2021.05.26
  • twitter
  • facebook
  • はてなブックマーク
  • 印刷

複式学級の学級経営~複数学年がいることの良さを生かす学級づくりのために大切にしたいこと~

学級経営や授業実践に関する書籍やセミナーは数多くありますが、単学級や複式学級のことが取り上げられることは、あまり多くありません。
教職大学院への派遣研修時から行ってきた調査の結果や自らの実践をもとに、お役に立てればと考えています。
今回は、複式学級の学級経営について考えます。

北海道公立小学校 教諭 深見 智一

複式学級とは

表 複式学級の特性

複式学級とは、隣接もしくは離れた学年の2以上の学年によって構成されている学級のことです。児童が少ないために1つの学年の児童だけで学級を編成できない場合に、同一学級に2学年以上を収容して学級を編成することとなります。
私が勤務している北海道では、北海道教育委員会の学級編成基準として、2つの学年を合わせて16人以下である場合、複式学級となります(1年生が含まれる場合は8人以下となります)。

人口減少が進むわが国では、児童生徒数の減少に伴い、学校統廃合が進められています。しかし、中山間地域や離島が多い地域に所在する学校は、小規模の学校が広範囲に点在し、距離的な制約等により学校統廃合の限界もあります。それで、これから先も小規模校のまま存続していく学校が一定数あることが予想されています。

表は、複式学級を有する小学校が多い北海道教育委員会が作成した「複式学級の特性」を表したものです。
​​​​​​​①複式学級が少人数であること(少人数性)、②異なる学年が学び生活する集団であること(異学年、異年齢)が特徴と言えます。

複式学級の学級経営が軌道に乗るまで

私は、教職生活10年目頃に、はじめて複式学級(小学1・2年生)の担任を経験することになりました。4月は、とくに学年の差を大きく感じる時でした。入学したばかりで、学校での学習が初めての1年生と、すでに1年間の複式授業の経験がある2年生。学年としては1学年しか変わらないのですが、生活経験や学習経験は1学年以上の差がついている状況です。
とくに難しく感じたのが、学習指導です。まず、それぞれの学年の教材研究を行わなくてはなりません(2学年分です)。1年生は、文字を読んだり書いたりすることはできない、「自分たちで進めておいてね!」という指示も使えない状況です。そして、それぞれの学年をうまく行き来しながら(複式授業では、「わたり」「ずらし」という言葉が使われます)授業を進めていかなくてはなりません。物理的にも精神的にも大変な時期が、4月を中心に夏休み前まで続いたように思います。

幸いなことに、2年生は、前の担任の先生が、複式授業の受け方を丁寧に指導してくださっていたので、その貯金をうまく取り崩しながら学習指導を行うことができました。また、2年生は、掃除当番や給食当番、係活動などの学習以外の場面でも、前年度の自らの経験から、「2年生は、1年生をお世話しなきゃ」というイメージをもっていました。
それで、その意欲を尊重し、リーダーとしての役割を果たしてもらい、1年生はフォロワーとしてそれに協力するという姿勢も自然と身についていったように思います。担任だけで対応できない部分は、教頭先生や支援員の先生がサポートで学級に入ってくださったり、特別支援学級の担任の先生もアドバイスをしてくださったりと、「一人で学級経営をしているわけではない」ということを学びました。

複数学年がいることの良さを生かす学級づくりのために…

小学校受験のある小学校では、月齢によるグループ分けや月齢を考慮した選考を行う学校があるということを耳にしたことがあります。低学年の月齢の差が、それなりに学校生活に影響があるということを意味しているのだと思います。もちろん、学年が上がるにつれて、4月生まれと早生まれの差は感じられなくなるのかもしれませんが、1・2年生の複式学級での児童の月齢の24か月の幅は、経験的にはとても大きく感じます。

でも、それが教育活動を行ううえで、決して「不利な条件」にあるとは私は思いません。単学級の学年と比べれば、大変な部分もあると思いますが、複式学級であることの「良さ」を多く感じてきたからです。
​​​​​​​先ほど挙げた、「リーダーシップとフォロワーシップ」はその一例に過ぎませんが、場合によっては、下の学年の児童のほうが得意なことだって、上の学年の児童の方が上手にいかないことだってあります。そんなときに、「すごいなあ~」とか、「そういうこともあるよね」と思うことで、子ども同士がそれぞれの特性や個性、良さや課題に気づくことができ、少人数ではありますが、多様な見方を子どもたちがもてる「チャンス」があるのだと考えています。複式学級担任には、複式学級であることを「チャンス」と捉えるパラダイム転換が大切だと思います。

次回は、複式学級での学習指導をスムーズに進めるために取り組んできたことをご紹介したいと思います。

深見 智一(ふかみ ともかず)

北海道公立小学校 教諭


書籍等で取り上げられることがあまり多くない1学年につき1学級の単学級の学級経営、複式学級の学級経営について、これまでの実践や量的調査の結果をもとに、効果的な実践例を発信していきたいと考えています。

ご意見・ご要望、お待ちしています!

この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)

pagetop