黒板アートに取り組む
全員ではありませんが、学級の希望者が集って、卒業式の前々日の放課後に作成しました。いったん家に帰った子どもたちが再び教室に集合して描くのです。描いた黒板アートは、翌日には消さなくてはなりません。本来なら卒業式の日の黒板は、描いた黒板アートのままにしておきたいというのが子どもたちの希望でした。しかしながら、黒板アートをやりたいという希望がでたのは、私のクラスだけで、卒業式の日の黒板は、学年全ての学級で同じものにしないといけなかったため、1日限りの作品でした。翌朝、黒板アートに参加できなかった子どもたちは、できあがった力作を見てみな驚きの声をあげていました。黒板アートを背に私が作成した2カ月に一回の「子どもたちの成長VTR」を視聴し、全員で記念撮影をした後きれいさっぱり。
物品オークション
教室の掲示物等をオークションのように希望者を募り、落札した子にもってかえってもらいます。もちろんお金はかけません。希望が重なったらじゃんけん。全員にチャンスがあるように希望制限がかかります(笑)
- 学級の歴史(20数枚)
- 学級のマスコット(数枚)
- お手製スタンプ(24種類くらい)
- お手製カード(数十枚)
- 社会科で使用した場面絵
- お手製シール
- 掲示に使った写真
等々。ありとあらゆるものをオークションに出品。ものの見事に教室がきれいさっぱり。その子たちの学級でつくったものは、その子たちとの学級でおしまい。スタンプやカード、シールはまた新しく作りなおします。
6時間ぶっ続けのイベント
イベント後の学級だよりに詳しいので、その時のものを紹介します。
「ノートが天井についたら達成記念パーティーをしよう。その達成予定日は3/10でした。そう、この390号が発行される日です。それが12月には一つ目のタワーが天井に到達。2本目のタワーも建ち始めていました。当初は4時間の予定でした。学級閉鎖もあったし4時間もとは思っていました。しかし様々なものを乗り越えながら彼・彼女らはこれまでがんばってきました。学習や運動、学校の活動はもちろんのこと。30人以上が一緒に生活するのですから様々な人間関係のトラブルや悩みは当然でてきます。それらに負けそうになったり乗り越えたり・・・数々の壁を乗り越えて今日まで自分の力を高めてきました。ノートを天井まで積む、なかなかできることではありません。そのような彼・彼女らの姿が頭に浮かぶと「一生に一回くらい学校という場で6時間ぶっ通しのお楽しみ会があってもいいんじゃないか」と思うようになりました。その6時間ぶっ通しの「ノート達成イベント」、昨日開催されました。(中略)ノートはその後持ち主に。教室の後ろがいよいよ何もなくなりました。ある種6-〇のシンボル、努力の対象だったノートタワーはもう記憶の中だけです。
子どもたちには3時間×2日でもいいし、6時間でもいいよとは伝えました。実行委員の子どもたちが選んだのは6時間ぶっつづけ。さすがにちょっと疲れた・・・と私は思ったのですが。子どもたちはそうではなかったようです。
学級だより「特別号」
卒業式の日にも学級だよりを出します。その際の文言はある年だと・・・
同じ中学校へ進学しない子が4名います。30日のお別れ式も全員がそろうことはないでしょう。黒板アートを背に全員がおさまる一枚。最後の瞬を切り取ってくれているのではないでしょうか。VTRは参観日にもお見せしたVTRの卒業バージョン。いつもより長めの15分。1学期、2学期の様子も若干入れたので長くなってしまいました。3学期は行事、普段の生活、授業と学校生活における様々な場面を入れ込みました。子供たちにはVTRを作ってきた目的を次のようにはなしました。「君たちを担任させてもらったことの感謝の気持ちを伝えたい。」と。最後の授業を終えるとき、こう話しました。
年間900時間君たちと一緒に授業をしてきました。楽しい授業、面白い授業を心掛けてきたけれど、そうでなかったことの多かったように思います。そんな私の授業を受けてきてくれてありがとう。
「最後の授業が終わる。時計を見ると12時5分、6分とどんどん進んでいる。あと5分だ。時間を止めることはできないが「今」をまた振り返ることがはできる。(この日の作文から引用)」6-〇の子たちと授業することのできた1年間、最高の幸せでした。みんな卒業おめでとう。さようなら。
一部を抜粋しましたが、上記なような内容を子ども達全体に対して載せます。(保護者への挨拶は前日の学級だよりに掲載します。)そしてその裏に一人一人の子どもたちにあてが学級だよりを掲載します。例えば林君だったら、林号。その子が映っている写真とともに、その子だけに向けたメッセージを書き加えるのです。
海の命の学習がはじまってからというもの、君の読解力の高さに毎日驚かされます。父の死の理由と海の命とのかかわり、太一の「海の命」の理解の程度。目の付け所が鋭いだけでなく、その理由まで細かく説明してありました。6年生を送る会の後に書いた作文では、「どう思われたいか」「感極まる体験を」と私の言葉を思い出し、自分の体験と比べていましたね。小学生でここまで自分の体験を意味づけ・価値づけすることができるものかと身震いしました。君はいつだってエネルギッシュ。そんな君が呼びかけのトップバッターになり、内心「やった!!これで呼びかけはばっちりだ」と思いました。大きく息を吸い、一つ一つの言葉をかみしめるように出てくる声。「卒業するんだ」という雰囲気を見事に創り出していました。君に任せてよかった、心の底から思います。君の「やってやろう」という前向きな姿、「やる」という行動力、「こうかな」と考える思考力。君の全てが大好 きでした。〇組にいてくれてありがとう。卒業おめでとう。
30人いるので、30通りの学級だよりが出来上がります。
おわりに
前回と今回で卒業前に行うちょっぴり特別な活動を紹介しました。今回は教師側が行う活動が半分。オークションや学級だよりの特別号は6年生担任の時だけではないので「卒業式前」とは厳密にいえば異なりますがそこはご容赦ください。何かのCMで「こんなおいしいお菓子をもらえる私は特別な存在なんだ」というフレーズがありました。自分が大事にされている、自分が大切にされている、自分に「特別さ」を感じる。卒業を前にそのような思いをもってもらえたらなと思い行ったものです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
篠田 裕文(しのだ ひろふみ)
佛教大学大学院博士後期課程1年
修士課程を修了し博士課程に進学しました。修士時代に学んだこと、学校現場で実践したことを書き綴りたいと思います。
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