2020.12.21
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これからの教員像(その1)

前回、これからの教員像として、次の三つの観点にそって考えたことを書きました。


1.個人としてどのような教員であるべきか?

2.教員間の連携はどうあるべきか?

3.学校外に向けてどのような視点を持つべきか?

今回は1.個人としてどのような教員であるべきか?について書きます。

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

個人としてどのような教員であるべきか?

前回の最後に、これからの教員像について教育実習を終えた学生と一緒に、次の三つの観点にそって考えたことを書きました。

1.個人としてどのような教員であるべきか?
2.教員間の連携はどうあるべきか?
3.学校外に向けてどのような視点を持つべきか?

今回は、このうち

1.個人としてどのような教員であるべきか?

について書きます。

個人としてどのような教員であるべきかは、次の五つを考えました。

①生徒にどのような資質・能力を育成したいか?
②教科指導だけではない視点を持つ
③判断基準は目の前の生徒
④社会と生徒をつなぐ
⑤常に自分自身を更新し続ける

個人として最も大切なことは、

①生徒にどのような資質・能力を育成したいか?

であると考えます。

私の場合は、教科担任として数学の授業を受け持ちますが、数学「を」教えることが目的であるとは考えていません。あくまでも、数学「で」生徒の資質・能力を育成していくことが目的です。
このことは、

②教科指導だけではない視点を持つ

という項目にも繋がります。

教員の仕事は教科指導だけではありません。よくある校務分掌として、進路や生徒指導がありますが、これらは分掌の担当者だけがやれば良いものではなく、教育に携わる教職員全体で取り組まなければなりません。
また、教育に関わる事務的なことも社会人として必要不可欠です。
さらに、学校によっては分掌のひとつになっている場合もあると思いますが、キャリア教育やグルーバル教育、環境教育などにも取り組まなければなりません。
これらは全てがとは言いませんが、教科との関わりがあると考えています。

判断基準は目の前の生徒

次に、

③判断基準は目の前の生徒

であることを忘れてはならないと考えています。

教職員は大人で構成されているので、良くも悪くも大人の事情のようなものがあると思いますが、教員として生徒を育てていく以上、判断基準は目の前の生徒にとって良いか悪いかであると考えています。
勘違いしてはいけないのは、生徒を鍛えていくことに対して良いか悪いかであって、生徒を面白おかしく楽しませることでも、生徒に楽をさせることでもありません。

さらに、新学習指導要領が「社会に開かれた教育課程」と言われていることから、

④社会と生徒をつなぐ

ことが今後の教員に必要になると考えています。

もはや教員が何もかもを教える時代ではないと考えています。
知識・技能を教える必要は、もちろん引き続きあります。では、思考力・判断力・表現力は教えれば身につくものでしょうか?
身につけさせる側面はあるでしょうが、課題を提示してきっかけを作ることが役割ではないかと考えています。
そのような課題は、社会につながる課題であるべきことは明らかでしょうし、明確な回答があるものではなく答えのないものかもしれません。

とはいえ、社会とのつながりを全て教員が担うというよりは、医療に関わる課題であれば医療関係者と、法律に関わる課題であれば法曹関係者と、などの接続役を担えば良いのではないかと考えています。
教員の役割はハブのようなものであると言えます。

常に自分自身を更新し続ける

最後に、社会とのつながりを持つためにも

⑤常に自分自身を更新し続ける

ことを忘れてはいけません。

教員として「不易」な部分は確実に押さえつつも、社会情勢の変化に応じた「流行」も押さえていく必要があります。「不易と流行」は二極論ではなく両輪としてどちらも押さえていくべきものです。

思いの外、長文になってしまいましたので、

2.教員間の連携はどうあるべきか?
3.学校外に向けてどのような視点を持つべきか?

については、次回以降に引き続き書きます。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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