通級の教員が教員免許以外の資格を持つこと
通級の教員は、教員免許だけでなく、特別支援に関する他の資格があると良いかもしれません。
福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士 髙橋 三郎
言うまでもなく通級の教員も、「教員」ですので、教員免許が必ず必要です。しかし、児童のニーズが多様化していく中で、少しずつ教員免許以外の心理系等の資格も併せて所有する教員が増えてきました。今回の記事では、通級の教員が現実的に取ることが可能そうな資格と、それらの資格を取ることのメリット・デメリットをまとめてみました。
臨床発達心理士
比較的、通級の教員が働きながら取得しやすい資格の一つかなと思います。臨床発達心理士のホームページによると、臨床発達心理士は発達の臨床に携わる臨床家であり、発達に関する問題を査定し具体的な支援を行います。指定大学院を修了している場合や、臨床経験が3年以上あり、発達心理学隣接諸科学の学部を卒業している場合、一定の研修を受け、さらに試験に合格することで取得が可能です。なお、「発達心理隣接諸科学」の範囲には「教育学」が含まれていますので、教育学部卒の人もおそらく含まれます。具体的な申請方法は臨床発達心理士のホームページをご覧ください。
最近は、臨床発達心理士の先生が学校を巡回していることもあるので、なじみ深い資格ですよね。特別支援教育士
特別支援教育士のホームページによると、特別支援教育士はLD、ADHD等のアセスメントと指導の専門資格です。私が以前一緒に働いていた教員も取得しており、働きながら取得することが可能と思われます。S.E.N.Sとも略されます。LD学会の正会員になり、その上で、セミナーを受け、資格認定審査を受けることで、認定されます。
資格を取ることのメリット
① 資格を得る過程で、特別支援に関する様々なことを「学び直し」できる。
これが一番大きいかなと思います。障害分野の研究は日進月歩です。10年前と今では考え方がまるで違うという領域も少なくありません。学び直しをする中で、最新の知見に触れることができます。それが、ゆくゆく質の高い児童への指導に繋がっていくと思います。
② 心理検査の実施可能となる要件の一つになる(場合がある)。
資格を取ることのデメリット
居住地の近くの研修だけですべての単位を取得できるということは、どの資格もあまり無いようです。そのため、研修を受けるために日本各地に行き、受講するという方が多いと思います。そのため、受講費以外にも旅費などの出費も見込まなくてはなりません。ただ、私が資格を取った時には各地を旅して、昼は充実した研修、夜は美味しいごはんとお酒……といった感じで結構楽しむことができました。
まとめ
髙橋 三郎(たかはし さぶろう)
福生市立福生第七小学校 ことばの教室 主任教諭 博士(教育学)公認心理師 臨床発達心理士
大学院で博士号を取得し、現在はことばの教室で子供達と向き合う日々を過ごしています。言語障害や発達障害に関する知見や指導方法を様々な先生方と共有できたらと思います。
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