2020.11.24
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冬を盛り上げる

朝晩の寒さが本格化し、間もなく冬を迎える時期になりました。3年生は推薦や総合型選抜に向かっているところで、その後は他の生徒たちも一般選抜に向け一直線という状況です。
ここからは学校としての行事もほとんどなく、淡々とした毎日が続いていきます。私たち大人にとっては楽だと感じる人もいるでしょうが、生徒たちにとってはモチベーションを維持するのが大変だという声も聞きます。この時期をどう乗り越えたら良いでしょうか?

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭  山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路

この時期の学校は?

冒頭に述べたとおり、12月以降は推薦型選抜と総合型選抜が終わり、一般選抜に向かう生徒たちは最後の追い込み時期になり、学校全体で3年生をバックアップします。他方、1・2年生にとっては、大きな行事もなく、通常授業が毎日続いていくことになります。
特に、勤務校のある山形県は雪深い地域でもあり、朝晩の除雪や交通障害でヘトヘトになってしまうことも多いです。もちろん、スキーや雪に関係する祭りなど、雪を地域資源として活用することもあるのですが、冬に何かしようと考えた場合、「雪がどうなるか?」と必ず考えなければならず、雪の影響で予定どおりにいかないこともあります。また、冬は昼の明るい時間が短いわけですが、そこに雪が加わると実際よりも暗い時間帯が多いように感じます。

どんな問題が?

前述したような時期、どんな問題があるでしょうか?
特に問題なく過ごせるという人もいるかもしれませんし、行事が多くバタバタする時期よりも好きだという人もいるかもしれません。一方で、これといった刺激がないことで気が滅入ってしまうという人もいるのではないでしょうか?また、屋外の部活などは通常どおりの活動ができず、いわゆるオフシーズンとなることで、これまでどおり部活で発散!ということができなくなる場合もあります。

行事が続いて落ち着いて学校生活を送れないのも問題ですが、逆に何もなさ過ぎて様々な問題や悩みが出てくることもあるというわけです。

では、どうする?

では、こうした時期はどのようにして乗り越えたら良いでしょうか?

(1)じっくり話すチャンス
行事があると昼休みや放課後に委員会があったり、部活の大会が近くて放課後にバタバタしたり、じっくり話を聞く機会がない場合も多いです。しかし、行事や大会がないということは、面談をするなど、担任として独自の取り組みを入れやすい時期であるとも言えます。気になる生徒と面談したり、逆にあまり気にならないからといって普段なかなか話せなかった生徒と話す時間を設けたりするなど、ゆっくり時間を取って話をするのも良いかもしれません。

(2)目標を持たせる
淡々とした毎日に苦手意識を持つのは、目先の目標が見いだせないということもあると思います。行事があると、自分で考えなくとも、自動的に目標が設定されてしまうこともあります。クラスマッチがあれば「優勝を目指そう!」、大会があれば「レギュラー取る!」「1回戦勝つ!」といった具合です。ただし、そうした行事がなくとも目標は自分で立てられます。じっくりと腰を落ち着けて自分の好きなことができる時期でもあるわけなので、自分の進路に真剣に向き合い、将来を考えることで、それに向けたスモールステップを短期的な目標として設定するなど、それぞれの状況に応じた目標を考えたいものです。

(3)ミニイベントを作ってしまう
大々的な行事でなくとも、ささやかなイベントをHR担任や教科担任、部活動顧問として作ってしまうのもアリでしょう。HRで言えば席替えや季節に合わせたレクリエーションなどもありますが、「〇〇のネーミング募集!(例えば、学級通信の名称、キャラクターの名前、今月の目標など)」など、本当にちょっとしたことをイベントにすることができるはずです。募集したネーミングの中から優れた作品や面白い作品を表彰・発表などすれば、ちょっとした話題づくりにもなるでしょう。すごく他愛のないことに感じるかもしれませんが、こうした小さなことの積み重ねこそ大事だと思います。

(4)大人が淡々とし過ぎない
自分が担当している集団(クラス、部活など)の様子にもよりますが、気が滅入っている生徒が多いとか、覇気がないといった様子が見られるのに、大人があまりに淡々としていては、生徒も参ってしまうのではないでしょうか?そんなときには、大人がちょっとおどけてみたり、明るく振る舞ってみたりするだけで、表面には出さなくとも内心ほっとする生徒もいると思います。ちょっとした心の安らぎ、これもまた大事なことだと思います。

何だかとりとめのない話になってしまいましたが、「何もないときだからこそ、何をするか?」考えてみたことを書きました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

高橋 英路(たかはし ひでみち)

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭


クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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