2021.07.28
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

GIGAスクール時代に遊び心あふれたウインドウアート「社会よし!」

超巨大IT企業GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)には、全世界から優れた人材が集まっています。GAFAのサービスや商品に触れない日はないといっても過言ではないほど、これらの企業は影響力を持っています。
デジタル業界の最先端を進むGAFAですが、グーグル社が社内の窓にペタペタと付箋を貼っている様子を公開していました。一見ふざけているようにすら見える窓への付箋や「落書き」。世界をリードする企業から、私たちが学べることは何なのでしょうか。

浦安市立高洲小学校 教諭 齋藤 大樹

GIGA端末でまとめる怖さ

GIGAスクール構想が進められていく中で、児童がコンピューターを活用する場面が増えてきています。本校でも教師による資料提示も含めると、一日の学習時間の8割程度でデジタルデバイスを活用しています。
その結果、子どもたちはあっという間にGIGA端末を使いこなし、様々な教科で即座に情報を調べることができるようになりました。例えば、国語の時間では再生可能エネルギーについて情報をまとめさせました。これまでこうした活動では、画用紙や色鉛筆を使ってリーフレットなどにまとめることが多かったと思います。そうした言語活動の中には、子どもたちの手で描いたイラストが多く載せられていました。
今回はGIGA端末を用いてまとめました。検索サイトを使って再生可能エネルギーについて子どもたちが自分なりに調べ、短い時間でしっかりと10ページほどのスライドを作りました。パワーポイントには、きれいな写真やイラストが多用され、文章は子どもが打ったとは思えないような難解な語彙が用いられていました。見栄えとしてはこれまでのリーフレットとは比べ物にならないほど「大人っぽい」ものでした。
しかしながら、パワーポイントで作られた作品をよく見てみると、同じようなホームページからの引用が多くなっていることに気が付きました。グーグルの検索で上位に出てきたホームページからコピー&ペーストを用いて資料を作る子が多かったのです。クリック一つで写真も簡単に載せることができます。こうした中で私が危惧したのは、デジタルの普及は人間からオリジナリティを奪ってしまう可能性もあるのではないかということでした。

「仕事の場」から学ぶ

アートギャラリーの一部

『インターンシップ』というグーグル社でのインターンシップを題材にした映画があります。映画の中で、ただ単に秀才なだけではグーグルらしさ(グーグリネス)は出せないというシーンがありました。社屋では、遊び心を大切にしており、いつでもアイデアをまとめられるように壁などを透明にしていました。リンク先にあるように、社内の窓を使ってアートを描く姿も公開されています。クリエイティブな発想のためには、こうした遊び心が重要なのでしょう。
先日この「学びの場」を運営している内田洋行の新川本社と第2オフィスを見学させていただきました。私は、学校とは異なったデザイン性あふれる空間に感銘を受けました。社内に緑があふれ、自然とコミュニケーションが発生しそうな雰囲気でした。また、内田洋行は、教育におけるICT分野だけではなく、企業のオフィス空間もデザインしています。内田洋行の方に、これまで訪れたIT企業のデザインについて質問したところ、社内に等身大の動物のぬいぐるみを飾っている企業があったり、個人用のデスクがなかったりする企業もあるとのことでした。

「学びの場」へアートを

ウインドウアート①

こうしたIT企業の取り組みから、仕事や学びの場の空間を大切にすることは、社員や子どもたちの発想を広げていくことにつながると考えました。本校でも学校長の指示のもと、全学年の子どもたちに「ウインドウアート」にチャレンジしました。窓に描くためのペンを使って、自由に子どもたちに絵を描かせたのです。最初は、「こんなことしていいの」という気持ちを持っていた子どもたちも、次第に生き生きとした表情で取り組んでいました。
お互いの絵を披露しながら、自分の絵を振り返っていく。そうした中で、互いに合意形成しながらテーマを作り出していました。6年生では、自然と春夏秋冬のテーマとなり、学年の廊下の窓には素敵な絵が描かれました。4年生では、花の絵を描いていました。太陽の光が当たるととてもきれいな花が咲き誇っているようです。
このような答えがない絵を難しいと捉えるのではなく、いろいろなお互いの絵を出し合う。そして、そのお互いのアイデアをワクワクしながら眺めていく。絵が子どもたちに与える楽しさや遊び心は計り知れない影響があるのではないでしょうか。

終わりに

ウインドウアート②

今回は、ウインドウアートについてお伝えしました。ぜひ皆さんの学校でもやってみてはいかがでしょうか。
実は、本校では、「かかわる、つながる、つくりだす」を研究主題として、研究発表大会が行われます。「ウインドウアート」だけではなく、子どもたちのアートが学校中に飾られています。図画工作科でのICT活用も重要な研究テーマとなっています。アートが子どもたちにどのような影響を与えるのか、まだまだそれを探っている最中です。まるでミュージアムのような本校の様子を、今後もお伝えしたいと思っています。

齋藤 大樹(さいとう ひろき)

浦安市立高洲小学校 教諭


一人一台PC時代に向けてプログラミング教育を進めており、市内向けのプログラミング教育推進委員を務めていました。
一部教科担任制を取り入れ、2年連続で総合的な学習の時間を指導しています。

同じテーマの執筆者
  • 樋口 万太郎

    京都教育大学付属桃山小学校

  • 石丸 貴史

    福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任

  • 郡司 竜平

    北海道札幌養護学校 教諭

  • 中原 正治

    元徳島県立新野高等学校 教諭

  • 鷺嶋 優一

    栃木県河内郡上三川町立明治小学校 教諭

  • 藤田 孝介

    横浜市立入船小学校 教諭

  • 中川 宣子

    京都教育大学附属特別支援学校 特別支援教育士・臨床発達心理士・特別支援ICT研究会

  • 川村幸久

    大阪市立堀江小学校 主幹教諭
    (大阪教育大学大学院 教育学研究科 保健体育 修士課程 2年)

  • 大吉 慎太郎

    大阪市立放出小学校 教諭

  • 清水 智

    長野県公立小学校非常勤講師

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop