春の過ごし方をイメージ
まだまだ寒い日が続いていますが、暦の上では立春も終わり、少しずつ春が近づいてきます。公立高校では入試の時期もあり、そこも含めると学校に登校しない日が多くなるシーズンでもあります。来年度に向けてしっかりとした目的意識を持つためには、この時期の過ごし方は非常に重要だと思います。
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭 山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路
どんな日程?
春と言えば出会いと別れの季節で、卒業式や入学式といった重要な式典も行われ、けっこうバタバタする時期だと思います。高校3年生にとっては国公立大学の合格発表や中期・後期試験、新たな進路先に向けた引っ越しなどの準備も入ってきます。コロナ流行前ですと全国選抜大会があったり、遠征が組まれたりするなど、最後の大会に向けて部活動も盛んに行われていました。
学校では学年末考査が行われ、それが終わると入試があり、その後は年度末休業といった流れが多いのではないでしょうか。他の時期に比べて授業がない日、登校しない日が多いと思います。また、夏とは違って一通り授業が終わっている科目が多く、学校から課される課題なども少ないかもしれません。
今年はコロナ禍ということもあり、例年以上にそれぞれが自由にできる時間が多くなると思います。が、そのことを意識して、どんなことをやるかイメージしておかないと、せっかくの時間がもったいなく終わってしまいます。今この時期から、4月の年度明けまでの計画を考えておくことが重要だと思います。
学習の計画は?
学習といっても、一般的な教科の学習だけでなく、総合的な探究の時間などから派生して自主的に行う探究学習なども含まれると思います。
(1)教科の学習
教科の学習については授業がないわけなので、自分のやりたい分野を学習するチャンスでもあります。これまでの授業で理解が不十分な分野があれば、そこを重点的に学習することもできますし、さらに発展的な内容を先取りして学習することもできるわけです。ただ、いずれにしても、この時期がそういったチャンスであることを生徒自身が自覚した上で、休みに入る前に計画を立てたり、教員からアドバイスをもらったりしておく必要があると思います。
(2)探究学習
教科の授業や総合的な探究の時間の中で探究的な活動を行う場面も多いと思いますが、その時間内ですべてが完結するものではなく、そこをきっかけに生徒が自主的に活動を広げていくというケースもあると思います。普段はなかなか時間が取れずに苦労している生徒も多いと思いますが、この時期は探究的な活動を行う絶好の機会でもあるのではないでしょうか?オンラインでイベントを開催したり、外部機関と連携して活動したり、活動成果をまとめたり……普段の忙しい時期ではまとまった時間が取りにくいかもしれませんが、この時期なら!ということもあると思います。こちらについても、やはり休みに入る前にこれをやろう!と段取りをしておくことが必要です。
学習以外でも・・・
学習以外でもできること、やっておくべきことはたくさんあると思います。
(1)部活は?
コロナ禍で活動が制限されていることも多い部活動ですが、4月になれば新たな部員を迎えます。部活動を通して、競技力はもちろんですが、集団での行動やリーダーシップなどを身につける生徒も多いと思います。新入生を迎え入れるためにも、現在の部員たちがそういう立場になることを自覚して活動したり、そういった機会を設けたりすることが重要です。これまでのように遠征したり合宿したりできないケースもあり、校内だけの活動でマンネリ化の心配もありますが、活動している部員たちにとっては成長のための貴重な場であることに変わりはないので、様々な経験を積んでほしいものです。
(2)進路は?
いつもの年だと夏休みに次いでオープンキャンパスやイベントを開催する大学等が多い時期でもあります。今年度も案内は来ているもののオンラインに切り替えられたり、すでに中止を決定したりしている状況のようです。夏にもオープンキャンパスに行けなかったり、夏休み短縮で十分に進路学習ができなかったりした生徒もいるかもしれません。そういう意味で、特に現高校2年生は、この春に進路学習をしっかりせずに後から進路選択がブレてしまっては大変です。従来どおりとはいかないまでも、代替の手段での進路学習をしておくことが必要でしょう。
ということで、他にもできることがたくさんある年度末ですが、いずれのケースも事前にそういう時期だと自覚できるかどうかがカギだと思います。あらかじめスケジュールを示して、何ができるか?何をすべきか?しっかり考えてもらいたいと思います。

高橋 英路(たかはし ひでみち)
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭
クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。
同じテーマの執筆者
-
明光学園中・高等学校 進路指導部長
-
陸中海岸青少年の家 社会教育主事
-
広島県公立小学校 教諭
-
石川県金沢市立三谷小学校 教諭
-
岡山県教育委員会津山教育事務所教職員課 主任
-
戸田市立戸田第二小学校 教諭・日本授業UD学会埼玉支部代表
-
静岡大学教育学部附属浜松小学校 教諭
-
旭川市立大学短期大学部 准教授
-
兵庫県立兵庫工業高等学校 学校心理士 教諭
-
札幌大学地域共創学群日本語・日本文化専攻 教授
-
ユタ日本語補習校 小学部担任
-
大阪市立野田小学校 教頭
-
東京都品川区立学校
-
神奈川県公立小学校勤務
-
大阪市立中学校教諭、日本キャリア教育学会認定キャリアカウンセラー
ご意見・ご要望、お待ちしています!
この記事に対する皆様のご意見、ご要望をお寄せください。今後の記事制作の参考にさせていただきます。(なお個別・個人的なご質問・ご相談等に関してはお受けいたしかねます。)
この記事に関連するおススメ記事

「教育エッセイ」の最新記事
