2020.07.14
ボトムアップでカリキュラム・マネジメントを!
今回は、これまでに書いてきた「授業で育成する資質・能力」と「教員の役割」をかけあわせて、ボトムアップでカリキュラム・マネジメントのPDCAサイクルのPの部分を確立することを考えてみたいと思います。
福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史
「授業で育成する資質・能力」×「教員の役割」
4月27日に公開された記事で「授業で育成する資質・能力」として、カリキュラム・マネジメントの第一歩は一教員として自分自身が担当する授業で生徒に育成したい資質・能力は何であるかを明確にすることについて書きました。また前回6月25日に公開された記事で「教員の役割」として、teacherの役割、facilitatorの役割、leaderの役割、managerの役割について書きました。この2つの観点をかけあわせることで、一教員としての生徒に育成したい資質・能力からステップアップさせて学校としての生徒に育成したい資質・能力にできるのではないかと考えています。さらにそのことがカリキュラム・マネジメントのPDCAサイクルのPの部分を確立することになります。
ボトムアップでカリキュラム・マネジメントを!
高校生であれば、5教科はもちろん実技教科やそれぞれの科目を入れるといわゆる教科学習だけでも10数科目を学習しています。教科担任がそれぞれの教科・科目の特性を加味して、自分自身の授業で育成したい資質・能力はどのようなものなのかを明確にすることは4月27日に公開された記事で書いたように不可欠な視点ですが、ここにクラス担任が加わりクラスに入っている教員が育成したい資質・能力がどのようなものなのかまとめてみることは意外と時間を取れていないのではないでしょうか。もちろん、クラス担任にはクラスの生徒に対してどのような資質・能力を育成するのかの視点が必要です。クラス担任がmanagerの役割とfacilitatorの役割を発揮して、育成したい資質・能力を整理し、クラスの方向性を明確にすることは、授業に入っている教員にとっても教員間の協力体制が強化され、授業運営が円滑になるでしょうし、教科横断的な視点も整理され教科横断型授業や合教科型授業にもつながるのではないでしょうか。
クラスでの育成したい資質・能力が整理されたらそれを学年内で共有して、学年としての育成したい資質・能力の整理です。学年主任がleaderの役割とfacilitatorの役割を発揮して、学年で生徒の心身の成長段階を考慮して方向性を明確にしたいところです。学年ごとの育成したい資質・能力は、学年主任間で共有すれば低学年から高学年に向けての学校としての流れがより明確に見えてくるでしょうし、自学年のストロングポイントやウィークポイントも明確になり、より適切な応対でできるのではないでしょうか。
あまり規模が大きくない学校であれば、この段階で学校として育成したい資質・能力はほぼ完成していると考えられます。学校の規模によっては、学年内に普通科と実業系学科があったり、コースが細分化されていたりする場合があります。このような学科・コースでもクラスごとの育成したい資質・能力がまとまった後で、学科として、コースとしての育成したい資質・能力を明確にすべきでしょう。さらに教務・生徒指導・進路などの校務分掌における育成したい資質・能力や、キャリア教育・グローバル教育などの社会に開かれた教育課程を具現化する部署等における育成したい資質・能力の視点が加わることで、学校としての方向性がより一層明確になります。
以上のように、授業を担当する教科担任の育成したい資質・能力からボトムアップでクラス、学年、学科・コースと上げていきながら育成したい資質・能力を整理してはどうでしょうか。このボトムアップのプロセスがカリキュラム・マネジメントのPDCAサイクルのうちPの部分を確立することに十二分になるものと思います。それでは「誰がボトムアップのプロセスを動かすのか?」という問いが発生するかもしれませんが、私の答えは現場の教員です。ボトムアップで動かしていくので、教員経験の長短に関わらず教壇に立つ以上、育成したい資質・能力に対して一定のヴィジョンは持っておかなければなりません。ただし、個人のヴィジョンだけで動かすのではなく、担当クラス内での教員間の協動作業で作り上げていくのです。
カリキュラム・マネジメントというと難しいことであったり、学校長の責任においてトップダウンで降りてくるものというイメージであったり、教務など一部の部署のみが担当する業務であったりすると考えられているケースがあるようです。しかし、教員は教科担任として持っている授業においてteacherの役割はもちろん、facilitatorの役割、leaderの役割、managerの役割を持っています。このような教員の役割を発揮する範囲を少し広げてクラスや学年でも発揮することで現場の意思や意図を十二分に反映させたカリキュラム・マネジメントのPDCAサイクルのうちPの部分を確立することができるのではないでしょうか。
クラスでの育成したい資質・能力が整理されたらそれを学年内で共有して、学年としての育成したい資質・能力の整理です。学年主任がleaderの役割とfacilitatorの役割を発揮して、学年で生徒の心身の成長段階を考慮して方向性を明確にしたいところです。学年ごとの育成したい資質・能力は、学年主任間で共有すれば低学年から高学年に向けての学校としての流れがより明確に見えてくるでしょうし、自学年のストロングポイントやウィークポイントも明確になり、より適切な応対でできるのではないでしょうか。
あまり規模が大きくない学校であれば、この段階で学校として育成したい資質・能力はほぼ完成していると考えられます。学校の規模によっては、学年内に普通科と実業系学科があったり、コースが細分化されていたりする場合があります。このような学科・コースでもクラスごとの育成したい資質・能力がまとまった後で、学科として、コースとしての育成したい資質・能力を明確にすべきでしょう。さらに教務・生徒指導・進路などの校務分掌における育成したい資質・能力や、キャリア教育・グローバル教育などの社会に開かれた教育課程を具現化する部署等における育成したい資質・能力の視点が加わることで、学校としての方向性がより一層明確になります。
以上のように、授業を担当する教科担任の育成したい資質・能力からボトムアップでクラス、学年、学科・コースと上げていきながら育成したい資質・能力を整理してはどうでしょうか。このボトムアップのプロセスがカリキュラム・マネジメントのPDCAサイクルのうちPの部分を確立することに十二分になるものと思います。それでは「誰がボトムアップのプロセスを動かすのか?」という問いが発生するかもしれませんが、私の答えは現場の教員です。ボトムアップで動かしていくので、教員経験の長短に関わらず教壇に立つ以上、育成したい資質・能力に対して一定のヴィジョンは持っておかなければなりません。ただし、個人のヴィジョンだけで動かすのではなく、担当クラス内での教員間の協動作業で作り上げていくのです。
カリキュラム・マネジメントというと難しいことであったり、学校長の責任においてトップダウンで降りてくるものというイメージであったり、教務など一部の部署のみが担当する業務であったりすると考えられているケースがあるようです。しかし、教員は教科担任として持っている授業においてteacherの役割はもちろん、facilitatorの役割、leaderの役割、managerの役割を持っています。このような教員の役割を発揮する範囲を少し広げてクラスや学年でも発揮することで現場の意思や意図を十二分に反映させたカリキュラム・マネジメントのPDCAサイクルのうちPの部分を確立することができるのではないでしょうか。
Pが確立されたら
何事も準備が十分になされていれば、少なくとも実施はスムーズに進むのではないでしょうか。
次回はカリキュラム・マネジメントのPDCAサイクルのうちDとCの部分について書きたいと考えています。
次回はカリキュラム・マネジメントのPDCAサイクルのうちDとCの部分について書きたいと考えています。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)
福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。
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