2024.04.09
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箱庭を体験してみよう

皆さん、お久しぶりです。
今年度から、高等部の研究主任になり、てんやわんやの日々を過ごしてきました。
忙しい日々が続くと、ついストレスが溜まってしまいますね。
皆さんはどのようにストレスケアをしていますか?
今回は箱庭について、お話をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭 丸山 裕也

難しそうに思えるけれど

教育の現場では子どもの実態を把握し、教育や支援を計画していくために様々なアセスメントが行われています。特に特別支援教育の現場では本人や保護者の個に応じたニーズや支援計画を立てていくためにWISC―Ⅳ(ウィスク・フォー)をはじめとする数値で示すことのできる客観的な心理検査や、S-M社会生活能力検査などの社会生活能力を測定する検査の結果を活用していることが多いのではないでしょうか。
一方で箱庭療法などの心理療法は、数値での測定が困難であることや、実施そのものの難しさから、学校などでは普及があまりされているとはいえないと、私は感じています。普及が必要かそうでないかは別の話として、箱庭には魅力があると私は思っています。

箱庭の特徴として箱庭の製作には、言語を活用する必要がないため、発語が困難な子どもであっても実施が可能であることや、箱庭療法そのものが子どもにとって興味を持ちやすい創作活動であり、プレイセラピー(遊戯療法)に繋がることが挙げられ、更に出来上がった作品を見ることで、客観的に教師も子どもも振り返りができます。
特に箱庭のセラピーの有効性は、学校現場でも役立てることができるとも感じています。

実際に使ってみて

ある生徒と一緒に箱庭を作ってみました。
すると、その子は「パパ、ママ」と家族を箱庭の中に登場させて、人形を動かしながら楽しむ様子が見られました。
白い車を見つけ、「これはね、○○(自分の名前)の車なんだよ」とベンチの模型のそばに置き、日陰になるように気も近くに置きました。
見ていて面白いなと感じたのは、ピンクの花を横に倒して、「このほうがきれいだよね」といって、ベンチに座った人形を花の方に振り返らせる動きを入れました。

この箱庭の中に置かれた世界、とても楽しそうに見えませんか?

更に回数を重ねて

回数を重ねていくと、箱庭の中のそれぞれの物に役割ができてきました。
ビー玉は宝石に、今度は花は立てられて、代わりにドライフラワーが横向けに置かれるようになっていきました。
箱庭の中で、その子の世界が広がっていき、笑顔で取り組む姿に繋がりました。

遊戯療法としての箱庭

箱庭にはその人の無意識的な気持ちが表れるといわれています。
もちろんその分析をすることも面白いかもしれませんが、この遊戯面での箱庭の有効性を実際に試していると感じずにはいれません。
ただ、統合失調症の方には箱庭をやることは避けることが望ましいとされてもいます。
もし機会があれば、まずは自分で箱庭を作って、体験することができると、この面白さを感じていただけるかもしれません。

丸山 裕也(まるやま ゆうや)

信州大学教育学部附属特別支援学校 教諭
公認心理師、学校心理士、障害者スポーツ指導員(初級)、福祉用具専門相談員
「あした、またがっこうでね。」と、子どもも教師も伝え合うことができるような、楽しい学級づくりを目指しています。また、障害のある子どもたちの心の健康について、教育と心理の二面からアプローチしていく方法を考えています。
特別支援学校で出会ってきた子どもたちとの学びを、皆さんにお伝えしていきたいと思っています。


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