2020.09.30
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授業見学

今回は授業改善のきっかけを生み出す手段としての「授業見学」について考えてみたいと思います。

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

「授業見学」とは

今回は授業改善のきっかけを生み出す手段としての「授業見学」について、思うことをつれづれと書きたいと思います。

「授業見学」と聞いて、どのような状況を思い浮かべるでしょうか?

個人差や環境差によっても差はあるでしょうが、例えば、教育実習の最終段階として、指導教官をはじめとして多くの教員に授業を見られる場面を思い浮かべるかもしれませんし、研修の一環として指導案を作成し、様々な場面を想定しながら教具なども豊富に準備し、多くの教員に授業を見られている場面を思い浮かべるかもしれません。前者は「査定授業」、後者は「研究授業」と言ったりするものです。

このような状況下での「授業見学」は、とても緊張するでしょうし、教員人生の中で頻繁にあることではありません。査定授業や研究授業が無意味だと言いたいわけではありません。それらの重要性は十分に認識した上で、ここで考えたいのは、もっと日常的な場面での「授業見学」です。

日常的な「授業見学」

例えば、教科担任制を取っている中学校・高等学校なら、授業の空き時間に校内を歩き回って授業を覗き見るような場面も想定しています。

断片的に授業を見ることには、否定的な意見もあると思います。授業見学をするのであれば、始業の挨拶前から終業の挨拶後まで見るべきだという意見です。

両者とも、メリット・デメリットはあると思います。

まずは、授業の空き時間に校内を歩き回って授業を覗き見るような「授業見学」についてです。
メリットは、手軽にできることや、授業をしている教員に過度なプレッシャーをかけなくて済むことなどではないでしょうか。一方で、デメリットは、短時間の特定の場面を切り取ることになるので、その瞬間たまたま望ましくないことが起きていたら些細なことでも大きなトラブルと受け止められるなど、授業全体での意図や方向性が見えないので、不必要な誤解が生じる可能性があることなどではないでしょうか。

次に、始業の挨拶前から終業の挨拶後まで見るような「授業見学」についてです。
メリットは、その授業の意図や方向性が理解しやすいことが挙げられるのではないでしょうか。逆に、デメリットは、生徒や教員が見られていると感じることは避けられないので、かからなくていいプレッシャーがかかってしまうことではないでしょうか。

「授業見学」で見るべきポイント

いずれにせよここまでに書いた「授業見学」は教員が教員を見る場面を想定しているように考えらます。
教員が教員を見る場面だとすると、どうしても板書や発問について良かった・悪かったとなってしまいます。
そのような指摘も授業改善の重要な要素なので、無意味だとか不必要だとか言いたいわけではありません。
しかし、授業は生徒のために行っているのであり、生徒を育成する場面なので、主役は生徒です。
主役は生徒なので、「授業見学」は、その授業を行うことで生徒にどのような資質・能力を育成したいと考えているのかの授業目標、生徒の知識・技能を定着させるための働きかけ、生徒の思考力・判断力・表現力を向上させる工夫、生徒が主体的・協働的に学ぶことができる場面設定などから得られる、生徒の変化を見るべきだと思います。
したがって「授業見学」は、従前の教室の後ろから主に教員を見るだけではなく、教室の横や机間で生徒が変化する場面を探す時間であると考えます。
生徒が変化する場面を探すのであれば、空き時間に散歩がてら校内を歩き回って授業を覗き見る形式であっても、始業の挨拶前から終業の挨拶後まで見る形式であっても、タイミング次第で発見があると思います。
いつ、どのように授業を見るかよりも、大切なのは生徒が変化する場面を見逃さないことであり、生徒が変化する場面がなぜ起きたのか、どのように変化を促したのかを、確実に振り返ることだと思います。

「授業見学」の振り返り

つまり「授業見学」を行ったら、それと同等の時間をかけて振り返りを確実に行い、生徒が変化する場面を再確認し、その原因を共有する必要があると考えます。
決して、あの板書が良かった・悪かった、あの発問が良かった・悪かった、といった教員による教員の言動だけを追いかけるだけの振り返りにしてはいけないと思います。
「授業見学」は、授業改善のきっかけを生み出す手段であるはずですから。

今後は

実はこの教育つれづれ日誌は、私の担当分では前回の投稿までが27期で、今回の投稿から28期になります。
27期は、現段階で考えているカリキュラム・マネジメントのPDCAサイクルを中心に投稿させていただきました。
引き続き投稿の機会をいただくことができましたので、28期はカリキュラム・マネジメントの一環としての「評価」について考えてみたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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