2021.01.14
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これからの教員像(その2)

前回に引き続き、これからの教員像について教育実習を終えた学生と一緒に、次の三つの観点にそって考えたことを書きます。

1.個人としてどのような教員であるべきか?

2.教員間の連携はどうあるべきか?

3.学校外に向けてどのような視点を持つべきか?


今回は、このうち「2.教員間の連携はどうあるべきか?」と「3.学校外に向けてどのような視点を持つべきか?」について書きます。

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

教員間の連携はどうあるべきか?

「教員間の連携はどうあるべきか?」として重要なことは、次の二つを考えました。

①教員間のコミュニケーション
②敬意をもって接する

教員間で最重要は、

①教員間のコミュニケーション

であることは言うまでもないことでしょうが、コミュニケーションをただの情報交換にせず、「対話」にすることが重要だと考えます。ただ話を聞くのではなく聴くこと、疑問点や質問を訊くことを通して、コミュニケーションが利くことにつながり、効くことになります。また、対面でのコミュニケーションだけではなく、メールやチャットなどのICTも有効に活用すべきだと考えます。対面にこだわりすぎるあまり、相手の都合より自分の都合を優先してしまったり、時間を有効に活用できなかったりする場面も起こり得ます。メールやチャットなどの文字情報で連絡をすることは、思考の言語化にもつながり、暗黙知として蓄積されている情報を形に残すことで広く共有することができるのではないでしょうか。

さらに、

②敬意をもって接する

ことも忘れてはいけないと思います。「不易と流行」として、変わらないことや変わるべきではないことがある一方で、新しいことを求めて変化することは、どちらも重要です。一般に、ベテランの先生方は「不易」に強く「流行」に弱く、若手の先生方は「不易」に弱く「流行」に強い傾向があるようですが、この両者は二極論として対立するものではなく、両輪としてどちらも動かしていかなければなりません。両者をバランスよく動かしていくには、ベテランの先生方が若手の先生方から「流行」を学ぶ姿勢を持ち、ベテランの先生方は若手の先生方に「不易」を継承していく必要があります。どちらも敬意をもって接することでより効果的になるでしょうし、日常でも敬意を忘れることなく教員間の関係を構築したいものです。

学校外に向けてどのような視点を持つべきか?

続いて、学校外に向けてどのような視点を持つべきか?として重要なことは、次の二つを考えました。

①学校外と協力して生徒を育てる
②教員から学校外に向けて情報を発信する

新しい学習指導要領が「社会に開かれた教育課程」とあるように、学校の取り組みを学校外に向けてどのように開いていくのかは大きなポイントです。

①学校外と協力して生徒を育てる

例えば部活動を地域社会に開き一緒に生徒を育てていくことは、様々な場所や場面で検討課題として挙がっているようです。もちろん課題も多くあるでしょうし、正解はないでしょうが、生徒にとって最善となる方法を模索していきたいものです。それ以外にも、学校外から講師を招いた行事はこれまでにも多く行われていましたし、これからも重要になるでしょう。さらに、総合的な探究の時間の充実を図っていくうえでも学校外との連携・協力は重要です。

また、学校外と協力して生徒を育てるには、

②教員から学校外に向けて情報を発信する

ことも重要だと思います。ホームページやSNSなどを通じて情報を発信している学校は多くあります。これを教員からも発信することで、個人情報の保護など配慮すべきことは多くありますが、学校外との協力体制がより一層の充実が図れると思います。

こういった学校外との連携を通して、社会課題に対してなど現実問題に向かう学びを設計できるのではないかと思います。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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