2023.03.28
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特別支援教育で私が大切にしていること

「特別支援教育」
私がこの世界に入って約10年経ちました。
まだまだ未熟な私ですが、それでも特別支援教育の魅力を広めたいと、こちらで記事を書かせていただくようになりました。
特別支援教育が分かるようになったかというと、そういうわけではないのかもしれません。悩み、考え続けながら進んできたように思います。
今回は私が大切にしていることを、みなさんにお伝えできればと思います。よろしくお願いいたします。

信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭 丸山 裕也

困っているのは誰?

特別支援の現場で出会う子どもたちには、何かしらの困り感や困難さを有しています。
例えば椅子に座らないこと、自分の体を傷つけてしまうこと、相手を傷つけてしまうようなことを言ってしまうこと・・・。
特別支援学校の教員になりたての頃は、「困った子だな」と、私は思っていました。「なんで、私を困らせているんだろう」と。

でも違いますよね。
困っているのは子どもたちですよね。
椅子に座れない理由があるかもしれません、自分の体を傷つけなくてはならない理由があるのかもしれません、傷つける発言をしなければいけない理由があるのかもしれません。
そんな理由があるのに、教師は「しなさい、やりなさい」では、子どもは困ってしまいますよね。
困っているのは誰なのか、どの様にすればその困り感にアプローチできるのか、その手法はどうすればいいか。
私は悩む中で、「応用行動分析」と「障がい者スポーツ」の二つにヒントがあるのではないかと考えて実践してきました。
全て、一人で解決する必要はありません。特別支援学校はチームティーチングの場でもあります。協力して取り組んでいく事が大切ですよね。

発達段階、生活年齢を踏まえて

私は今、高等部の生徒の学級担任をしています。
障害があっても、なくても、目の前にいる生徒は高校生です。
発達段階を踏まえて、高校生に対する対応をしていかなければいけませんよね。
教科指導が下学年であったとしても、高校生に「ちゃん」で呼ぶことは失礼ですよね。
「お手々を洗いましょう」と、言ってしまうことはありませんか?
支援で手を引いて歩かなければいけない場面があったとしても、それは不要な身体接触になっていないですか?
あの子は自閉ちゃんだから、とか、職員室で言ってしまうことはないですか?
その子の発達段階や生活年齢を踏まえて、支援を考えていくことは、大切なことです。
自分の支援や授業、環境設定が正しくできていたか時にはPDCAサイクルで見返すことも必要です。
スモールステップの中でも子どもは成長しています。
春に必要だった支援が、夏に必要がなくなることもありますし、昨日始めた支援が、今日はもういらないかもしれません。
でも一年間継続して取り組むべき支援もあるかもしれません。

本当にその支援で良いのか。これもチームで見返していきたいですね。

おわりに

特別支援教育の世界は「足し算」とも「掛け算」とも言われています。
こういった支援をするとこんなこともできるようになる、こんな環境を整えるとこんなこともできるようになる、こんな言葉かけをするとこんなこともできるようになると。
私たちの適切な支援や捉えが、非常に重要であることを、この10年間感じ続けています。
ですが、常に100%よい支援ができていたわけでも、正しい捉えができていたわけでもありません。ですが、私たちが悩み続けることが、子どもたちの成長にはつながりそうですね。

ここまでいろいろお伝えしてきたつれづれ日誌ですが、今回の投稿で連載をストップすることとなりました。これまでの記事で少しでも皆様のお役に立てる内容がお伝えできていれば幸いです。今までありがとうございました。

丸山 裕也(まるやま ゆうや)

信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭
公認心理師、学校心理士、障害者スポーツ指導員(初級)、福祉用具専門相談員
「あした、またがっこうでね。」と、子どもも教師も伝え合うことができるような、楽しい学級づくりを目指しています。また、障害のある子どもたちの心の健康について、教育と心理の二面からアプローチしていく方法を考えています。
特別支援学校で出会ってきた子どもたちとの学びを、皆さんにお伝えしていきたいと思っています。


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