2020.07.21
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NIEで大切にしたいこと

先日、日本新聞協会から2020年度のNIE実践指定校が認定され、発表されました。2年間を実践期間として、全国535校(新規227校、継続308校)が認定を受けました。ちなみに、勤務校も今年度から認定を受け、私も実践者の一人として取り組んでいくことになりました。今回は、NIEの実践を行っていく上で、大切にしたいと考えていることをまとめてみました。
なお、NIEの詳細は以下のウェブサイトを参照してください。

NIEウェブサイト

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭  山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路

新聞ありきでは・・・

言わずもがなですが、NIEとは「Newspaper in Education(=教育に新聞を)」のことです。が、「NIEやるぞ!」となると、とにかく「新聞を使って何かやらなくては!」となっていないでしょうか?それまでやったことのない新たな取り組みを実践して、「NIEやったぞ!」という気持ちになってしまってはいないでしょうか?

もちろん、様々な実践指定や研究指定などをチャンスと捉え、それを機に新たな実践を行っていくこと自体は悪いことではありません。それが生徒にも教員にも良い刺激を与えることにもなります。一方で、NIEをやるからと言って、従来の取り組みとまったく違った取り組みを導入してしまうと、それ以降の継続性や多くの生徒・教員が取り組むという部分で難しいのではないでしょうか?また、新聞を身近に感じてもらうこともNIEの重要な目的であるにも関わらず、「NIEって何だか面倒だな」「実践指定校になると忙しくなるんだな」などというマイナスのイメージを持たれる可能性もあります。

そこで大切にしたいのが、「新聞を使って何かやる」という意識でなく、「これまでやってきた教育活動に新聞を取り入れてみよう」という考え方です。

(例)
 ・これまでも授業で年に数回ディベートをやってきた。
   →そのうちの1回は、新聞記事を題材にやってみる。
 ・授業や朝学習で単元に関連する資料やエッセーを読ませる時間をとってきた。
   →関連する新聞記事も読ませる資料に積極的に取り入れてみる。
 ・調べ学習の成果をまとめるレポート課題を課してきた。
   →新聞の構成などを説明した上で、レポートを新聞形式で提出してもらう。
 ・あるテーマについての自分の意見に対し、他者(友達、家族)の意見を書かせるような宿題を課してきた。
   →同じことを新聞記事を題材にやってみる。

といった具合です。これなら従来までと同じ取り組みで新聞を取り入れていますので、教員も生徒も、無理なく新聞を身近に感じてもらうことができると思います。

価値観の共有を

先日、勤務校で新聞社の「新聞の読み方講座」を行った際、講師の方が「自社の新聞をぜひ!」というのでなく、「ぜひ様々な新聞の読み比べをしてほしい」とおっしゃっていました。まさにこれが大事な視点ではないかと感じました。

1つの新聞記事に対して複数の生徒がそれぞれの意見を述べ、それらを共有することも大事だとは思います。ですが、そもそもの記事が、どういった視点から書かれているかによって、生徒が持つ意見はある程度影響を受けてしまいます。1つのできごとであっても、新聞によって視点や論調が異なっているものです。それらを紹介することなく、1つの記事をもって「これが社会で起こっていることだ」と断定してしまうのは少々乱暴であるかもしれません。

NIEに取り組めば多くの新聞記事に触れることになり、記事を読んだ生徒は、大なり小なり自分の意見を持つことになります。授業等でそれらを共有する場を設けることで価値観の共有ができるのは大変魅力的です。せっかくの魅力を最大限に生かすためにも、ぜひ複数の記事を読み比べ、「多様な視点」に気づかせた上で、価値観の共有ができれば、より良い学びの場となるのではないでしょうか。

高橋 英路(たかはし ひでみち)

前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭


クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。

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