2020.06.25
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教員の役割

ここまでの臨時休校期間と教育活動の再開に向けた取り組みの中で感じた教員の役割について改めて考えてみたいと思います。

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

教員の役割とは?

六月に入り、地域により差はあるものの少しずつ平常の教育活動に近づいています。だからといって、今後大きな第二波・第三波が来ないとは限らず、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための臨時休校をなかったことにするわけにもいきません。ここまでの臨時休校期間と教育活動の再開に向けた取り組みの中で感じた教員の役割についてあらためて考えてみたいと思います。

教員は英語に直訳すると「teacher」で「教える人」ですが、近年の新学習指導要領導入に向けた教育改革の流れで「facilitator」つまり生徒集団に対して「支援者」の役割に変化しつつあることはしばしば話題になりました。変化しつつあると言うよりは、「teacher」の役割に「facilitator」の役割が加わりつつあるのだと考えています。さらにいえば、生徒集団を統率する「leader」の役割も担っているし、生徒集団を管理・運営する「manager」の役割も担っていると考えています。

知識・技能を育てるという観点において、教員は「teacher」であることは疑いようはないと思います。程度の差はあるにせよ、「teacher」の役割が完全に失われることはないと思っています。しかし、育成すべき資質・能力は知識・技能だけはありません。少なくとも学力の三要素として、思考力・判断力・表現力、主体性をはじめとする人間性の育成が必要です。教員が「facilitator」の役割を追求することで思考力や表現力育成に寄与し、「leader」の役割を示すことで判断力育成に寄与し、「manager」の役割を務めることで主体性育成に寄与できると考えています。

臨時休校期間中に

地域による差、校種による差、公立私立の差など、様々な差はあると思いますが、多くの学校で三月から五月までの三カ月間、教科を教えるという意味での「teacher」の役割が失われたのではないでしょうか。また、生徒が自宅学習をしている以上、集団形成がままならず「facilitator」としての支援も思うようにいかなかったのではないでしょうか。そのような状況の中で対生徒の最前線に立つクラス担任をはじめとする教員の、「leader」の役割と「manager」の役割が、重要であったように感じました。

 百年に一度ともいわれる誰にも経験がない状況で、生徒集団に対し教員はいまできる最善を「leader」として決断しなければいけませんでした。それと同時に一人ひとりの生徒の生活と学習を支援するために「manager」として生徒を管理しなければいけませんでした。振り返って考えると、臨時休校期間中に問われたのは教員の「生徒に関与する能力」であったように思います。

生徒に関与する能力

三月から五月までの三カ月間教員から、電話をかけたり、プリントを配布したり、環境を整えることができた学校ではICTを利活用しオンラインでホームルーム活動や面談を行うことができたかもしれません。考えられるあらゆる方法で全国の教員が生徒への関与を試みました。その取り組みが成功だったのか、何をもって成功とするのかの定義もないかもしれないし、答えはすぐには出ないかもしれませんが、全国の教員が何らかのチャレンジをしたことは間違いないと思います。チャレンジをしたから成功するわけではありませんが、成功するにはチャレンジしなければならないと思います。現場に立つものとしての贔屓目はあると思いますが、個人的には日本の教員の底力を感じました。

ただし残念ながら、三カ月間の取り組みで大なり小なりの差がついてしまったのは、事実として受け止めざるを得ないと思います。生徒の主体性や家庭環境などが無関係だとは思いませんが、教員側の反省事項としては、いつ、何を、どのように生徒に関与したかで差がついてしまったのではないかと考えています。

今後の教員としての役割

新型コロナウイルス感染症拡大防止に対する戦いは、長期戦になるとの分析もあります。臨時休校を機に、教育に関する様々なことが世間一般で話題になり議論されてきました。今回の新型コロナウイルス感染症拡大防止に関する臨時休校期間で、現場を支える教員の役割が大きく変化するひとつの契機となったことは間違い無いと思いますが、そのことが大きく話題になってはいないように感じます。この三カ月間を機会に、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように生徒に関与するのかを観点として、「teacher」の役割、「facilitator」の役割、「leader」の役割、「manager」の役割を見直していきたいと考えています。

このような教員の役割に関する意識が、本題である「カリキュラム・マネジメント」に大きく関与していると考えています。次回は、これら教員の役割を基準に「カリキュラム・マネジメント」に少し踏み込みたいと考えています。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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