2020.10.20
エビデンス
今後考えていきたい、「評価」においてエビデンスは重要ですし、避けては通れないことなので、今回はエビデンスについてつれづれと書いてみました。
福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史
エビデンス
いつ頃からか、教育に関する用語としてカタカナで表記される語句が、増えたように思います。
カタカナ表記の語句だと、正確な意味を把握しにくいとの声があります。そのために新しい取り組みに消極的になってしまうのは、やや残念な気がします。個人的には、「現状維持は衰退である」との信念のもと、新しい取り組みは、積極的にチャレンジしたいと考えています。カタカナ表記の語句が増えたのは、PISAやTIMSSの国際学力調査の結果を踏まえて教育施策を考えること、教育の国際競争力を高めることなど、教育のグローバル化を進めることからやむを得ないことだと考えています。
今回タイトルにした「エビデンス」も、近年教育現場でも取り上げられることが増えたカタカナ表記の語句のひとつです。
エビデンスは、証拠や根拠などを意味する英単語「evidence」に由来しますが、カリキュラム・マネジメントを考えるうえでは、主に「数値的根拠」と解釈しています。教育効果を数値的根拠で測定するとなると、教育の効果はすぐに現れるものではなく、子ども達が生きていく中でいつかどこかで役に立つものとして現れるので、数値的根拠で測定するのは困難であるとの意見があります。それが間違っているとは思いません。
しかし、何もかも数値的根拠で測定できないのでしょうか?そのようなことはないと思います。そうであるなら、中学校や高等学校で成績評価をすることが、不可能となります。
カリキュラム・マネジメントのPDCAサイクルの一部として「評価する」ことは不可欠であるので、教育現場で数値的根拠は不可欠です。もちろん、エビデンスは数値的根拠だけでなく、言語化された根拠も含まれるのは承知のうえです。
カタカナ表記の語句だと、正確な意味を把握しにくいとの声があります。そのために新しい取り組みに消極的になってしまうのは、やや残念な気がします。個人的には、「現状維持は衰退である」との信念のもと、新しい取り組みは、積極的にチャレンジしたいと考えています。カタカナ表記の語句が増えたのは、PISAやTIMSSの国際学力調査の結果を踏まえて教育施策を考えること、教育の国際競争力を高めることなど、教育のグローバル化を進めることからやむを得ないことだと考えています。
今回タイトルにした「エビデンス」も、近年教育現場でも取り上げられることが増えたカタカナ表記の語句のひとつです。
エビデンスは、証拠や根拠などを意味する英単語「evidence」に由来しますが、カリキュラム・マネジメントを考えるうえでは、主に「数値的根拠」と解釈しています。教育効果を数値的根拠で測定するとなると、教育の効果はすぐに現れるものではなく、子ども達が生きていく中でいつかどこかで役に立つものとして現れるので、数値的根拠で測定するのは困難であるとの意見があります。それが間違っているとは思いません。
しかし、何もかも数値的根拠で測定できないのでしょうか?そのようなことはないと思います。そうであるなら、中学校や高等学校で成績評価をすることが、不可能となります。
カリキュラム・マネジメントのPDCAサイクルの一部として「評価する」ことは不可欠であるので、教育現場で数値的根拠は不可欠です。もちろん、エビデンスは数値的根拠だけでなく、言語化された根拠も含まれるのは承知のうえです。
情報収集
根拠となるエビデンスを示すには、情報収集が不可欠です。収集すべき情報は、授業中の学習状況に対する所見、課題提出状況、テスト結果などの学習面はもちろんのこと、生徒の出席状況や健康観察情報など、日常的な生活の様子なども含まれます。他にも行事などへの取り組みに対する、事前準備から、実施中の様子、実施後の振り返りなども大切な情報です。生徒に対する生活面・学習面両面からのアンケート結果の蓄積や、関係する教員に対して実施したアンケートの結果の蓄積も有効です。ただし、これらを収集・蓄積するだけではなく活用していくのは、データ量が増えていくと有効になる反面、データ量が増えると分析に時間と労力がかかり、気の遠くなるような作業になりそうです。
ICT利活用
そこでICT利活用です。様々なデータを蓄積することで、個々の生徒の状況を確認できることはもちろん、クラス・学年・学校といったまとまりごとに、集計し状況が把握できます。病院で患者の状況を蓄積するカルテと同様のものが、学校でも「生徒カルテ」としてより一層整備されなければならないと強く感じています。既にそのシステムが導入・活用されている学校や自治体もあると思いますが、データは蓄積することが目的ではなく、蓄積されたものを可視化して分析し、対策を検討し、それを確実に遂行することが目的です。そのためにも「生徒カルテ」のような「統合型校務システム」の導入は大前提です。
アウトソーシング
教員が多忙であることが話題になって久しいですが、教育に関わる仕事は多岐にわたっており、それを教員と学校事務に携わるわずかな人数の職員だけで賄おうとすることに、限界があるのだと思います。また教員は責任感の強さからか、「アウトソーシング」になれていません。予算面を中心に解決すべき課題は多くあると思いますが、「社会に開かれた教育課程」が新学習指導要領の方針のひとつである以上、学校業務も社会に開かれ様々な企業や地域にアウトソーシングしていく必要があると思います。「生徒カルテ」のような「統合型校務システム」の導入も、個人情報を守ることに配慮しつつも、アウトソーシングの対象になるべきだと思います。
データの可視化
話がエビデンスからそれてしまいましたが、蓄積したデータから生徒一人ひとりはもちろん、教科・クラス・学校といったまとまりごとの課題を発見するための根拠が、エビデンスです。教員経験が長いと経験的に「このときは、こう」といった場面の見通しが立つようになると思いますが、それは決して勘ではなく、膨大な経験というデータに基づく判断であり、その判断に至る根拠があるはずです。それを経験があまり長くなくとも判断できるようになるために、データを蓄積し可視化する必要があります。
まとめ
ICTの力を借りて、蓄積したデータを可視化することで、様々なデータを一覧にしてみることができ、データ推移を時系列で表示することができ、複数のデータを組み合わせて表示することも、まとまりごとにデータを表示することもできます。そのようにして得られたデータから、得られた根拠がエビデンスです。改めてこのように言語化してみると、エビデンスの重要性が確認できると思います。今後考えていきたい、「評価」においてエビデンスは重要ですし、避けては通れないことなので、今回はエビデンスについてつれづれと書いてみました。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)
福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。
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