2020.04.27
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授業で育成する資質・能力

今回は、教科担任として平常授業時に授業で育成する資質・能力として、担当生徒に説明する内容について書きたいと思います。

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任 石丸 貴史

学力の三要素

学校教育法の第三十条②に、以下のようにあります。

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生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能を習得させるとともに、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力その他の能力をはぐくみ、主体的に学習に取り組む態度を養うことに、特に意を用いなければならない。
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ご存知の通り、ここから「学力の三要素」として「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」と集約されます。

私は数学を担当していますが、「計算力」であったり「論理的思考力」「記述力」などの育成を考えながら授業します。このように授業で育成する資質・能力はさまざまな表現ができますが、やはり「学力の三要素」に集約されるのではないかと考えます。
したがって、学力の三要素それぞれを段階的にステップアップさせながら育成することを考えます。

知識・技能

「知識・技能」として、以下のような段階でステップアップしてほしいと考えます。まずはじめの段階として、「講義を聴き、教科書等を読み、よく理解する」能力、つまり【傾聴力】【読解力】の育成を考えます。次の段階として、「身に付けた知識・技能を活用して問題を解く」能力、つまり【思考力】の育成を考えます。さらに次の段階として、「身に付けた知識・技能を他者に説明できる」能力、つまり【表現力】の育成を考えます。

思考力・判断力・表現力

「思考力・判断力・表現力」として、以下のような段階でステップアップしてほしいと考えます。まずはじめの段階として、「問題に対して、意味を考え自分の解答を作る」能力、つまり【思考力】の育成を考えます。次の段階として、「問題に対して、他者がどの様に考えたか知る」能力、つまり【傾聴力】の育成を考えます。さらに次の段階として、「問題に対して、自分の解答を他者に説明する」能力、つまり【表現力】の育成を考えます。

主体性・多様性・協働性

「主体性・多様性・協働性」として、以下のような段階でステップアップしてほしいと考えます。まずはじめの段階として、「授業を通して、自分の能力を向上させる努力」ができる能力、つまり【主体性】の育成を考えます。次の段階として、「授業を通して、他者の能力を自分のものにする」能力、つまり【協働性】の育成を考えます。さらに次の段階として、「授業を通して、他社と共に能力を向上させる」能力、つまり【コミュニケーション能力】の育成を考えます。

「学力の三要素」と能力

学力の三要素

以上の内容を、表のようにまとめて初回授業や単元の節目の際に繰り返し説明します。【 】内に表現した能力は、いわゆる「学力の三要素」と重複しているものも、そうではないものもありますが、どれも学力の三要素に内包されると考えています。例えば【傾聴力】です。「知識・技能」のCの列にあるものは「技能」の一部としての【傾聴力】ですが、「思考力・判断力・表現力」のBの列にあるものは「思考力」の一部としての【傾聴力】です。さらに、「主体性・多様性・協働性」のAの列にある【コミュニケーション能力】は、【傾聴力】の育成を通して身に付くものと考えます。

このような形でまとめることで、ルーブリックとしての役割を持たせることも可能です。ただし、「ルーブリック=評価ツール」とは考えていません。この点は後日、機会があれば書きたいと思います。

カリキュラム・マネジメントの第一歩は、一教員として自分自身が担当する授業で、生徒にどのような資質・能力を身に付けさせたいかだと考えています。
学校での教育活動が平常の状態で再開できるのがいつになるのか不透明な日々ですが、このような日々だからこそ、改めて自分自身の授業で、生徒にどのような資質・能力を身に付けさせたいのか考えてみるのも良いのではないでしょうか。

石丸 貴史(いしまる たかふみ)

福岡工業大学附属城東高等学校 教務主任
高校での新学習指導要領導入を控えて、「カリキュラムマネジメント」・「I C T活用」を中心に、日々の授業改善に取り組んでいます。大学を卒業後すぐに会社員として塾・予備校業界で勤務をした経験も活かしながら、社会で活躍できる生徒を育てるべくどのような資質・能力を育成すれば良いかを試行錯誤しています。

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