2021.05.07
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活学校の社会~教科担任制の準備を最適化~「教師よし!」(2)

教科担任制の準備をどのように進めていったらよいのでしょうか。私たちは、昨年度6年生の教科担任制を実施し、本年度は5・6年生による高学年教科担任制を導入しました。今回は、教科担任制を進めるまでの過程を紹介します。

浦安市立高洲小学校 教諭 齋藤 大樹

導入のねらい

全国的には2022年度からの実施が予定されていますが、本校では、昨年度から教科担任制を導入することにした目的は主に3つあります。

・新型コロナウイルス感染症への対応
新型コロナウイルス感染症が流行する中、教員もいつ何時新型コロナウイルスに感染し、学級の児童を見ることができなくなるのではないかという危惧がありました。仮に発熱症状が出たとしても自宅待機となり、そのクラスは授業が自習ばかりになってしまいます。そこで、教科担任制を進め、どのクラスも大勢の先生で見守っていくこととしました。

・中学校の学習に慣れるため
小学校と異なり中学校は教科担任制となります。中学校入学の際に小学校との違いに対応しきれない状態、いわゆる「中一ギャップ」を防ぐために実施しました。

・より分かりやすい授業を提供するため
学習指導要領の改訂でプログラミング教育や外国語学習の教科など、新しい教育内容の指導事項が増えました。そこで、教科担任制をすることで新しい指導分野の内容を研究しやすくしたり、それぞれの教科をより専門的に指導したりすることができるようにしました。

学年スタッフの得意分野を最適化

4クラスの時間割表

昨年度は4クラスある学年だったので、教員それぞれの専門性を生かし、学年内での教科担任制を実施しました。4クラスともなると、前回までに紹介したようなA教諭とB教諭のお互いの授業を交換し合う交換授業だけでは、時間割を組みにくくなります。

そこで、お互いの担当コマ数が同じになるように教科を割り振ることが必要となります。体育や社会などの同じコマ時数の教科ならそのまま一つの教科を担当すれば良いですが、場合によっては複数の教科を組み合わせる必要性が出ます。

例えば、私は総合的な学習の時間2時間、そして外国語活動1時間を担当しました(本校の場合、外国語活動のもう1時間は英語専科が担当)。
それぞれの教員の担当教科と授業時間数が決定したら、次は時間割を組みます。
各教員の一日の動きを考えながら、手作業でエクセルに入力しました。一つの時間割を作るのに1時間以上かかり、大変手間のかかる作業でした。

時間割の編成に苦労した分、教科担任制自体は大変効果的でした。
授業準備の時間が確保でき、授業の質の向上が図れました。児童からの評判も良く、95%以上の児童が「学校が楽しかった」と、年度末の調査で答えていました。コロナ渦で行事も削減していたにも関わらず「授業が楽しかった」と答える児童が多かったです。
発熱などで2週間ほど休んだ教員がいた場合にも、その方が担当していた教科を教務主任など別の教員が代わりに行うことで、問題なく授業を進めることができました。
当初のねらいを概ね達成できたと考えています。

コマ割りの困難さ

時間割通り進められない場合にどうするか

行事の前などには通常の時間割を実施できない場合があります。
その度に臨時の時間割を編成する必要に迫られます。カリキュラムマネジメントを進めるために合科的な学習を行う際にも、時間割の再編成が必要となります。小学校では行事も多く、児童会活動がある日や学期始めなどの通常の時間割と異なる場合には、毎回時間割や担当コマ数を変更しなければなりません。

結局、最終的には10パターン以上もの時間割を手作業で作ることとなりました。
これでは、最適化された仕事とは言い難いでしょう。時間割を作ることに労力を割かれたこの現状から、小学校現場には時間割編成のノウハウがまだまだ足りないと改めて感じました。

5・6年ブロックによるコマ割りをICT活用で解決する

担当教科決定資料(高学年ブロック)

2021年度は5・6年生の教員が連携して3クラス×2学年の合計6クラスの学習を担当するため、昨年度よりも更に複雑なコマ割りの最適解を見つけ出さなければなりません。

さすがにこれは手作業では途方もない時間が取られてしまいます。それぞれの学年で行事が異なることもあり、手作業でコマ割りをしていたら、それこそ何十パターンも時間割を作らなければならないでしょう。

そこで昨年度の反省を生かして、ICTを活用してコマ割りを行うこととしました。中学校や高等学校の教員らに聞いてみると、それぞれ様々なシステムを導入しているとのことでした。実際に無料で体験することができるソフトも多く、春休みに片っ端から操作をしてみました。中学校・高校向けに作られているため、なかなか小学校現場にマッチしないものも多かったです。

色々と探している中で、個人的には使いやすいなと思ったソフトに巡り合うことができました。「2時間続きの授業」や「この曜日にこの授業を行う」と条件を入力すると、AIで自動的に時間割作成をしてくれるのです。このソフトを使って5年生と6年生という学年を横断した時間割を簡単に編成できました。

さて、今回は時間割編成を中心にお伝えしました。ブロックなどで教科担任制を実施すると、児童理解や授業規律の面などで様々な課題が予想されます。次回は教科担任制を推進するにあたって、生徒指導面などで工夫している事例を伝えていきたいと思っています。

齋藤 大樹(さいとう ひろき)

浦安市立高洲小学校 教諭


一人一台PC時代に向けてプログラミング教育を進めており、市内向けのプログラミング教育推進委員を務めていました。
一部教科担任制を取り入れ、2年連続で総合的な学習の時間を指導しています。

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