2021.08.17
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単学級・複式学級の学級経営~夏休み明けに気をつけたいこと~

北海道では、そろそろ夏休みが終わり、2学期が始まります。私自身、「準備万端!」と自信をもって言えるかはわかりませんが、ここまでくると、「大丈夫!大丈夫!」と言い聞かせている自分がいることに気づきます。ちなみに、北海道は夏休みと冬休みの日数が半々というところが多いです。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

1 子どもたちを「学校モード」に引き戻す

「生活リズムの乱れ」
は、単学級・複式学級などの学級形態問わずの課題と言えるかもしれません。夏休み明けの学校生活に大きく影響を与えます。「まだ休んでいたかったから、学校行きたくないな~」という気持ちの子どももいれば、「家にいるより、早く学校に行きたい!」というテンションの高い子どももいます。多様な過ごし方をしてきた子どもたちを1日目から学校モードに戻すのは、なかなか難しいものです。
夏休み明けの1日目は、夏休みの思い出を話したり、宿題や夏休みの作品などの提出物を集めたりと、ついつい夏休み明けモードの時間の過ごし方をしていまいがちです。また、学級の新しい係活動を決めたり、学級の三役を決めたり、委員会活動の所属を決めたり、個人の2学期の目標を書いたりという時間も必要になるかもしれません。1日目だから(まだ始まって間もないから…)まあ仕方ない、そういう考え方もあると思いますし、児童の実態を考えてそうされている先生もいらっしゃると思います。
私も、そういう何にでも使える時間を始業式の日に1時間は確保します(若いときは、だらだらと2時間、3時間になることもありました)。ただし、1時間目にはそういう時間は絶対にとらないと決めています。1時間目は、通常通りの授業をする。しかも、国語や算数で……。ちょっと強引だな~と思うのですが、

子どもたちを「学校モード」に引き戻す
ためです。できるだけ、普段通りの授業をするようにします(準備する時間はあるので、いつもよりは入念に準備して、ちょっとは面白いこともやりますが…)。特別な授業ではなく、普段通りの授業をするほうが、1学期にすでに身についていた学習習慣を思い出させるのには良いのかなと考えています。ただし、テンポよく授業を進める、分かりやすい授業であるということは、大前提になりますよね…(←それが意外に難しいのですが)。

2 複式学級では、「個人差」に対応した準備を…

1学期のうちにも、少しずつ表れていたかもしれませんが、複式学級では、学年の差・個人の差が、2学期になると顕著に表れてきます。例えば、ある課題を取り組むのに、「きっとAさんは5分で終わるだろうな」という児童もいれば、「Bさんはきっと15分かかっても終わらないだろうな」というような状況です。複式学級でなければ、個別に対応するのはそれほど難しいことではありませんが、複式授業は、以前の回でも取り上げましたが、片方では寿司を握り、片方では中華鍋を振る覚悟が必要なくらいの教師の忙しさです。
もちろん、すべての児童に対して同じ課題を一律に課すのではなく、一人一人の児童にあわせた課題を課すこと(「平等」ではなく「公平」)もできます。ただ、いつもそのようにできるわけではありませんので、個人差、とくに時間差に対応するための手立てをあらかじめ打っておく必要があります。

早く終わった児童が「ミニ先生」になる…という取り組みは低学年ではよく聞きますが、早く終わった児童が分からない児童にアドバイスをする(望めば…の話ですが)、別の+αの課題に取り組む、購入しているドリルに取り組む、用意してある補充プリントに取り組むなど、考えられる方法は複数あります。なお、私の学級では、上記に加えて、「まだ終わっていない課題(場合によっては作品)に取り組む」「宿題のやり直しをする」「読書をする」なども行っていました。子どもたちに何らかの課題を行うよう指示をする際に、

「終わった人は、『いつも通り』です」
​​​​​​​と言えるように、先生の考えや学級の実態、学校の学習ルールなどをもとに優先順位を考えておくと良いかもしれません。そうすると、教師が慌ただしくなってしまう複式授業の中でも、個別にサポートが必要な子どもに対しての支援を行う時間を十分確保できると思います。

次回は、大学の夏休み期間を利用して行われることが多い「教育実習」を取り上げたいと考えています。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

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