例年と違った卒業
今年は新型コロナ感染症の影響で全国的に休校措置が取られ、例年とは違った年度末を迎えていると思います。そんな中で、卒業式に限り実施するという自治体も多く、その対応も例年とは違った形になっているようです。
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭 山形県立米沢東高等学校 教諭 高橋 英路
形は違えど……
卒業式について、在校生や保護者、来賓の参加がなかったり、歌唱が中止されたり、例年と比べ簡素化・短縮化が求められました。卒業式に向けて少しずつ準備を進めてきた学校も多く、直前でバタバタしながらの対応になったかもしれません。私の勤務校も同様に、例年とは違った形での実施となり、卒業生と教職員だけで式を行いました。
違った形での実施であっても、生徒たちにとっては一生に一度の卒業という節目です。私たち教職員は毎年経験しているので、「例年と違って」となりがちですが、当日に生徒たちの表情を見ると、そこを気にし過ぎている様子もなく、言ってみれば「例年と同じく」卒業というハレの舞台に立っていました。3年間頑張ってきた自信と誇りや、一緒に頑張ってきた仲間への想いなど、良い意味で毎年変わらぬ卒業生としてのオーラのようなものを感じました。
例年の卒業式も多くの来賓の方々に参列いただき、卒業を祝うだけでなく、卒業生が感謝の気持ちを表したり、自立への決意を表明したりする儀式的行事として大切な意味があるとは思います。ですが、今年は簡素化されたことで祝辞や歌唱が省略され、主役である卒業生にスポットの当たる場面の割合が必然的に増え、卒業を祝うという意味合いが強まった式典になったという感じがしました。そういう意味で、アットホームで居心地の良い雰囲気を感じたところです。
先生方も祝うよ!
全国的に休校となった学校も多く、卒業式までの準備や当日の役割を、それまで生徒に割り当てていたところを、急きょ先生方だけで対応した学校もあったと思います。在校生が参加しないとなると、清掃や式場準備はもちろんですが、教室の黒板装飾や部活動単位で準備した花束やプレゼントを渡すのも先生方に協力依頼があったかもしれません。
私の勤務校でも3年生教室の黒板装飾を先生方で急きょ分担して行ったり、式当日に届く部活動単位の花束を顧問が代わりに渡しに行ったりと、在校生に代わって動いていました。それも、休校措置が決まったのは前日や前々日ですので、そこから臨機応変に動くことができたというのは、先生方もまた、卒業生を祝ってあげたい!という気持ちが大きかったからだと思います。おそらく、全国の学校でこうした先生方のチームワークや臨機応変な行動力が発揮されたのではないでしょうか?
新型コロナウイルス感染症については、今後も予断を許さない状況にあり、学校の再開など、先が見えない部分もあるわけですが、生徒や私たち教員の気持ちはブレずに持っていたいと感じた卒業式でした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
また、今年度の私の記事はこれが最後になります。異動初年度となり、勝手が分からないところもありながら、試行錯誤し、何とか1年間を過ごすことができました。今年度の試行錯誤を生かし、また来年度も頑張っていきたいと思います。皆さんも、ぜひ一緒に頑張りましょう!
高橋 英路(たかはし ひでみち)
前 山形県立米沢工業高等学校 定時制教諭
山形県立米沢東高等学校 教諭
クラス担任と、地歴科で専門の地理を中心に授業を担当。生徒達の「主体的・対話的で深い学び」が実現できるよう、p4c(philosophy for children)やKP(紙芝居プレゼンテーション)法などの手法も取り入れながら日々の授業に取り組んでいます。
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