VRゴーグルを使ってみよう!
私の住む長野県大北エリア(小谷村・白馬村・大町市・池田町・松川町)でも、8月19日前後から2学期がスタートしています。今年度は夏休みに入るのが例年より1週間近く早まったため、いつもより長い夏休みを過ごしている子どもたちです。
長野県というと、夏休みが短く、冬休みが長いイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、冬休みは首都圏とさほど変わらず、長いのは春休みです。首都圏よりも1週間程度早く春休みが始まります。県内の異動距離がとても長いということもありますが、年度末整理・新年度準備に時間をかけられるという意味では、年度末年始をバタバタ過ごし的自分としては、ありがたいなと思います。
さて、今回はVRゴーグルの授業活用事例を考えていきます。VRゴーグル自体はまだまだ学校現場での導入、利活用事例は少ないですが、GIGAスクール構想が進む中で校内のWi-Fi設備が整うことで、VR端末のようなPC・タブレット以外のネットワーク教育機器が増えてくると思われます。
*今回はOculus Quest 2を使用することを想定してご紹介します。
*今回ご紹介したVRゴーグルは、発達段階における子供たちへの影響を鑑み、対象年齢について13歳以上となっています。
長野県公立小学校非常勤講師 清水 智
1.WanderでGoogleストリートビューを味わう。

Oculus Quest 2 スピーカー内蔵で音声がクリアに聞こえます。
<概要>Googleストリートビューの360度写真見るアプリ
全て英語表記(2021.8.18現在日本語非対応)なのですが、Googleマップのストリートビューと同じように、地図から目的の場所を選ぶとその場所にジャンプできる仕組みです。
進みたい方向を選択すれば、そのまま移動することができます。PCでのGoogleマップを経験されている方であれば、操作はかなり直感的に行えると思われます。
過去の画像と比較
場所によっては、過去数年分の画像と比較することも可能です。
メニュー内の「Timeline」機能を使うことで、同じ視点からの過去数年分の画像を一度に見ることができ、時系列での比較が容易に行えます。
*使用例
◆社会科などでの街並みの変化 → 災害前後、土地開発前後など。
◆理科などでの土地の変化 → 大地の変化、四季の移り変わりなど。
2.Tilt Brushで立体お絵描き。
Tilt Brush: Painting from a new perspective
今回のGIGAスクール構想における一人一台端末の配備に伴い、描画アプリの利活用が、学校現場ではかなり進んでいます。
これまではマウスを使って描くというのが主流でしたが、低学年には操作が難しく、思ったように描けないということも見受けられました。
スタイラスペンとタッチパネルの登場でそういった悩みも、直感的に描きやすくなったことで、一気に解消の方向へと向かっています。
今回ご紹介する Tilt Brush は、その直感性をさらに進化させたものと言えます。私も何度か操作しているのですが、直感性という観点において優れているのは分かっていたのですが、さらに進化しているのが空間です。
【Tilt Brush】
描画アプリに空間の広がりがある
これまでの描画アプリは平面上(2D)の世界が基本でしたが、このTilt Brush は、立体空間(3D)の世界で描けます。
つまり、縦と横だけではなく奥行きもあります。例えば、直方体のような立体図形を描くと、上や下からも見る・観察することができます。
さらには、テレポート(移動)機能を使うことで、少し離れた位置に移動することができ、大きさの感覚を味わうことができます。描いた図形を離れた場所から見る、さらには同じ空間にいる参加者同士で協働作業等もできます。
*使用例
◆算数「図形領域」→ ダイナミックな問題提示/実感を伴った数概念、図形概念の理解。
◆図工「協働的な作品作り」 → 複数人でダイナミックな活動。
3.YouTubeの活用

VRゴーグル内部
上記2つのアプリはそれぞれ有料版です。VRゴーグル一つずつに対しての支払いが必要になりますから、複数のゴーグルに対してインストールするには予算が必要となります。
一方、YouTubeにおけるVRを使用すれば無料でスタートすることができます。無料とはいえ、コンテンツはとても充実しており、教科や単元との相性次第では効果を発揮してくれると思われます。
最後に
今回ご紹介したVRゴーグルはWi-Fi環境下での利用が想定されています。数年前であれば、そもそもネットワーク設備が整っていなく、こういったアイテムにたどり着く前に課題が山積していましたが、GIGAスクール構想に伴って、PC端末以外のICT機器の利活用を進めることができます。
来年度予算を組み始めるこれからの時期、VRゴーグルを導入することも選択肢として入れてみてはいかがでしょうか。

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