2020.12.17
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学期末はコレ!

先生方には当たり前の、学期末のルーティン。意外とネット上に情報がなかったので、思いつくことすべて明文化してみました。小さなことだけれど、だいじなことだと思うので。

東京都内公立学校教諭 林 真未

持ち帰りは計画的に

学期末は、終業式2週間前くらいから、持ち帰り計画を立てます。
子どもの負担にならないように、学習用具を1つずつ持ち帰るようにするには、時間割も含めて早めの計画が必須です。
私がやっているのは、

●最終日の前の週に図画工作を終わらせて、その日に絵の具を持ち帰らせる。
●同じく前の週の図画工作と別の日に音楽の最終授業を設定し、その日に鍵盤ハーモニカ、リコーダーなどを持ち帰らせる。
●金曜日は上履き、体育着、給食着を持ち帰るので、他のものは持ち帰らせない。
●体育着は最終体育のあったその日のうちに持ち帰らせる(最終週でも可、絵の具や鍵盤ハーモニカとかぶらないように)。
●給食着は最終給食日に持ち帰らせる(こうすると万が一忘れても、翌日の終業式の日に持たせられる)。
●お道具箱の中身を使う授業は終業式の3日前までに終わらせ、その日にお道具箱を持ち帰らせる(こうすると、終業式2日前にお道具箱のない状態で大掃除ができ、終業式前日に、きれいな教室でお楽しみ会ができる)。

という感じでしょうか。
毎学期、その年の暦によって見通しを立て、週案にいつ何を持ち帰らせるかを予めメモしています。
お道具箱の持ち帰りは、月曜日に体操着と上履きを入れてきた手提げを毎週段ボールに入れて教室で預かっているので、それを使います。念のため、こちらでも紙袋をいくつか用意しておきます。

学期末のお楽しみをふんだんに

私は、授業をつぶしたり1時間の内容を2時間でやったりせず、コンスタントに授業をしていくタイプなので、子どもたちは、普段はだいぶ大変だと思います。その代わり、学期末には余剰時数がわりと残るので、たっぷりお楽しみタイムをとってあげます。
学期末のお楽しみ会以外にも、校庭や体育館の最後の割り当て時間も、ご褒美タイムとして自由に遊ぶ時間にします。また、算数や国語も、教科書の内容を終えたら、おもしろ算数や漢字クイズなどの授業になります。生活科は、昔遊びをします。
このことは、2学期のはじめから子どもたちに伝えています。
「頑張った後には、お楽しみがあるからね!」のひとことで、わくわくしながら2学期を過ごしてもらえたらと考えました。

大掃除の一例

大掃除は先生によっていろいろな方法があると思います。
私の場合は、以下の手順ですすめます。

前日
水拭きぞうきんを入れるビニール袋を持ってくるよう指示しておく(忘れた人のためにこちらでもいくつか用意する)。
当日
※始める前に⑦の担当を決めておく。
①ロッカーの中身(ランドセル含む)を全部机の上に置く。
②ぞうきんで自分のロッカーの中を水拭きする。
③帰りの準備をする。ロッカーの中にあった持ち帰り忘れのものもランドセルに。冬休みの間も置いておく教科書はロッカーに戻す。防災頭巾もいったん外してロッカーへ。
④何もない状態になった、自分の机と椅子を水拭きする。さかさまにして机椅子の足の裏まで拭く。防災頭巾を戻す。
⑤靴箱に移動して、自分の靴箱を拭く。早い子に空いている靴箱も拭いてもらう。
⑥教室に戻り、机と椅子を廊下に出す。ぞうきんはいったん各自の机へ。
⑦ほうき、ちりとり、黒板そうじ、本棚整理、共有品ロッカー整理、先生の机の整理、余ったプリント箱の整理など必要な担当に分かれて掃除。
⑧全員、またぞうきんに持ち替えて水拭き大会。床のほか、気づいたところをとにかく拭きまくる(盛り上がりすぎに注意!)。
⑨机と椅子を教室に戻す。

みなさんもっと上手にしておられると思いますが、一例として書いておきます。

通知表の渡し方

「通知表は、一人ひとりにコメントを添えて渡してください」
どこの学校でも、学期末には校長先生からこのお達しがあると思います。
けれど、友達が通知表をもらうのをずっと待っているのは、しんどいんじゃないかと思って、私はDVD をかけ、それをみんなが見ている間に一人ひとり呼び出します。
友達が先生に通知表をもらうのをしっかり見守るのも大事……というご意見の先生には怒られるかな。
でも、実はこのスタイルには裏目的があるので、やめたくないんです。
裏目的とは、私の大好きなリンドグレーンの名作「長くつ下のピッピ」の動画を、子どもたちに見せること。
古いスウェーデンのテレビ番組の吹き替え版DVDなんですけど、原作のイメージそのままで、とても楽しくすてきな映像なのです。
小学校の思い出の一コマとして、学期の最終日には必ず「ピッピ」を見たことが、みんなの記憶に残ったらいいな、とひそかに思っています。

「子どものため」の小さな積み重ね

学習用具の持ち帰り順を考えたり、大掃除を段取ったり、最後にお楽しみを用意したりって、当たり前といえば当たり前すぎる、先生の学期末の仕事ですよね。
学期末に限らず、子どもが活動しやすいように、きめ細やかに考え、工夫を積み重ねるのが、先生たちの、日々の当たり前だと思います。

私は、この小さな「子どものため」の積み重ねは、実はとても大切な営みだと考えています。

世の中には、「子どものため」のいろんなものやことやアイデアがあふれています。
「子どものため」にどうすればいいかという議論も絶えません。

でも実際に子どもに直接かかわるのは、こういう具体的で小さな積み重ね。
だから、この毎学期末のルーティンもしっかり整えて、子どもたちに、学期最後の日々を快適に過ごさせてあげられたらいいなあと思っています。

と言いつつ、毎学期、抜けているところがあるから、今回も心配なんですけどね……(笑)。

林 真未(はやし まみ)

東京都内公立学校教諭
カナダライアソン大学認定ファミリーライフエデュケーター(家族支援職)
特定非営利活動法人手をつなご(子育て支援NPO)理事


家族(子育て)支援者と小学校教員をしています。両方の世界を知る身として、家族は学校を、学校は家族を、もっと理解しあえたらいい、と日々痛感しています。
著書『困ったらここへおいでよ。日常生活支援サポートハウスの奇跡』(東京シューレ出版)
『子どものやる気をどんどん引き出す!低学年担任のためのマジックフレーズ』(明治図書出版)
ブログ「家族支援と子育て支援」:https://flejapan.com/

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