隆盛するこの時代に、視覚的に分かりにくい努力を行うことは本当に難しいです。そのため、音読をした後に自分の音読を教師やクラスの仲間に認めてもらうことが重要です。ノートに学習の軌跡が残るわけではない音読だからこそ、自分の音読を他者にフィードバックしてもらうことが次の音読への意欲につながります。

称賛という強化子で児童の自尊感情を育て、明日へのやる気を育むことは教育の基本中の基本ですが、コロナ禍で児童の音読を聞く機会が減少しています。群読の発表会や文章の劇化などもよく行われていましたが、通常よりもソーシャルディスタンスを広く取る必要性があるのでなかなか難しい学校も多いと思います。

音声認識で音読をテキストに残す

音声認識で入力した文

私たちの生活には、音声をAIで認識するGoogle NestやAmazon echoなどのデバイスが増えています。iPhoneなどのスマートフォンでもスワイプやタッチ操作だけでなく、音声で指示をする人も増えてきました。その際に滑舌が悪く、発声が不明瞭だと認識されないこともあります。音声認識をしてもらうには聞き取りやすい声で話すことが必要だと感じます。

GoogleドキュメントやMicrosoft Wordにも音声認識の機能がついています。こうした機能を音読に活用すると、音読が楽しくなります。なお、本校はWindows10を採用しているので、TeamsやWordで説明をします。

Teamsでは、児童に課題を出すことができます。どの子が課題を出しているかチェックすることが容易なのでこの機能を活用している方も多いでしょう。これを使って図のようなWordの課題を児童に出します。

児童は自分の持っているGIGA端末のマイクに向かって話すことで、「雨にも負けず……」のような文章を入力できます。自分の話した言葉がどんどんとテキストに変換されることで、自分の音読が聞きやすいかを確認することができます(もちろんAIによる変換なので完全ではなく、難読語や固有名詞などの変換では多少誤認されることもあります)。

音読を終えた後、子どもたちは入力された文章を見ることができます。自分の話した音声がテキストとして残る、これは児童の達成感につながるでしょう。廊下など、ソーシャルディスタンスをとれる場所にGIGA端末を持って移動し、音読をした後にWordを提出する。こうしたことで、音読をした実感を児童が持ちやすくなると思います。「自分の音声がテキスト化され、それを先生や友だちに見てもらった」という経験は、周囲に誰もいない音読だとしても、誰かとつながっているという気持ちを持てます。ぜひ実践してみてはどうでしょうか。

動画や音声ファイルで音読の様子を提出

文書、動画、音声ファイルで音読を提出

音読の評価の際には、カメラアプリなどを起動して、自分の音読を撮影し、MP4(エムピー4)などの動画形式で教師に提出させることも可能です。Teamsは音声のみのファイル形式でも添付できるので、Windowsに標準搭載されている「ボイスレコーダー」を使ってM4A形式などで提出させても良いでしょう(Chromebook だとアプリによっては、MP3形式で保存される場合もあるかもしれません)。

動画の方が児童の目線や表情を確認できるのでおすすめですが、音声形式はファイルが「軽い」というメリットがあります。全児童の音読をチェックする際には、軽いファイルの方がサクサクとチェックできます。純粋に児童の音読を聴くという場合には、こちらでも良いかもしれません。

非接触を意識したミニテスト

Formsを使ってミニテストを実施

昨今、語彙力を増やすことが重要視され、辞書引き学習など様々な学習法があります。語彙は、文章の読解に直結するだけに学習塾などでは頻繁にチェックが行われています。学校でも語彙力を育てるために国語辞書や類語辞典、言語環境の充実などインプットをする機会を多く設定しています。

ただ、こうしたインプットした語彙を定着させるためにはどの言葉が分かっているのかいないのかをチェックし、間違えた問題を復習するというアウトプットの学びが重要になります。アウトプットの学びには、これまでプリントによるミニテストが一般的でした。しかしながら、テストをしたプリントの管理が大変ですし、丸付けも時間が必要です。そして何より児童が後ろの席の子にプリントを渡す際に友だちの触ったプリントに触れてしまいます。前述のソーシャルディスタンスだけでなく、「非接触」も重要になります。

これらの問題は、Formsを使うことで、簡単に解決できます。Formsを使うことで非接触かつ、教師側の負担を少なくして児童の語彙の定着を確認することができます。穴埋め問題にして選択肢を選ばせたり、直接打ち込ませたりするなど難易度を変更することが可能です。

また、一度の実施だけでなく、平均点が良くない場合には何度も同じテストを実施することが簡単に出来ます。これがプリントによるミニテストだった場合には、同じプリントを印刷したり丸付けをしたりすることが教師の負担になるため、あまり何度も行わなかったのではないでしょうか。問題ごとの点数も設定できますし、丸付けも自動で行ってくれます。教師は一度問題を作ってしまえば、クリック数回で問題を提示できます。

子どもにとっても何回も同じプリントをやらされるというのは意欲が上がりません。それが画面タッチやマウス操作を数回するだけで解答できるのですから、やり直しだとしても心理的にあまり負担になりません。エビングハウスの忘却曲線を活用して、時間を置いてから同じ問題を出すことも容易なのも、eラーニングのメリットだと思います。

終わりに~ICTの力で感染から子どもたちを守る~

音声認識は日に日に精度を上げており、学んだことのアウトプットもどんどん容易になっています。新型コロナウイルスの流行に苦しむ今こそ、ソーシャルディスタンスがとれる音読やプリントを直接触らずに非接触で確認テストができるこうした取り組みをぜひ取り入れてもらえればありがたいです。

齋藤 大樹(さいとう ひろき)

浦安市立高洲小学校 教諭


一人一台PC時代に向けてプログラミング教育を進めており、市内向けのプログラミング教育推進委員を務めていました。
一部教科担任制を取り入れ、2年連続で総合的な学習の時間を指導しています。

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